トリンドル玲奈インタビュー KERA CROSS 第七弾『シャープさんフラットさん』「同じ目標に向かっていく作業が本当に楽しい」(前編)
2026年6月19日(金)より東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAを皮切りに、名古屋、大阪にてKERA CROSS 第七弾『シャープさんフラットさん』が上演されます。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏の選りすぐりの戯曲を、才気溢れる演出家たちが異なる味わいで新たに創り上げる連続上演シリーズ・KERA CROSS(ケラクロス)。2019年に始動したシリーズの第七弾公演は、2008年にナイロン100℃結成15周年記念公演として上演されたKERA氏の半自伝的戯曲「シャープさんフラットさん」(2008年)が上演。
シャープさん・フラットさん=「世の中の価値観から半音ズレてしまった人々」が織りなす、「笑い」への執念とその先にある「狂気」を描く物語を演出するのは、演劇コントユニット・ジョビジョバのリーダーで、演出家・脚本家・俳優として多方面で活躍するマギー氏。長年笑いにこだわり、ナイロン100℃版の公演にも出演したマギーが新たな視点で物語の核をより繊細に描き出します。
主人公の劇作家・辻煙役を演じるのは、独自の存在感を放ち映像・舞台で目覚ましい活躍を見せる柄本時生さん。共演には、高梨臨さん、安達祐実さん、田中俊介さん、トリンドル玲奈さん、松永玲子さん、マキタスポーツさん、堀部圭亮さんなど多彩な顔ぶれが集結しました。
THEATER GIRLは、トリンドル玲奈さんにインタビュー。前編では、出産後初となる舞台出演への思いや、初舞台から信頼を寄せるマギーさんの演出の魅力、難解ながらも引き込まれるケラリーノ・サンドロヴィッチさんの脚本の印象についてお話を伺いました。さらに、役柄との向き合い方や1990年代を舞台にした本作ならではの魅力についても語っていただきました。
いつかその世界に飛び込んでみたいという気持ちがあった
――今回が3度目の舞台出演で、さらに出産後初の舞台出演とのことですが、出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
出演が決まったのは、妊娠が分かる前だったのですが、もともとKERAさんの世界観に興味があって、いつかその世界に飛び込んでみたいという気持ちがありました。
マギーさんは初舞台の時も指導していただいて、私のことも理解してくださっているので、安心して挑むことができるというのも出演したいと思った理由の一つです。
初舞台を含め、2度の舞台を経験して今回を迎えるので、少しは成長した姿をお見せできるかなという思いもありますが、まだまだ経験は浅いので、今回もたくさんのことを教えていただきたいと思っています。
――今回はKERAさんの作品をマギーさんが演出されるということで、前回とはまた違った印象がありますか?
マギーさんからは「初演の映像は観なくていいよ」と言われていたのですが、その前にすでに観てしまっていたんです(笑)。最初に台本を読んだときは、簡単な作品ではないなと感じ、何度も読み返しました。
今回は、マギーさんが書き足されている部分もあるので、前回の初演とまったく同じではなく、“マギーさんバージョン”になっているなという印象です。

――初舞台の時にマギーさんの演出を受けられて、特に印象的だったことはありますか?
本当に何もわからない状態だったので、舞台の上手・下手から動き方、声の出し方まで、一から丁寧に教えてくださったんです。共演者の皆さんもとても親切で、いろいろなことを教えてくださいました。
マギーさんはとても優しい方ですが、伝えるべきことはきちんと伝えてくださるんです。ご自身も俳優として活動されているので、役者がどう言われたら傷つかないか、どう伝えれば前向きに受け取れるかをすごく考えてくださっている方だと感じます。
しかも、自分なりの気持ちや考えを反映できる余地も残してくださるんです。周囲への演出やアドバイスも的確でわかりやすいので、とても安心感があります。
今回は「笑い」の要素も随所に散りばめられていますが、そういった部分もマギーさんにお任せしていれば大丈夫という信頼があります。難しい作品の中で笑いを成立させるのはさらに難しいのですが、絶妙な間やタイミングをみんなで何度も探りながら作り上げているところです。

登場人物それぞれがどこかに生きづらさを抱えている
――台本を読まれて、どのような印象を受けましたか?
KERAさんの半自伝的な作品だと聞いて読み始めたのですが、登場人物それぞれがどこかに生きづらさを抱えているんです。特に主人公はそうで、自分が生み出したものや笑いがなかなか受け入れられなくても、生きていかなければならない。そんな生き方をしている人たちの物語だと感じました。
「ここまで深く物事を考えたことはないかもしれない」と思うほど、自分よりずっと先を歩いているような人物が多いです。現実の自分とは重ならない部分もあるので、皆さんがそれをどう演じるのかというワクワク感もありますね。
私が演じる役は、とにかくよく笑うキャラクターです。その笑いを通して、ほかの登場人物の感情を引き出す役割もあるのかなと思いながら取り組んでいます。一度読んだだけではなかなか理解しきれない、本当に奥深い台本だと感じました。
――役柄に共感できる部分はありますか?
少し前に出産したのですが、赤ちゃんが朝一番に私を見てニコッと笑ってくれるんです。その笑顔にすごく救われて、幸せな気持ちになるので、笑顔にはこんなにも大きな力があるんだなと改めて感じています。今回演じる役も笑う場面が多いので、その笑いで目の前の人を救えるかもしれないと思いながら演じています。

本当に多彩なカンパニー
――柄本時生さん、高梨 臨さんなど、多彩な出演者の方々が揃っていますが、共演者の皆さんの印象はいかがでしょうか?
初めてご一緒する方が多いのですが、安達(祐実)さんとは以前共演したことがあって、久しぶりに再会しました。安達さんからは子育てについてたくさん教えていただいたりして、稽古の合間もとてもにぎやかに過ごしています。
(柄本)時生くんは掴みどころのない不思議な面白さがあって、つい目で追ってしまいます(笑)。あまりに見ていたので、「なんでそんなに見ているんですか」と言われてしまって、そこから仲良くなりました。
今回は、10代から60代くらいまで幅広い世代の方が集まっていて、本当に多彩なカンパニーだと感じています。
私はまだ舞台出演が3作目なので、自分が出ていない場面の立ち稽古を見て学ばせてもらうことも多いです。舞台や映像で拝見したことのある方でも、実際にご一緒すると「こういうお芝居もされるんだ」という新鮮な発見があって、たくさんの刺激をいただいています。

――物語の舞台となる1990年代については、どのような印象をお持ちですか?
ビジュアルや衣裳を見たときに、すごくおしゃれだと感じました。私は1992年生まれなのですが、まだ小さかったので時代の雰囲気はあまり実感として持っていなくて。
ただ、マギーさんからは「時代背景を歴史的な観点から深く調べなくてもいい」というお話をいただいているので、台本の中に描かれている情報を手がかりに、「こういう時代だったのかな」と想像しながら作品に向き合っているところです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:遥南 碧
公演概要
KERA CROSS 第七弾『シャープさんフラットさん』
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:マギー
出演:
柄本時生 高梨 臨 安達祐実 田中俊介 トリンドル玲奈
森 準人 岩男海史 白石優愛 土屋 翔 小野晴子
松永玲子 マキタスポーツ 堀部圭亮
◆東京公演
2026年6月19日(金)〜7月5日(日) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
<チケット料金(前売・当日共/全席指定/税込)>
●平日昼・土日公演:9,900円
■平日夜割:9,400円
U-25チケット*:4,800円(全日程共通/チケットぴあ・ローソンチケット前売のみ取扱)
*観劇時25歳以下対象。当日の開場時間から受付にて身分証明書提示の上、指定席券と引き換えます。座席はお選びいただけません。
主催・お問い合わせ:キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜17:00)
◆名古屋公演
2026年7月11日(土)13:00・18:00/7月12日(日)13:00 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
<チケット料金>
11,000円(前売・当日共/全席指定/税込)
◆大阪公演
2026年7月18日(土)12:00・17:00/7月19日(日)12:00 サンケイホールブリーゼ
<チケット料金>
11,000円(前売・当日共/全席指定/税込)
U-25チケット* :4,800円(全日程共通/チケットぴあのみ取扱)
*観劇時25歳以下対象、当日座席指定引換券、要身分証提示。お座席はお選びいただけません。
企画・製作:キューブ
▼公演の最新情報はこちら
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/keracross_7
▼「KERA CROSS」X (旧Twitter) はこちら
https://x.com/keracross2019
