岡本健一、成河出演。『建築家とアッシリア皇帝』追加公演が決定!
2022 年 11~12 月、シアタートラムにて上演される二人芝居『建築家とアッシリア皇帝』。この度、9 月のチケット一般発売で即日予定枚数終了に伴い、追加公演が決定した。
本作は 8~9 月に上演した『毛皮のヴィーナス』に続き、「トラム、二人芝居」と称し、新進の演出家と、魅力あふれる実力派のキャスト陣とのタッグでお送りする、二人芝居企画の第二弾。
演出はシアタートラム初登場となる生田みゆきが務める。不条理劇と評される本作を、残酷で倒錯的な世界を夢想とユーモアを織り交ぜて描き出した作品であると語り、生田ならではのフレッシュで斬新な視点で演出に挑む。
出演は岡本健一と成河。演劇界で縦横無尽に鮮烈な活躍を続ける 2 人の役者の、夢の競演が実現した。
ストーリー
“なんでもいいから俺に奇跡を見せてくれ、お前の存在を感じたいんだ”
絶海の孤島に墜落した飛行機から現れた男は自らを皇帝(岡本健一)と名乗り、島に先住する一人の男を建築家(成河)と名付けて、近代文明の洗礼と教育を施そうとする。お互いの存在を求め合いながらも、ぶつかりあう二人。そのうち二人は、いろいろな人物の役を演じはじめ、心の底にある欲望、愛憎、そして罪の意識をあからさまに語り出す。その行為はやがて衝撃的な結末を生みだすきっかけになっていく……。
コメント
上演台本・演出:生田みゆき
『建築家とアッシリア皇帝』を初めて読んだのは数年前のことですが、たくさんの要素が詰め込まれた膨大な台詞に 面喰らったり、母親に対する異常なまでの愛憎に一女性として戸惑ったりしつつも、演劇という表現に託して何かをしつこく描き出そうとする作家の途轍もないエネルギーにとにかく圧倒されたことを覚えています。このエネルギーが、 作家が幼少期に経験したスペイン内戦に深く根差していることは多くの方が指摘されていますが、その悲しみや憤 りが少し実感をもって私に迫ってきたのは、今年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降でした。
連日様々なメディアを通して伝わってくる戦地の惨状と各国の対応。ある日を境に突然日常が崩壊し死が迫る不条理に怒りを覚えつつも、正義と悪という風に極めて単純化された構図の報道や、西側諸国のウクライナに対する手厚い支援から垣間見える無意識の人種差別に対する疑問なども浮かんできました。そんな中で戯曲を改めて読みなおしたときに、演出の道筋がおぼろげながらも見えてきたように思えました。これまで実験精神や開拓心のある作品を数々送り出してきたシアタートラムで、客席と一体感のある空間や、この戯曲の中に散りばめられた遊びの 要素を最大限に生かしながら、より良き未来を目指す人類の矛盾と葛藤を、赤裸々に描き出せたらと目論んでいます。
そして岡本健一さんと成河さんは、そんなハードな挑戦にユーモアを忘れずに果敢に飛び込んでくださる素晴らしい舞台人だと感じています。「皇帝」を名乗る男は、尊大であると同時に卑屈でもあるという振幅の大きなキャラクターです。岡本さんの少年のような自由さと好奇心そして正直さが、どのような表現となって立ち上がるのかとても楽しみです。そしてその皇帝を受け止める「建築家」は、いつも作品の細部まできちんと把握したうえで相手役のすべ てを受け入れて、自分もどんどん飛躍される成河さん。「二人芝居」という、人間同士の関係が最もシンプルな形で構成されている戯曲ですが、「ごっこ遊び」を利用してその関係はどんどん変化します。演出者としては、岡本さんと成河さんが持っていらっしゃる強靭な声と身体を駆使して遊び倒せる空間を準備し、今こそ上演する意義のある作品を創りたいと思います。劇場でしか体感できない生の身体を、是非お楽しみください。
【皇帝役】岡本健一
この作品を 2022 年 11 月・12 月に上演するということに、私は心を躍らせています。
躍らせているとともに、感傷的に陥ったり、攻撃的な感情が高鳴ってきたり、支離滅裂な思いをひとつひとつに細かく細分化したり、そして何よりも成河との二人芝居であることに、全く予想のつかない事件性のある過激で愛に溢れた物語になるのだと思います。
登場人物が、どんな喋り方をするのか、どんな気持ちで時間が進んで行くのか、私自身がどのような姿になっていくのか、何も決められない、決めてはいけないような作品な気がします。
演出の生田さんが、ごく普通のマトモな人間とは言えない私達二人を何処に導いてくれるのかも予想がつきません。
演劇はLIVE なのだと思います。
今までに自分が関わってきた演劇の中で、こんなにも凄まじい戯曲は初めてです。
あらゆる枠を超えてしまっている、今の私達でしか成り得ない自由で演劇ならではの二人芝居。是非、シアタートラムという冒険心が豊かで濃密な劇場で体感して下さい。
要必見です。
【建築家役】成河
ありそうでなさそうな奇妙な設定、色鮮やかな演劇ごっこみたいな楽しさが散りばめられていたかと思ったら、明確な近代文明批判を繰り広げたり、突如としてドロドロの人間心理の闇に落ちていったり。とにかく読み解くのに相当なエネルギーのいる作品です。これを「不条理演劇」とひとことで言い表すのは現代としてはやはりそぐわない、今からおよそ60年前の先鋭の娯楽、思想というのはともすれば古びたものに感じてしまう、その難しさも感じています。この戯曲を現代に開いていくのはとても大きな挑戦であり、大冒険です。僕が強く惹かれるのは、アラバールが筆を打ち付けるようにして書いた、言外の雑多なエネルギーです。言葉で説明出来るものを優に超えたところにある、強い執念のようなもの。それを現代の感覚でどこまで具体的に掴めるか、そういう挑戦になると思います。掴んで、開く。 その作業を岡本健一さん、生田みゆきさんと、こだわりにこだわりにこだわり抜いて、やってみようと思います。大冒険です。
公演概要
『建築家とアッシリア皇帝』
【作】フェルナンド・アラバール 【翻訳】田ノ口誠悟 【上演台本・演出】生田みゆき
【出演】岡本健一 成河
【美術】堀尾幸男 【照明】横原由祐 【音響】藤平美保子
【衣裳】宮本宣子 【ヘアメイク】林みゆき 【アクション】渥美博
【演出助手】田丸一宏 【舞台監督】澁谷壽久 【技術監督】熊谷明人 【プロダクションマネージャー】勝康隆
【制作】法月智美 田辺千絵美 佐々木裕子 【プロデューサー】浅田聡子
【芸術監督】白井晃
【宣伝美術】秋澤一彰 【宣伝写真】山崎伸康
【宣伝スタイリスト】スド=キョ=コ 【宣伝ヘアメイク】林みゆき
【日程】 2022 年 11 月 21 日(月)~12 月 11 日(日)
【会場】シアタートラム
【トラム、二人芝居『毛皮のヴィーナス』『建築家とアッシリア皇帝』公式Twitter】@tram_2022
【世田谷パブリックシアター公式 Twitter】@SetagayaTheatre
【お問合せ】世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515 https://setagaya-pt.jp/
【主催】公益財団法人せたがや文化財団 【企画制作】 世田谷パブリックシアター 【後援】世田谷区