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圧倒的なスケール感と実力派俳優陣が描く唯一無二の世界観が帝劇のステージ上に再現! ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』観劇レポート

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ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が2024年2月28日(水)に帝国劇場にて千穐楽を迎え、3月26日(火)より北海道公演、4月9日(火)より兵庫公演を控える。

連載スタートから37年――。映画、アニメ、ドラマ、ゲーム、小説、原画展、さらにはハイブランドとのコラボなどマルチな展開で日本国内のみならず世界中で熱狂的な支持を受け、単行本の全シリーズ累計発行部数は1億2000万部超という絶大な人気を誇る、荒木飛呂彦原作の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)。

その全ての始まりとなる第1部「ファントムブラッド」の初舞台化という歴史的瞬間をその目に焼き付けようと、幅広い層の観客が帝国劇場につめかけた。

※作品の内容に触れています。

2月17日(土)昼公演で主人公ジョナサン・ジョースター(以下:“ジョジョ“)を演じた有澤樟太郎は、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの和泉守兼定役で人気を博し、最近では二人芝居『息子の証明』、舞台『キングダム』、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』での熱演も記憶に新しい。

宿敵ディオ・ブランドーを演じる宮野真守は、声優としての活躍は今さら言うまでもないだろう。その一方で俳優として舞台・ドラマ・映画でも多岐にわたって活躍し、2023年には人気バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』の名物コーナー「グルメチキンレース・ゴチになります! 24」にレギュラー出演。共演者からのツッコミを笑いに変えるアドリブ力の高さや、サービス精神あふれるお茶目なキャラクターが話題を呼んだ。

共演には2021年にディズニーのグローバルな祭典の日本版テーマソング「Starting Now~新しい私へ」の歌唱アーティストに選ばれ、ミュージカル界のニューヒロインとして注目を集めている清水美依紗のほか、YOUNG DAIS、廣瀬友祐、河内大和、島田惇平、コング桑田、別所哲也ら実力派キャストが名を連ねた。

演出・振付は海外でも多くの舞台に関わり、2023年上演のミュージカル『ピーター・パン』を担当し注目を集めた長谷川 寧氏。

脚本・歌詞は、舞台『僕のヒーローアカデミア』をはじめ多くの2.5次元作品からミュージカル作品まで幅広く演出を手掛ける元吉庸泰氏が担当している。

音楽は『1789 -バスティーユの恋人たち-』をメガヒットに導き、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』も手掛けたフランスを代表するミュージカル作曲家ドーヴ・アチア氏(共同作曲:ロッド・ジャノワ氏)。ロックをベースに、抒情的でメロディック、そして現代的な要素も取り入れた多彩なサウンドは、日本でもファンが多い人気の作曲家だ。

衣裳は、きめ細かな縫製技術をベースに衣服としての機能を重視した着心地の良い日常着を提案する人気ファッションブランド「yoshiokubo(ヨシオクボ)」のデザイナー久保嘉男氏によるもので、ヘアメイクはワイヤー・竹・樹脂など様々な素材を駆使した独創的なヘッドピースの制作も行う新進気鋭のヘア&メイクアップアーティスト奥平正芳氏など、注目のクリエイター陣が集結し盤石の布陣でお届けする、人間の闇と絶望vs高潔な魂と愛情を描いた壮大なエンターテインメントステージとなっていた。

場内の照明が消え、暗くなったステージ上に一人の老紳士が登場。

その正体は、本作でストーリーテラー的な役割となるスピードワゴン(YOUNG DAIS)。

彼の口から語られるのは、〈謎の石仮面〉と、それにより運命を翻弄された二人の青年の物語。

ヒップホップグループ“N.C.B.B”の一員であり、ソロアーティストや俳優としても活躍するYOUNG DAISは、ハスキーボイスでグルーヴ感あふれるリリックを繰り出し、アンサンブルによる厚みのある歌声の上を自由自在に跳ね回る。

帝国劇場で上演されるグランドミュージカルとラップという意外な組み合わせの予想外の親和性に驚かされた。

19世紀のイギリス。ロンドン郊外で馬車の事故が起き、偶然通りかかったダリオ・ブランドー(コング桑田)が英国貴族ジョースター卿(別所哲也)とその息子ジョナサン(有澤樟太郎)の命を救ったことから悲劇の幕は開ける――。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

時は流れ、父の愛情を受けすくすくと育った正義感あふれる少年ジョナサン(通称“ジョジョ”)の元に、ディオ(宮野真守)が訪れる。

スラム街で父・ダリオの暴力を受けて育ったディオは、父の死を機にジョースター家に養子として迎えられることになったのだが、自分とは何もかも違う恵まれた環境に育った“ジョジョ“に最初から敵対心をむき出しにする。

同じ年の二人は、表向きは“仲のいい兄弟”として育つが、勉学に優れスマートな振舞いの大人びたディオに対し、マイペースで子供らしい素直な心を持つ“ジョジョ“はことあるごとに比較されて悲しい思いをする。落ち込む“ジョジョ“を支えるのは忠実な愛犬のダニー。役者が操るパペットの繊細な動きと愛おしそうにダニーを抱きしめ優しい眼差しを向ける有澤の芝居からは、生きているダニーが“ジョジョ“の周りを嬉しそうに走り回っているようにしか見えなくて心がほっこり温かくなる。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

場面は変わり、「本当の紳士に育ってほしい」との想いから二人を厳しくも温かく教育するジョースター卿は、イングランドに伝わる主君に忠誠を誓い囚われの身となった二人の騎士の物語を語って聞かせる。「彼らの目に映るのは、足元の泥か、それとも頭上の星か、どちらだと思う?」との問いに、

「何も手に入れられない悔恨、無力さ、死んでしまっては何も成すことが出来ない。彼らは泥を見ていたと思います」と無表情に答えるディオ。

「名誉を貫いた二人の騎士の名は歴史に刻まれるでしょう。どう生きたか、どうあったか……彼らは牢獄の窓から頭上に輝く星を見ていたんだ」と目を輝かせる“ジョジョ“。

対照的な二人の言葉と表情に、相反する考え方を持ちながら表裏一体でもあるディオと“ジョジョ“の歪な関係性が透けて見えてくるようだ。

ある日、“ジョジョ“は不良たちにからまれていたエリナ・ペンドルトン(清水美依紗)を助けたのがきっかけで恋に落ちる。初々しい恋の始まりを歌い上げるデュエット曲「淡い時間」は、観る者をキュンとさせる甘酸っぱいラブソング。お互いの名前を呼び合う度に、全身で喜びを表現する“ジョジョ“と頬を赤らめるエリナ。その姿に観客はひと時の癒しを感じることだろう。

原作に忠実に、そして細かいシーンも取りこぼさないようにキャラクターたちのバックボーンを丁寧に描いた脚本もさることながら、演者によって登場人物たちの心情がさらに深く掘り下げられていて、単なる「原作を忠実に再現した舞台」を越えたカンパニーの作品愛と“挑戦”が伝わって来る。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

ストーリーが進むにつれて、純粋無垢な少年だった“ジョジョ“が人を疑う気持ちや人間の醜さを知り、それでも高貴な心を持ち続けようとする姿を有澤が熱演! 特にエリナに対する仕打ちで我を忘れ、ディオに感情を爆発させるシーンは、今まで見たことのない有澤の姿を目の当たりにし、瞬きも忘れて思わず見入ってしまった。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

また、本作の中でディオが、より人間味あふれるキャラクターとして描かれていたのも印象的だ。

目的を果たすためには誰かの命を犠牲にすることもいとわず残虐性を増大させていくディオ。ダリオ役のコング桑田が歌う「暗闇から呼ぶ声」という楽曲が、呪いの言葉のようにディオにまとわりつき過去の辛い記憶をよみがえらせ精神を侵食していく。

圧巻だったのは「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーーッ!!」のセリフからの宮野の怪演! ワイヤーアクションで宙返りを難なくこなす体幹の素晴らしさにも驚かされたが、緩急をつけたセリフ回しや感情が痛いほど伝わる歌声に宮野真守という俳優のポテンシャルの高さを改めて思い知らされた。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

二幕からはウィル・A・ツェペリ(廣瀬友祐)も本格的に登場し、ディオとの最終決戦に向けて怒涛のストーリー展開を見せる!

ツェペリのもとで厳しい修行に耐え、特殊な呼吸法により血液の流れをコントロールし、太陽光と同じ波長の生命エネルギーを生み出す「波紋法」を体得した“ジョジョ“。

そんな彼を、ディオはロンドンの街を震撼させていた連続殺人鬼・切り裂きジャック(河内大和)や伝説の騎士らを従え、邪悪な帝国を築いて待ち受ける。

原作でもひょうひょうとした掴み所のない性格のキャラクターとして描かれているツェペリだが、演じる廣瀬もアドリブでツェペリらしさを入れ、そのコミカルなセリフ回しや立ち振る舞いに場内から思わず笑いが漏れる場面も。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

注目は「波紋」の表現。漫画(二次元)で表現されていたものがステージ(三次元)ではどのように再現されるのか、ファンも興味津々だったと思うが、アンサンブルと一体となった身体表現で、ズームパンチや波紋カッターなどの必殺技が次々と繰り出される様に。

製作:東宝 ©荒木飛呂彦/集英社

ステージいっぱいに映し出される映像の効果や目まぐるしく変化する巨大セットなど、大掛かりなステージ機構もさることながら、ワイヤーアクションやアクロバティックなダンス、スローモーション動作の時間表現など最新技術とマンパワーの融合で原作の魅力を表現。さらにステージ上手の上部に作られたスペースで演奏する生バンドがキャストの動きや息遣いに合わせた演奏を響かせ、物語をドラマチックに盛り上げる。

壮大なスケール感と豪華絢爛な装いで贈る一大エンターテインメントステージだが、原作の核にあるのは「人間讃歌」。

己の未熟さや弱さを知り、認め、恐怖を乗り越える勇気をもって生きることの大切さ・尊さもしっかりと描かれた人間ドラマに観客は大きな拍手を送っていた。

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』は、2月28日(水)に帝国劇場で東京公演の千穐楽を迎え、今後、3月26日(火)〜3月30日(土)に札幌文化芸術劇場 hitaruで、4月9日(火)〜4月14日(日)には兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで大千穐楽を迎える予定だ。4月13日(土)17:00兵庫公演、14日(日)12:00兵庫大千穐楽公演のLIVE配信を予定。
https://www.tohostage.com/jojo/stream.html

文:近藤明子

公演概要

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』

【東京公演】
帝国劇場
2024年2月12日(月)~2月28日(水)
※2月6日~11日は公演中止

【全国ツアー公演】
札幌文化芸術劇場 hitaru
2024年3月26日(火)~3月30日(土)

兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2024年4月9日(火)~4月14日(日)

原作:荒木飛呂彦
「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)

演出・振付:長谷川寧 音楽:ドーヴ・アチア 共同作曲:ロッド・ジャノワ 脚本・歌詞:元吉庸泰

キャスト:
松下優也/有澤樟太郎(Wキャスト)、宮野真守、清水美依紗、YOUNG DAIS、東山義久/
廣瀬友祐(Wキャスト)、河内大和、島田惇平、コング桑田、別所哲也 ほか

製作:東宝

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』 公式サイト
https://www.tohostage.com/jojo/

©荒木飛呂彦/集英社

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