山時聡真×本島純政インタビュー 『オーファンズ』「大切な人や家族のことを思い浮かべてもらえるような作品にしたい」(前編)
2026年6月28日(日)より東京芸術劇場シアターイーストにて、『オーファンズ』が上演されます。
1983年シカゴのステッペンウルフ・シアターで初演されて以来、オフブロードウェイ、ウエストエンドはもちろん、日本でも度々上演されてきたライル・ケスラーの傑作『オーファンズ』。
三人の孤児の男たちの閉ざされた心が共鳴し生まれる愛と友情と葛藤の物語を、東京芸術劇場シアターイーストの緊密な空間で、切なく、力強く描き出します。
愛情深いが凶暴な面のある兄のトリート役には、宮崎駿監督のジブリ最新作『君たちはどう生きるか』で主人公・眞人の声に抜擢され、映画『90メートル』、ドラマ『時すでにおスシ!?』など、多数の映像作品に出演されている山時聡真さん。
ナイーブな弟のフィリップ役には『仮面ライダーガッチャード』の主演でデビューし、1月に紀伊國屋ホールで上演された舞台『光が死んだ夏』の主演も記憶に新しく、ドラマ『るなしい』など、様々な映像作品に出演されている本島純政さん。 若手注目俳優二人が共に翻訳劇ストレートプレイ初出演となります。
そして、二人を導く謎の男ハロルド役には『RENT』『デスノート』『生きる』『この世界の片隅に』『手紙2025』などのミュージカルから『きらめく星座』『白衛軍 The White Guard』一人芝居『ザ・ポルターガイスト』などのストレートプレイまで数々の舞台で確かな存在感を発揮している村井良大さん。
演出は今年2月に『またここか』(作:坂元裕二氏)の8年ぶりリバイバル上演を手がけた荒井遼氏。翻訳は小田島恒志氏が務めます。
THEATER GIRLは、山時聡真さんと本島純政さんにインタビュー。前編では、翻訳劇のストレートプレイに初挑戦するお二人に、稽古を通して感じている難しさや面白さ、それぞれが演じるトリートとフィリップの人物像について伺いました。さらに、初共演ながら兄弟役として築きつつある関係性や、お互いの印象の変化、同世代ならではの距離感についても語っていただきました。
どれだけ遊び心を持ってできるかが大切
――お二人は今回、翻訳劇のストレートプレイに初出演されるとのことですが、実際に稽古を重ねられてみての印象はいかがでしょうか。
山時:これほどのセリフ量をいただいたのが初めてなので、要領を掴むまでの過程がとても大変でした。今は必死に食らいついている状態です。ただ、映像作品と違って舞台は動きの自由度が高いので、どれだけ遊び心を持ってできるかが大切だと感じています。
最近は「今日は部族のように演じてみよう」や、「すべてのセリフを一番大きな声でやってみよう」といった形で、いろいろなパターンを試しているところです。荒井さんの演出を受けながら、自分たちの持っているものを解放していくような稽古をしているので、とても楽しいです。

本島:稽古開始から1時間くらいでヘトヘトになるくらいアグレッシブな芝居をしています。かなり体力を消耗するので、「お芝居でここまで体力を使うんだ」と驚いています。
また、翻訳劇ということもあって、言葉のニュアンスも大切にしています。原作が少し昔の作品なので、より伝わりやすく現代の言葉に置き換えたりと、セリフの意味や脚本そのものについても考えたりしながら取り組んでいるところです。大変ではありますが、その分やりがいも感じます。

――お二人とも舞台出演は2作目となりますが、舞台での取り組みには慣れてきましたか?
本島:いえ、まったく慣れません(笑)。
山時:やっぱり言葉を向ける方向性が映像とはかなり違うので。フィリップに向けて話す場面でも、観に来てくださっているお客様の存在も意識しながら発する必要がありますし、ときには客席に向けて話すこともあります。
さらに、声量も映像とはまったく違うので。そのあたりは今、試行錯誤しながら探っているところです。
――今回は客席との距離もかなり近い空間ですしね。
山時:そうですね。客席を使った演出もありますし、あそこまで近い距離でお芝居をする経験はこれまでなかったので、とても新鮮ですし、新しい感覚を味わえるのが楽しみです。

稽古を重ねる中で、魅力がよりリアルに伝わってくるようになった
――本作では、山時さんが兄のトリート、本島さんが弟のフィリップを演じられますが、それぞれの役の印象や関係性についてはいかがでしょうか。
本島:フィリップはとても繊細で純粋な人物だと感じています。稽古を重ねる中で、その魅力がよりリアルに伝わってくるようになりました。特に、興味のあることに対する好奇心の強さや、自分の世界に深く入り込める能力に長けているなと感じます。
また、兄弟関係についても印象的で、どちらもどこか寂しがり屋でありながら、不器用な形でお互いを求め合っているところがとても人間らしくて、魅力的だと思いました。
山時:トリートは、一見、とても暴力的で怖い人物に見えるので、台本を読んだ段階では、正直あまり良い印象を持てなかった部分もありました。ただ、稽古を通して見えてきたのは、彼が強い孤独を抱えているということです。本当はとても愛情深いのに、その表現の仕方がうまくいかないだけなのではないのかなと。
一番人間味のある人物だと感じますし、弱さを隠すために威圧的な態度で自分を守ろうとするところは、誰しもが少なからず持っている感情だと思います。自信のなさを別の形で補おうとする部分には、共感できるところもありますし、理解したいと思える人物です。
兄弟としての距離感については、フィリップが兄から少し距離を取ろうとする場面もありますが、根底にはお互いを大切に思う気持ちがあると感じているので。その前提を大事にしながら、稽古を通して関係性を深めていきたいです。

最初からどこか似た空気を感じていた
――お二人は今回が初共演とのことですが、お互いの印象や稽古を通して印象が変化した部分があれば聞かせてください。
本島:逆にまったく印象が変わらないんです。最初からとてもしっかりしていると感じていましたし、本当に同年代なのかと思うほど、役に対して嘘がない人だなと。違うと感じたことはすぐに「違う」と伝えるなど、とても正直な方だと思いました。
新しく気づいた点でいうと、お互いに“美容が好き”という共通点があるので、そこから会話が広がることも多いです。
山時:実は共通点が多いんです。性格もどこか似ていると感じますし、どちらもMBTIがESFP(エンターテイナー)なので、最初から似た空気を感じていました。
最初、もう少し大人しい方なのかなという印象を持っていて。今も落ち着いている雰囲気ではありますが、エンターテイナーだと聞いて、少し意外に感じた部分もありました。ただ、一緒に帰ったり、いろいろと話したりする中で、テンション感が合うと感じるようになって、やっぱり共通点が多いなと。
さらに、本読みの段階から、さまざまな読み方で挑戦していて、遊び心を持って取り組んでいる姿が印象的でした。立ち稽古に入った時点でセリフがしっかり入っていて、自分ももっと頑張らなければと感じましたし、良い刺激を受けました。

――お互いに良い刺激を与え合っている関係なのですね。兄弟役を演じるうえで、意識していることはありますか?
本島:特別何かしていることはないですが、日常の会話を大切にしようとしています。
山時:面白いなと思ったのが、最初の頃は「兄弟役だから仲良くならないと」と、意識的に会話をしようとしていた部分があったのですが、稽古が進むにつれて頑張って話さなくても一緒にいられる関係になっていきました。帰り道に二人でいて、無言で過ごしていることも多いのですが、それがまったく気まずくないんです。
――お互いに自然体でいられる関係なのですね。
山時:そうですね。お互いに気を遣わず、安心感があるので、その距離感がとても心地いいです。これまでにあまり経験したことのない関係性なので、面白いなと思っています。
僕はつい会話をしようとしてしまうタイプなのですが、頑張らなくても自然体でいられる。そうした関係性が、舞台上の兄弟の関係にも良い形でつながればいいなと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:遥南 碧
公演概要

『オーファンズ』
出演 山時聡真 本島純政 / 村井良大
作 ライル・ケスラー
翻訳 小田島恒志
演出 荒井遼
2026年6月28日(日)〜7月5日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト
料金(全席指定・税込)
一般:¥8,800
18歳以下:無料 (同伴者半額 ¥4,400)
観劇支援チケット:¥8,800 (チケット1枚の料金で2名がご来場可能。)
*詳しい申し込み方法はHPにて
ホームページ https://orphans2026.com/
X https://twitter.com/GEN_TO_play
