• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • 和田雅成インタビュー 『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』「何も考えずに、その瞬間だけを楽しみに来てもらえたら」(後編)

和田雅成インタビュー 『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』「何も考えずに、その瞬間だけを楽しみに来てもらえたら」(後編)

INTERVIEW

2023年9・10月に東京・大阪にて、『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』が上演されます。

本作は、1997年に京都にて初演。普遍的なテーマ性が高く評価され、その後様々な劇団・プロデュースにより繰り返し上演され、2005 年には宮田慶子演出、相葉雅紀主演で再演。2012年には土田氏自らが演出し、新たな改変を加えて決定版として上演された名作です。

今回、作者の土田氏が大幅に脚本をブラッシュアップし、さらに演出も手がけ、主役の「日本村四番」駅の駅員・高島啓治役に、和田雅成さん、駅に集う人々に、高月彩良さん、小沢道成さん、奥村佳恵さん、佐藤永典さん、尾方宣久さん、久保田磨希さんと個性あふれる実力派を揃え、2023 年の「今」ならではの『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』に挑みます。

THEATER GIRLは主演を務める和田雅成さんにインタビュー。後編では、和田さんが役を演じる上で信念にしていることや小さい頃になりたかった職業などについてうかがいました。

インタビュー前編はこちら

“嘘をどれだけ信じられるか”ということを大事にしている

――今回のようなストレートの舞台から2.5次元作品まで、様々なジャンルの作品に出演されていますが、演じる上で何か信念にしていることはありますか?

舞台や演劇って究極に言うと全部“嘘”なんですよ。もちろん実話のものもありますけど。ただ、嘘をできるだけ本当にしたいと、常々思っているかもしれないです。「結局、フィクションじゃん」ということをできるだけお客様に感じてほしくないので。

僕は2.5次元作品にも多く出演させてもらってますけど、「手から火が出る」なんて嘘じゃないですか。ただ、舞台上では「火が出ている」と信じているからそれが当たり前のことになるんですよね。やっぱりお客様にどれだけ信じてもらえるかが大事だと思うんです。でも、自分たちが信じていないとお客様に見せることはできないと思うので、“嘘をどれだけ信じられるか”ということを、自分の中で大事にしています。

やっぱり好きなものって繋がっていくんです

――今回は、駅員を演じられますが、和田さんが小さい頃になりたかった職業はありますか?

野球選手です。ずっと野球をやっていたので、最初になりたいと思ったのがプロ野球選手なんです。ただ、それが無理だとわかった時に、野球に携わる仕事がしたいと思って、スポーツトレーナーを目指そうと思って。それで気がついたら今です(笑)。

僕、あまり勉強が得意ではなくて、 スポーツトレーナーは骨や筋の名前を全部覚えないといけないので、心が折れました(苦笑)。でも、それまでの夢だったんだなと思います。

ただ、今は役者をやっていますけど、東京ドームで野球ができたり(『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2021』に出演)やっぱり好きなものって繋がっていくんですよね。

――スポーツトレーナーを目指そうとされていたんですね。でも、役者のお仕事も、台本を覚えたりもしますし、かなり大変ですよね……?

それぞれの職業で覚えることもやらないといけないこともたくさんあると思うので、それに比べたら台本はまずは覚えるだけなので。そこからの作業は大変ですけど、覚えること自体は全然大丈夫ですね。

――そうなんですね。ちなみにセリフ覚えは早い方ですか?

どうなんだろう……遅いと思います。多分、遅いから人よりもやっているんだと思います。「台本覚えるの早いね」と言われたりもしますけど、遅いのをわかっているから早く覚えたいというだけなので。

――台本を覚えるときに、和田さんなりの集中方法はあったりしますか?

五感を使うといいということを聞いて、それを実践しています。まず目で見て、その後、セリフを吹き込んで耳を使って、覚えられないところは書いたりと。匂いを嗅ぐことはできないですが(笑)、例えば、カフェで台本を読みながらコーヒーを飲むだけでも、「この時こういう香りでこのセリフを覚えたな」となりますし。それを試したらセリフ覚えが早くなった気がします。

――ちなみに、本番で急にセリフが出てこなくなったアクシデントはありますか?

セリフを忘れることはほとんどないですが、漫才師役をやらせてもらった時に(舞台『あいつが上手で下手が僕で』出演時)、舞台上で漫才がバンバン飛びました(苦笑)。僕も相方も飛びましたし。ただ、芸人さんも普通に本番中に漫才が飛ぶみたいなんです。なので、お笑い芸人さんのリアルを舞台上で知りました。漫才が飛んだ時ってこんなにテンパるんだって。しかも、思い出そうとすればするほど出てこないんですよね。

――お互いにセリフが飛んだときは、アドリブで乗り切る感じなのでしょうか?

そうですね。何をしても出てこないから、もう一度このくだりに戻して、そこからやり始めたり。ただ、そこから改めて生まれてくるものもあって、芸人さんも実際にそうされているみたいなんです。やっぱり舞台はお客様がいないと何も始まらないので、その時はお客様の怖さも感じました。ありがたさと怖さを感じましたね。

――本作でも、もしかしたらそういったアドリブも見られるかもしれませんね。

演出家さんの作り方にもよりますが、会話劇の部分も多いのでどれだけ馴染ませられるかだなと思います。馴染ませれば、アドリブであろうが筋に戻せばいいだけなので。僕、筋に戻すのは得意なんですよ。物語上で遊ぶアドリブが好きなので。

もちろん舞台はセリフも動きも決まっていますけど、「今日はセリフをこう言おう」と、全てを決めている訳ではないので。例えば、もし本番中に物が落ちたらそれに反応しますけど、元々そのセリフはないじゃないですか。そういうことをハプニングとして楽しむのが好きなんです。

あえて起こそうとは思わないですけど、もしそういったことが起きてしまっても、その役で生きていればアドリブでもなんでもないですし。取材の時も、「こういう会話をする」と事前に決めている訳ではないじゃないですか。これを舞台上でもやりたいだけですね。

――では、最後に本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

劇団公演の映像を観た時に 「もう一度観たい」と思ったんです。会話の中に散りばめられていることが多いので、一回では拾いきれないと思います。二回は観たくなると思うので、もし一回で受け止めきれなかった方は、二回、三回と劇場でお待ちしています。上演時間もほど良い長さで観やすいと思うので、何も考えずにその瞬間だけを楽しみに来てもらえたらと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:梁瀬玉実

インタビュー前編はこちら

公演概要

『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』

作・演出:土田英生(MONO)

出演:
和田雅成
高月彩良 小沢道成 奥村佳恵 佐藤永典
尾方宣久(MONO)
久保田磨希

<東京公演>
2023 年 9 月 23 日(土)~10 月 8 日(日)
会場:紀伊國屋ホール

チケット料金:全席指定¥9,000(税込)※未就学児入場不可
学生チケット 3,800 円(税込)※枚数限定、一般発売のみ、当日引換券、要学生証提示

一般発売:2023 年 7 月 29 日(土)AM10:00

主催:ニッポン放送

問い合わせ:Zen-A 03-3538-2300(平日 11:00-19:00)

<大阪公演>2023 年 10 月 14 日(土)
会場:松下 IMP ホール

チケット料金:全席指定¥9,500(税込)※未就学児入場不可
一般発売:2023年9月10日(日)AM10:00

主催:サンライズプロモーション大阪
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(月~土 11:00-18:00)

公式サイト:https://event.1242.com/events/tsubamenoirueki/
公式 Twitter:@tsubamenoirueki
公式 Instagram:@tsubamenoirueki2023

企画・製作:ニッポン放送

ストーリー

のどかな春の日の午後、燕が巣を作る季節。
埋立地に位置する、テーマパークの最寄り駅「日本村四番」でのこと。
駅員と売店の女、その友達、電車に乗り遅れた会社員らが集っていた。
彼らのたわいもないやりとりは、ごく日常の一コマのようで
おだやかな時間が流れている。
ただ、いつもと違うのは電車が一向に来ないこと。
他に人の気配がないこと。
そして空には奇妙な現象がおきていた……。

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧