中村倫也主演。ミュージカル『ルードヴィヒ～Beethoven The Piano～』開幕！「少しでも何かを浴びていただければ」

2022.10.29

REPORT

2022年10月29日（土）より東京芸術劇場プレイハウスにて、ミュージカル『ルードヴィヒ～Beethoven The Piano～』が開幕した。

本作は2018年末～2019年にかけて、韓国で初演されたミュージカル。日本でもおなじみとなった『SMOKE』『インタビュー』『BLUE RAIN』の作・演出家チュ・ジョンファの新作として注目された作品。

世界中誰もが知る天才音楽家であり、聴力を失ってなお音楽への情熱を注ぎ込んだ悲運の人・ベートーベンの生涯を、彼を取り巻く人物たちとの愛と影、喪失そして運命を、彼が綴った音楽とオリジナル楽曲で描く。

主演には、ドラマ『凪のお暇』や『珈琲いかがでしょう』など数々の話題作に出演し、舞台『ヒストリーボーイズ』では第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞するなど、振り幅の広い演技で破竹の活躍を見せる中村倫也が青年期のルードヴィヒを務める。残酷歌劇『ライチ光クラブ』や『八犬伝』などで中村とタッグを組んできた河原雅彦が、日本版の上演台本・演出を手掛ける。また、訳詞を森雪之丞が務め、よりドラマティックに作品を彩る。

今回は、中村倫也、木下晴香、福士誠治、河原雅彦（上演台本・演出）が登壇した開幕直前取材会の様子と公開ゲネプロの舞台写真をお届けする。

開幕直前取材会レポート

初日を控えた今の気持ちについて、福士は「あっという間な稽古期間でしたが、とても密度の高い稽古をやらせていただきました。さらにという気持ちはありますが、まずは初日があけて皆様にどう受け取ってもらえるのか。ご自由にという部分もありますが、一生懸命やっていけたら」と意気込んだ。

今回が舞台初共演となる中村と福士だが、それについて中村は「ほとんど人見知りがない二人なので、人見知り度合いが似てる。だから遠慮することもないし、気を配りすぎることもない」と話し、福士も「たまに僕がボソっとボケるのを突っこんでくれるところも好きです」と気の合った様子を見せた。

稽古の雰囲気について、座長を務める中村は「今回は座長らしいことはあまりしていないんです。みんな真面目で、ほっといてもやるタイプの役者が多かったので。自分の役がけっこうやることが多くて疲れる役なので、毎日毎日それを一生懸命やってただけで。まだ誰にも奢っていないですし、そのうち奢れって言われるのかもしれないですけど（笑）」と謙虚に語った。

福士は「そんなことないですよ。ちゃんと背中を見てますよ」とそんな中村をフォロー。

木下は「ものすごく視野が広くて、いろんな角度から作品のことを見ていらっしゃると感じる。普段何を考えていらっしゃるんだろうというのを常に観察させてもらったような稽古場でした。もちろん、尊敬している先輩ですごいなと思うのですが、すごいなで終わらずに、こっちまで悔しくなるような、そこまで行きたいと引っ張り上げてくださるような新しい感覚でした」と中村を絶賛した。

7年ぶりに中村とタッグを組んだ演出の河原は「ぼちぼち長い付き合いになるんですけど、いい意味ですごく変わらない。倫也とやる時は、圧倒的にすごいものを作ると僕は決めていて、それは多分倫也も同じ感じだったから具体的に話さなくてもいい稽古を進められた。このルードヴィヒという作品自体、全員が一皮二皮くらい剥けないと、とても千穐楽まではいけないぐらい大変な演目。俳優さん全員をとても信頼してますし素敵なものになっていると思います」と今作への自信を覗かせた。

最後に今作への意気込みが語られ、演出の河原は「韓国ミュージカルがオリジナルなんですが、けっこう配役も変わっているんです。韓国版だともう少し濃厚な小さい劇空間の中で上演されていたのですが、劇場の規模も広がったのでいろんな仕掛けを作りました。配役を変えるというのも、その1つの仕掛けなんです。日本オリジナル版の要素も多いので、その辺も楽しんでもらえたら。とにかくこの舞台はハイライトしかないので（笑）。本当にカロリーの高いお芝居なんですが、楽しんでいただけたら」と意気込んだ。

福士は「今回、舞台を観に来てくださる方には多少の覚悟を持って来ていただけたら。こちらが舞台上で発しているエネルギーが届いた時に、お客様も多少の疲れや疲労困憊、頭を使ったりエネルギーをもらったりすると思います。いつもは気兼ねなく何も考えずに来てくださいと言ったりもするのですが、今回は「観るぞ」と思って、気合いを入れて観に来ていただけたら」と観客へメッセージを送った。

木下は「個人的な話になってしまうのですが、こんなにエネルギーを放出する感覚を覚えているのは初めてで。観に来てくださるお客様にとっても、そう感じてもらえる作品になったらいいなと思います。魂込めてお届けしたいと思いますので、ぜひ受け取りに来てください」と思いが語られた。

最後に中村から「今回、音楽が15曲あるんですけど、どれも本当に素晴らしくて、耳に残る素敵な音楽が多いんです。もちろん合間にベートーベンが残した音楽のプレーズが出てきたり、アレンジしたものが入っていたりと、気付いたら楽しめるものも含まれていたりします。これは本当にいい意味でも悪い意味でもなんですが、この舞台はちょっと異常な人しか出てこないんですよ。単純にそれを観て面白がっていただいてもいいですし、いい部分は刺激を受けていただいて、悪い部分は「人間ってそういうこともあるかもね」とちょっとだけ寄り添って見ていただけるような話になるのではと。

気が付いたらあっという間に舞台が終わって、ちょっとボーっとしながら帰っていただけるのではと思います。誠治くんも言っていましたが、「観るぞ」と思わないとちょっとあわあわしちゃうかもしれないので。ぜひ「観るぞ」と思って、少しでも何かを浴びていただければと思います」と意気込みが語られ、開幕直前取材会が終了した。

ミュージカル『ルードヴィヒ～Beethoven The Piano～』は、2022年10月29日（土）～ 11月13日（日）東京芸術劇場プレイハウスにて、11月16日(水) ～21日（月）大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、11月25日(金)・26日(土) 金沢・赤羽ホール、11月29日(火)・30日(水) 仙台・電力ホールにて公演を実施。

またチケット好評につき、東京公演千穐楽及び、大千穐楽（仙台公演）にて、ライブ配信も決定した。詳細は公式ホームページにてチェックしてほしい。

取材会撮影：近藤明子

舞台写真

©MUSICAL「ルードヴィヒ～Beethoven The Piano～」製作委員会／岩田えり

ストーリー

残り少ない人生を前に書かれたベートーベンの1通の手紙。
そして、その手紙が一人の女性の元へ届く。
聴力を失い絶望の中、青年ルードヴィヒが死と向き合っていたまさにその夜。
吹きすさぶ嵐の音と共に見知らぬ女性マリーが幼い少年ウォルターを連れて現れる。
マリーは全てが終わったと思っていた彼に、また別の世界の扉を開けて去っていく。
新しい世界で、新たな出会いに向き合おうとするルードヴィヒ。
しかしこの全ては、また新たな悲劇の始まりになるが・・・。