ふぉ~ゆ~越岡裕貴、横原悠毅(IMPACTors/ジャニーズJr.)ら出演。『GARNET OPERA』「自分が織田信長を演じられるなんて、夢のよう!」
ゲネプロレポート
物語は、明智光秀の元に織田信長からの書状が届くところからスタート。
西田大輔演出の舞台では定番のオープニング殺陣から、それぞれの登場人物にたっぷりと見せ場が用意されていて、すでに目がいくつあっても足りない状態だ。
織田信長役の越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)は、スピーディーで流れるような太刀筋で斬りかかる敵兵たちをバッサバッサと切り捨てる! 圧倒的なオーラを放ち、第六天魔王と呼ばれ歴戦のつわものから恐れられる絶対的な存在として、武将たちの前に立ちはだかる一方で、各大名とのコミカルなやり取りを随所に入れて来るなど緩急のある芝居でシーンを盛り上げていた。
木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)を演じるのは、横原悠毅 (IMPACTors/ジャニーズJr.) 。本作が単独での舞台出演は初めてながら、信長に対する絶対的な憧れ、光秀に対する引け目に苦悩しながらも、戦の世で天下取りのゲームに加わる“覚悟”を決める様を、生き生きと演じてみせた。落ち着きなくバタバタと走り回り、体勢を崩しながら刀をブンブンと振り回す粗野な殺陣も愛嬌があって“サル”っぽく、百姓上がりの武将・木下藤吉郎のイメージにはピッタリだった。
『仮面ライダーゼロワン』で滅/仮面ライダー滅役でブレイク後、舞台・ドラマなどでも活躍する砂川脩弥は、本作で知将・明智光秀をクールに演じる。君主・信長の気まぐれに振り回されながらも、幕府や各大名との間を取り持ち、信長の配下武将筆頭として着々と戦の準備を進めていく。しかしストーリー中盤から後半にかけて彼自身の生い立ちや心の内が語られると、ドラマなどで語られてきた「謀反人」のイメージとは違う、優しさゆえに苦しんだ男の生き様が繊細に描かれていた。
アイドルグループ「℃-ute」で活躍後、女優として舞台・テレビ等で精力的に活躍する矢島舞美は信長の妻・お濃を熱演! 男勝りの口調や凛としたたたずまいもさることながら、長い髪を振り乱しながらの舞うような剣さばきは思わず息をのむ美しさだった。
片山萌美が演じるミステリアスな女性・煕子(ひろこ)は、信長の命により本願寺を訪れた明智光秀と次第に心を通わせていく様子を丁寧に繊細に演じてみせた。
武田勝頼を演じるのは、2.5次元系を中心に多くの舞台やドラマで活躍する山口大地。鍛え上げた肉体から放たれる力強い殺陣で圧倒するだけでなく、偉大な父・武田信玄と比べられ内に抱える感情を爆発させるなど、人間味あふれる魅力的なキャラクターを表現。
真田幸村を演じる井澤巧麻は、武田勝頼に付き従いつつ、戦いに身を投じる若き武者をエネルギッシュに演じてみせた。
徳川家康役の伊藤玻羅馬は、落ち着いた物腰ながら天下取りの野望に向けて静かに心を燃やす家康を演じる。爽やかにホトトギスの句を詠む物分かりの良い好青年のようであるが、実は一番のくわせ者なのでは・・・・・・と思わせる底知れなさが垣間見られる様子にドキドキさせられた。
前田利家を演じた松田昇大は、柴田勝家との微笑ましいやり取りでほっこりさせる一方、利家の異名でもある「槍の又左」を体現するようなダイナミックな槍さばきで観る者を魅了。
シンガーソングライターとして活躍するこぴは、本作が初舞台。小柄な身体ながらエネルギッシュでフレッシュな八重役を熱演。光秀を前にした“恋する乙女”の表情に対し、藤吉郎への塩対応っぷりに客席から笑いが起こるシーンも度々あった。
斬劇『戦国BASARA』雑賀孫市役をはじめ、普段からアクション系の舞台が多い護あさなだが、本作で信長の妹・お市を演じる。亡夫・浅井長政への想いを胸に、兄・信長への畏怖の念や自身との婚姻を望む勝家に対する憐憫の情を繊細に演じていた。
柴田勝家役の星 智也は、俳優業のほかに声優やCMナレーションの仕事も多く、とにかく声がいい(イケボ)! 武将たちに対し威厳たっぷりに接していたかと思えば、想いを寄せるお市を前にすると照れたような優しい笑顔を見せるなど、その表情の落差にもキュン♡とさせられた。
見届け人としてこの「ゲーム」に立ち会うこととなった室町幕府の将軍、足利義昭役の根本正勝は、ストーリー前半“いじられまくり”のコミカルな姿から一変、後半に向かうにつれて次第に狂気をはらんだ表情に変化していき、幅の広い芝居でピリッとした空気を物語の中に忍ばせる。
上杉謙信役の村田 充は、飄々とした雰囲気をまといながらも、ここぞという場面では織田信長に意見するなど軍神のカリスマ性を感じさせるシーンが随所にあり、長い手足を活かしたダイナミックな立ち回りは観ていて惚れ惚れした。
12年前に『GARNET OPERA』を観た時に感じた熱量や勢いはそのままに、さらに洗練された印象を受けた本作。史実に基づきながら描かれる、戦いという命がけの「ゲーム」を楽しむ武将たちのドラマチックな生き様にワクワクが止まらない!
休憩をはさんで約3時間という長時間の舞台だが、ふんだんに盛り込まれた殺陣や思わずクスっと笑ってしまうコミカルなシーン、そして涙を誘うそれぞれの人間ドラマなど、最後の瞬間まで一気に駆け抜けていく戦国絵巻を、ぜひ楽しんで欲しい。
文:近藤明子
撮影:くさかべまき
あらすじ
時は戦国時代。
人の命は軽く、生きるのに困難な世。
そんな戦国の世も、時に残虐ともいえる武力を持つ魔王・信長率いる織田軍団によって天下布武が進んでいた。
ある日、各地に散らばり主命に邁進する配下に魔王・信長より招集がかけられる。
後の太閤豊臣秀吉こと木下藤吉郎、 織田軍筆頭・明智光秀、徳川300年の祖・徳川家康、信長の居城安土に続々と集まる織田軍団。
そしてそこには敵である 戦国最強・上杉謙信、常勝武田軍を率いる武田勝頼、日の本一の武士・真田幸村らも加わっていく。
一触即発、不穏な空気が漂う中、魔王・信長が一喝
「せっかく集まったんだゲームしようぜ」
一同の前に置かれる龍の刻印が記された宝箱。
この宝箱を開ける鍵は参加者の持つそれぞれの宝。魔王・信長も参加する戦国オールスターによる宝の争奪戦!
主君の参加でゲームに勝つことを半ばあきらめる藤吉郎、主君の真意を探ろうとする光秀、織田憎しで燃え上がる勝頼、それをけしかける謙信。
それぞれの思惑などお構いなしに魔王・信長はゲームの開始を宣言する。
「楽しめよ。・・・・・・・・但し、本気でな。」
かくして、ここに魔王・信長も参加する戦国オールスターによる命をかけた宝探しの幕が切って落とされた!
公演概要
『GARNET OPERA』
原作・脚本・演出:西田大輔
出演:越岡裕貴(ふぉ~ゆ~) 横原悠毅(IMPACTors/ジャニーズJr.) 砂川脩弥 /
矢島舞美 片山萌美 山口大地 井澤巧麻 伊藤玻羅馬 松田昇大 こぴ/
護あさな 星 智也 根本正勝 村田 充 ほか
<東京公演>
日程:2022 年1 月21 日(金)~30 日(日)
会場:EX TEATER ROPPONGI
<大阪公演>
日程:2022 年2 月4 日(金)~6 日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール
公式サイト:http://GARNET2022.com
公式Twitter:@garnet_opera