望海風斗、平原綾香、井上芳雄、甲斐翔真が登壇。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』製作発表記者会見レポート!
昨夏、東京・帝国劇場で日本初演の幕を開けた『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が、待望の再演に向けていよいよ始動!
他に類を見ない絢爛豪華な世界観に観客を誘い、一度観たら忘れることのできない熱気溢れるステージで、開幕早々チケットが完売となった本作。
全85回の公演を走り抜けた、あの熱い夏から一年。2024年の再演では、帝国劇場6月20日(木)〜8月7日(水)の日程に加え、大阪・梅田芸術劇場メインホール9月14日(土)〜9月28日(土)での上演も決定した。
これに先立ち、サティーン役の望海風斗/平原綾香、クリスチャン役の井上芳雄/甲斐翔真が登壇した製作発表記者会見が開かれた。本記事では、会見の様子をお届けする。
サティーン、クリスチャンのイメージに合わせた衣装を身に纏い、会場に登場したキャスト4名。それぞれの挨拶が終わり、キャスト同士のクロストークが繰り広げられる。
昨年行われた日本初演時の思い出について、望海は「夢だったんじゃないかと思うくらい、非日常的な毎日でした」とコメント。平原は、「去年は歌手デビュー20周年でもあり、いろんな仕事が重なって大変でした。テレビ番組で披露するYOASOBIの楽曲『アイドル』を公演の楽屋で練習していたら、みんながびっくりしたみたいで『どうしたの?』と聞かれたことがあって……」という思い出話に、すかさず井上から「それ、(ここで話すような)思い出なの(笑)?」とツッコミが入ったが、「今年はミュージカルデビュー10周年でもあるので、お漬物でいえば古漬けくらい(サティーンを自分に)染み込ませて舞台に取り組みたいです」と畳みかけ、マイペースな平原らしさ全開のコメントで会場を笑わせた。
「待ちに待った『ムーラン・ルージュ』だったので、公演当時を鮮明に憶えています」と高揚感たっぷりな様子で語る甲斐に対し、井上は「(自分の年齢を考えると)あんなに若い役をよくやっていたな、と思います(笑)。舞台上では頑張ってキラキラ感を出していたけれど、終わった瞬間はいつも疲れていました」と答えたが、望海からは「そう言いながらも、本番が始まるとちゃんとやりきっていてすごかったです」とフォローが入る。「いくら疲れていても、幕が上がるとテンションがぐわっと上がる。(自然とそうさせる)作品の魅力があるんですよね」と井上。
本作のプリンシパルキャストは、Wキャストで演じられる。そのため、シャッフルされた組み合わせによって、異なる化学反応が楽しめるのも特徴だ。甲斐は、サティーンを演じた二人の印象について「望海さんのサティーンは、みんなで肩を取り合って一列になって、その真ん中に望海さんがいるイメージ。あーや(平原)さんは、彼女が行った道にみんなが自然と付いて行ってしまう。放っておけない感じです」と評すると、先ほど平原から出た例えについて触れながら井上が「そうそう。『どうして“漬け物”(で表現するの)?』とみんなが心配して思わず聞いちゃう感じだよね」とほほ笑む。
一方、井上と甲斐が演じるクリスチャンの違いについて、平原は「『Crazy Rolling』の場面が印象に残っていて、そのときの芳雄さんは話し合ったら許してくれそうな、寂しさが勝っているクリスチャンに見えた。翔真くんのクリスチャンは、銃で撃ってきそうなくらい怒りが出ていた印象です」と語り、望海も「二幕最初のリハーサルを行うシーンで、サティーンとクリスチャンの特別な関係性を漂わせる場面があるんですが、芳雄さんのクリスチャンはストレートで突っ走っているのに対し、翔真くんは全身から負のオーラを滲ませてくるタイプだった」と懐かしそうに振り返る。
また、平原が「オーディションで役が決まったとき、別の国のサティーン役が『おめでとう』と祝ってくれました」と、海外カンパニーとの心温まるエピソードも披露。役について相談したときも、「慣れるから頑張って」とエールをもらったという。
会見は記者からの質疑応答の時間に移り、日本カンパニーならではの本作の特徴について質問が挙がった。望海は「世界各国で本公演を観てきた、原作映画の監督であるバズ・ラーマンさんが言うには、日本公演は悲劇性が強く一番泣けるらしいんです。日本人が演じる特徴なのかもしれない」と話し、甲斐は「他国がどうというわけではないですが、日本カンパニーの稽古場にいると、全員の目から『誇りを持ってこの作品を日本に届けたい』という強い意志を感じるんですよね」と言葉に力を込め、井上も「毎公演みんなが全力で取り組んでいました。昨年はコロナ禍も少し落ち着き、カンパニー全体からこの作品ができる喜びが溢れていました」とコメントした。
本作は、現・帝国劇場のクロージングラインナップの一つ。「帝劇といえば、井上芳雄さん」と振られ、井上は「初舞台も初オーディションも帝劇だったので、ホーム感が強く(帝劇が)自分の基準になっています。できればこのまま残ってほしいけれど、毎回の舞台に対して記憶をなくすくらい一生懸命取り組んで今がある。自分たちが帝劇に立つ最後の日まで、一生懸命やりたいです」と、同劇場への特別な想いを述べた。
望海は「帝劇に立つのは『ガイズ&ドールズ』のときが初めてで、次が『ムーラン・ルージュ』でした。ギリギリ間に合って良かったです。それまで、帝劇は観劇しに行く場所というイメージ。そのきっかけは、だいたい芳雄さんでしたね」と井上に視線を送り、井上が「帝劇イコール僕みたいな(笑)?」と冗談で返す場面も。
平原は「帝劇の匂いが好き。劇場に入った途端に演劇スイッチがグッと入るような気がして、リニューアルされても匂いだけは引き継いでほしい」という切実な願いを吐露。井上も「確かにワクワクするような、落ち着くような匂いがある」と同調していた。
ミュージカル『エリザベート』で初めて帝劇の舞台に立った甲斐は、「いろんなドラマが生まれてきた歴史ある舞台に、いざ自分が立ったときはまるでマジックにかかったような感覚がありました。まさに、夢の場所です。時代の切り目に携われるのは、とても光栄なこと。寂しいけれど新しい帝劇でこれからどう歴史を作っていくか、一人の俳優としても頑張りたいです」と感慨深げに語った。
サティーンの煌びやかな衣装も話題となった本作。特にどの衣装が好きだったか聞かれ、「Chandelier」の場面で着用する蝶がモチーフの衣装を挙げた平原は「目に何も宿っていない怖いサティーンをイメージして演じました。蝶になれる機会はなかなかないので嬉しかったですね」と振り返った。サティーンが「The Sparkling Diamond」で最初に登場するときに着用するドレスを挙げた望海は「初めて着たとき、衣装を作ってくれた方たちも『うわあ!』と言ってくれて自分自身も感動しました」と話す。
再演に向けてパワーアップしたいポイントを問われた甲斐は「日本初演後、舞台中のクリスチャンのように自分も実際にパリに訪れ、『ムーラン・ルージュ』を観てきました。去年はクリスチャンの気持ちを想像しながら演じていましたが、その実経験を得られたのは大きい収穫だと思います。役への解像度と言葉の説得力は、2023年バージョンを優に超えていきたいです」と再演に向けてすでに気合い十分。
最後に、井上は「二幕冒頭で『クリスチャントス』と呼ばれるクリスチャンが投げ飛ばされるシーンがあるのですが、今年の目標はあれをやめたいです(笑)」と会場を笑わせながらも、「今年も皆さんがたくさん盛り上げてくださると思いますが、この先もずっと再演が続くような作品にしていきたいです。再演が定着するかは、今年の公演にかかっていると思います。『やっぱりすごいね、ムーラン・ルージュ』と思ってもらえる作品にできたら」と意気込み、会見を締めくくった。
文:矢内あや
公演概要
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』
2024年6月20日~8月7日 東京・帝国劇場
2024年9月14日~28日 大阪・梅田芸術劇場メインホール
キャスト:<各役50音順>
サティーン:望海風斗/平原綾香
クリスチャン:井上芳雄/甲斐翔真
ハロルド・ジドラー:橋本さとし/松村雄基
トゥールーズ=ロートレック:上野哲也/上川一哉
デューク(モンロス公爵):伊礼彼方/K
サンティアゴ:中井智彦/中河内雅貴
ニニ:加賀 楓/藤森蓮華
ラ・ショコラ:菅谷真理恵/鈴木瑛美子
アラビア:磯部杏莉/MARIA-E
ベイビードール:大音智海/シュート・チェン
アンサンブル(E)/スウィング(S) (五十音順表記)
ICHI(E)/乾 直樹 (E)/加島 茜 (E)/加藤さや香 (E)/加藤翔多郎 (E)/酒井 航 (E)/篠本りの (S)/杉原由梨乃 (E)/仙名立宗 (E)高橋伊久磨 (E)/田川景一 (E)/田口恵那 (E)/茶谷健太 (S)/富田亜希 (E)/平井琴望 (E)/堀田健斗 (S)/三岳慎之助 (E)
宮河愛一郎(ダンスキャプテン E)/米島史子 (S)/ロビンソン春輝 (S)/和田真依 (S)
【東宝ナビザーブ 】
◆先行抽選エントリー
3月26日(火)~ 3月29日(金)
◆先行先着販売
4月7日(日)11:00より販売開始
◆一般前売
4月13日(土)11:00より販売開始
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