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Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』開幕!「皆さんにとってのホームでもあるように『帰ってきたよ』と伝えられたら」

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2024年9月22日(日・祝)より天王洲 銀河劇場を皮切りに京都、名古屋、神奈川にて各地を回り、 Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』が上演される。

本作は、世界中で最もチケットが取れないミュージカルと言われる「ハミルトン」を生んだブロ-ドウェイの異端児リン=マニュエル・ミランダ の処女作であり、傑作と呼ばれる『イン・ザ・ハイツ』。ミランダ自身が出演した本国版は、2008年度トニー賞最優秀作品賞を含む4部 門での受賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞しました。21年には映画化もされ、ゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネートするなど、 まさに21世紀のミュージカル界に新風を巻き起こした作品。

日本版は、様々な舞台作品において高く評価されているTETSUHARUが演出・振付を手掛け、2014年に初演。日本人では表 現が難しいとされたラップ部分をKREVAが見事な日本語表現に替え、Def TechのMicroをウスナビ役に迎え、日本人に届く日本語歌 詞へ作り上げた。7年後の21年には新キャストで再演、緊急事態宣言で最後は公演中止を余儀なくされながらも、コロナ禍の日本を熱くさせた。

大好評を博した2021年に引き続き、雑貨店を営みながらドミニカへの想いを募らせているウスナビ役に、初演からこの役を演じ続けて いるDef TechのMicroと、21年から参加し多彩なジャンルの話題作への出演が続く平間壮一がWキャストで出演。タクシー会社で働くベニー役には、14年初演以来10年ぶりの出演となる松下優也、ベニーが恋心を抱いているニーナ役には、昨年『ドリームガールズ』で グランドミュージカルデビューを果たし、ミュージカル俳優としての実力を世に知らしめたsara、奥手のウスナビが心を寄せるヴァネッサ役に は、ドミニカ共和国生まれで実力派ミュージカル俳優の豊原江理佳、ウスナビの店で働くソニー役には若手ながら舞台経験が充実している有馬爽人、ヘアサロンを経営しているダニエラ役に、ブラジルと日本のハーフでその圧倒的なグルーヴ感は類を見ないエリアンナ、ダニエラのヘアサロンで働くカーラ役には、14年の初演はアンダースタディ、21年の再演にはアンサンブルとして出演していたダンドイ舞莉花、 これまで男性が演じていたピラグア屋には、本格派シンガーとして注目を集めるMARU、グラフィティ・ピート役には、プロリーグでも実績のあるダンサーで、本作でミュージカルに初挑戦するKAITA、そして、戸井勝海、彩吹真央、田中利花といったミュージカル界を牽引して きたベテランが出演。『イン・ザ・ハイツ』の世界観を描き出すのに最高の顔ぶれが集結した。

今回は、 Micro(Def Tech)、平間壮一、松下優也、sara、豊原江理佳、 エリアンナ、MARU、KAITA、TETSUHARU(演出・振付)が登壇した取材会の様子ゲネプロの舞台写真をお届けする。

今回三度目の上演となる本作。今回ならではの演出や振り付け、特に注目してほしい点について演出のTETSUHARUは、「本当にキャストに恵まれているなと思います。やっぱり皆さんエネルギーが凄いですよね。各シーンで本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくださっているので、素晴らしいエネルギーとパフォーマンスを十分に楽しんでいただける作品になっています。なので、どこか一ヶ所というよりは、どこが良いかは皆さんに感じていただけたら。各ジャンルのスペシャルな方たちに参加いただいたことが、本作にとってすごくプラスに働いていると思います。ダンス、歌、お芝居、バンド、全てにおいてリニューアルされた中で、ブロードウェイミュージカルの歴史やこの作品においてのあり方、そんなことを話し合いながら大事に作り上げた、この日本版の『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』をぜひ劇場で体感していただきたいです」と2024年版の魅力について語った。

Wキャストでウスナビ役を演じるMicro(Def Tech)と平間。二人から今回のカンパニーの魅力について語られた。

平間は「今回のカンパニーの魅力は若さというか、体当たりで舞台に向かっているところが素晴らしいと思っています。思った通りにバンッとやるところが他の舞台にはないところだと思いますし。みんな元気で仲が良くて優しい人たちがいっぱいいるのですが、その裏には人の痛みや寂しさ、自分自身の居場所を探し続けてきた人たちなんだろうと思わされるような人柄が多くて。それがよく出ていると思うので、『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』、良いものになっているなと思います」と

Microは「僕は、長男のMi(マイ)ナビ、次男は壮ナビなんですけど、やっぱり長男は覚えが悪くて要領が悪いです。壮ちゃんの覚えるスピードも含めて、壮ナビはこれが3度目の『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』で完璧なものになっております。そしてとにかくみんなの歌がピカイチです。踊りもKAITAくんが入ってきてくれたことによって、歌、踊り、演技、全て言うことはございません、ほんとにすごいです」と本作のカンパニーの魅力を熱く語った。

10年ぶりに本作に出演する松下は、この10年を経てどんな変化があったかという問いに「 自分自身はすごく変化がありまして、初演の時はまだ今ほどミュージカルをやっていなかったので、ミュージカルというものに対してまだどこかに少しアウェイの気持ちがある中での参加だったんです。ただ10年前にも、作品的にホームのような感覚はすごく感じていて。

ただ、やっぱり音楽が素晴らしかったりパフォーマンスが派手だったりする分、勢いだけで10年前はやってしまっていたなと。この10年間で自分もいろいろなお芝居やミュージカルをやらせてもらうようになったので。楽曲の素晴らしさだったり派手なパフォーマンスに繋がっていく、その根っこの部分のお芝居というものに、今回はより重きを置いてやりたいと思いました。10年前はそんなことを考えられていなかったので、自分的にはいい感じに再構築して作れた気がします。

あとは変わったところで言ったら、やっぱりこのエアフォース1でしょうか。ベニーといえばやっぱりスニーカーでしょということで、今回はスニーカーになりました(笑)」とスニーカーを手に持ち、熱意を述べた。

ニーナ役のsaraは、父親役の戸井勝海、母親役の彩吹真央との家族のシーンが多いが、二人との共演について「最初、ニーナとしてとても大切なことを両親に発表するシーンがあって、自分自身の緊張も相まってガチガチガチッという状態で始まったのですが、稽古期間に戸井さんと彩吹さんにご飯に連れていっていただいて。先輩としても両親役としても、もがいている自分をすごく包み込んでいただきました。私自身、両親役のお二人に対して役を超えたものが生まれていく感覚があるので、本当に感謝しかないです。お二人にちょっとでも芝居の面でスパークで返せるようにこれからも本番で試していきたいと思っています」と二人との共演について触れた。

以前から憧れていたというヴァネッサ役を演じる豊原。本作の楽曲を実際に歌ってみた感想については「ヴァネッサの曲で最初に一人ステージで歌い始めるんですけど、客席に小学生の時の自分がいるような気がして。『私ここでヴァネッサをやっているんだ』って。夢なのか現実なのかわからない変な気持ちになって、その時の自分に誇らしい気持ちで今回舞台に立てるなと思います。本当に大好きな作品なので、リラックスしながらスパークしたいと思います」と憧れの役を演じる心境を語った。

今まで男性が演じてきたピラグア屋を演じるMARU。これまで舞台や映画で男性が演じてきた役を自身が演じることによって伝えたい想いについて「稽古前はどうすればいいのだろうと思っていたのですが、ピラグア屋はストーリーと関係ないシーンが多いので、男だから女だからというよりは、自分の歌でシーンの色が変わると言いますか。そういう役回りがピラグア屋にとって大事だと思うようになったので、あまり男性女性ということは考えずに、ピラグア屋の『売るぞ!』という奮い立つ気持ちみたいなものを楽しく歌うようにしています」と想いを述べた。

今回三度目の出演となるダニエラ役のエリアンナ。本作のメッセージ性について、「リン=マニュエル・ミランダさんが作られた素晴らしい楽曲とストーリーもありますし、10年前はラップがみんなの耳に慣れているかなと思う部分もあったのですが、総じて私がこの『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』で感じていることは、人間賛歌だと思っているんです。それは世界どこでも共通していることだと思うので、今を生きているっていうことは、年代も年齢も肌の色も何もかもが全員に伝わることだと思うので。日本で10年経っていますが、それはずっと色褪せていないと思っています。今回2024年版の『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』もステージに立っている私たち、スタッフ、観に来てくださる方たちにとって、セレブレーションな空間にしたいと思っています」と熱い気持ちを語った。

今回が初のミュージカル出演となるグラフィティ・ピート役のKAITA。ミュージカルへの出演で表現の面などに影響があったかという問いには「俳優なんて言ったらすごくおこがましいですが、優也くんやMicroさんは、僕がダンサーとして活動している時から見てくださっていて。多分お二人が一番ダンサーの時との違いを感じていらっしゃると思います。

ダンスをやっている時は、自信を持って取り組むことができているんですが、今回稽古も初めてで、本当に右も左もわからない状態で何度もご指摘をいただいたり、自分の中で模索しつつ考えながら取り組みました。結局、最終的には自分が今までダンサーとして培ってきたヒップホップマインドだったり、ダンサーとして大事にしているものをグラフィティ・ピートとして投影させることが、今回自分の出る意味だったり、より前作よりレベルアップさせたものになるのではと感じて。そういうところを意識して楽しんでやっていこうと思っています」と熱意を持って語った。

最後にウスナビ役の二人から初日を迎える意気込みについて語られた。

平間は「もう気合いしか入っていないです。キャストやスタッフさんたちの気合いがすごく目に伝わってくるので、初日頑張っていきたいなと思っています。皆さんにとってのホームでもあるように『帰ってきたよ』と伝えられたらいいなと思いますし、初めて観る方にはまた新しい場所ができたと思っていただけたら。

たぶん今の世界って、みんなそれぞれ受け入れ体制みたいなものは徐々にできてきているとは思うんです。でもいろんな人種や様々な人たちが集まった時に、人のためを思って動くのってちょっと難しかったりするのかなと。めちゃくちゃ難しいんですが、どんな人であろうと他人のことを思って、隣の人を思って、会ったことのない人のことを思って生活していけば、1人1人がその優しさをちょっとずつ増やしていくだけで世界は変わっていくんじゃないかなと自分的には思っていて。そんなことをこの舞台を観て思ってくださると嬉しいなと思います」と

 Microは「日本において3度目となるこの『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』。TETSUHARUさんとも3度目ですが僕にとっても3度目の正直というところがあります。数字の3というのは本当にマジックナンバーです。これが今日初日を迎えてお客様が千秋楽までに何度も来たくなる、そういう作品になるためには僕ら1人1人がステージの上で壮ちゃんが言うように、いるだけで輝いていく、やるべきことをしっかりやっていく。壮ちゃんのお陰でウスナビの人間力は高まりました。この人間力って僕は目の前の1人を尽くし抜くこと、楽しませること、喜ばせること。ここを徹底して1人1人カンパニーの皆さんと最後まで走り抜いていきます」と意気込みが語られ、取材会は終了した。

文・撮影:THEATER GIRL編集部

舞台写真

公演概要

Broadway Musical 『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』

原案・作詞・作曲 リン=マニュエル・ミランダ
脚本 キアラ・アレグリア・ウデス
演出・振付 TETSUHARU
翻訳・訳詞 吉川徹
歌詞 KREVA
音楽監督 岩崎廉

出演 :

ウスナビ:Micro [Def Tech]/平間壮一(Wキャスト) 
ベニー:松下優也 

ニーナ:sara 
ヴァネッサ:豊原江理佳 
ソニー:有馬爽人

ダニエラ:エリアンナ 
カーラ:ダンドイ舞莉花 
ピラグア屋:MARU 
グラフィティ・ピート:KAITA

ケヴィン・ロザリオ:戸井勝海 
カミラ・ロザリオ:彩吹真央 

アブエラ・クラウディア:田中利花 

ハイツの人々: SHUN MAOTO LEI ‘OH 鈴木恒守
          SATOKO MORI TokoLefty 根岸みゆ 秋野祐香

スウィング:梅津大輝 江崎里紗

MUSICIAN:キーボード1・コンダクター:田中 葵
キーボード2:伊東麻奈
ギター:齋藤隆広/石本大介
ベース:山口健一郎
ドラム:東 佳樹
パーカッション:一丸聡子
リード:白石幸司/大内満春
トランペット:田沼慶紀/中野 栞
トロンボーン:榎本裕介/脇村佑輔
マニピュレーター:古賀敬一郎

【東京公演】
2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日)
天王洲 銀河劇場

【京都公演】
2024年10月12日(土)・13日(日)
京都劇場

【名古屋公演】
2024年10月19日(土)・20日(日)
Nitterra 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【神奈川公演】
2024年10月26日(土) 14:15開場/15:00開演
大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホール

公式HP https://intheheights.jp/
公式X @intheheightsjp

企画・製作 アミューズ/シーエイティプロデュース/ぴあ

お問い合わせ 【公演事務局】 information2@pia.co.jp(平日 10:00〜18:00)

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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