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西川大貴インタビュー ミュージカル『雨が止まない世界なら』 「クロネコチャンネルがみんなの交流の場所になれたら」

INTERVIEW

2021年、依然としてコロナの収束が見えずに生活を続けている今、西川大貴さんが執筆した新作ソングサイクル『雨が止まない世界なら』のポエトリーリーディング(朗読)がYouTubeチャンネル「クロネコチャンネル」にて公開されています。

今回は、ミュージカル俳優、クリエイター、演出家などマルチに活動し、「クロネコチャンネル」のホストも務める西川大貴さんにインタビューを敢行。新作ソングサイクルをポエトリーリーディングとして発表された経緯、「クロネコチャンネル」の今後の発展についてなど、たっぷりとお話をうかがいました。

経緯も含めて楽しんでもらえたら

――まずは今回、ミュージカル『雨が止まない世界なら』をポエトリーリーディング(朗読)の形で発表された経緯について聞かせていただけますか。

現状、日本のミュージカル業界は、すでに完成された海外作品(レプリカ)を輸入する、というのが主流の中、日本発のオリジナルミュージカルで、さらに知らないタイトルだと、いったいどんな作品なのか見当もつかないし、興味も湧きづらいと思うんです。

いくら出演者に素敵な方が揃っていたとしても、せっかくお金を払うなら、すでに味がわかっている料理を食べたいと思うだろうし、僕もそう思うので。なので、配信音源などで先に楽曲を聴いてもらって、その曲を聴きたいから劇場に観に行こう!という流れが作れたらいいなと、何年も前から思っていたんですよね。

今回はそれと同じような考え方で、まずは一番自由に発想を広げてもらえるように、歌詞のみを公式サイトに掲載して、次に素敵なアーティストの方々にご参加いただいてリーディングという形で作品を発表していくことにしました。音楽や動きの付いていない状態で作品を想像してもらい、その後、音楽がついてどんどん立体化していく経緯も含めて楽しんでもらえたら、と。このアイデアに至ったのは、この作品がソングサイクル(短篇集)だからというのが大きいですね。

――確かに、日本のオリジナルミュージカルだと楽曲も含めて、未知な部分が多いですよね。 

興味は湧くんだけど、チケットを買ったり劇場に足を運んだりというところまでは行きづらいというか。例えば薬膳料理に興味はあったとしても、難しい漢字のメニューだけじゃ、ちょっとよくわからないじゃないですか(笑)。なので、納得して味わってもらえるような方法をこちらで用意できたらいいのかなと思っていたんです。      

――西川さんの他にも、このような取り組みをされている方はいらっしゃるのでしょうか?       

僕以外にも勿論いると思います。例えば、音源を先に出すこと自体は、既に他のカンパニーでもやっていますし。音源が先に出ていると、舞台を観た後でも思い出に浸ることができるし、上演前に音楽で期待値を高めることもできる。PVもそうですが、先行して色々な形で出していくことは、時代ともフィットしていると思いますし。今は、緊急事態宣言下で人にもなかなか会えない状況ですけど、声をリモートで収録することができれば、ポエトリーリーディング動画は作ることが可能なので、その点もこの企画を進めるポイントになりました。

――今回は、リモートで演出もされる感じだったのでしょうか?

そうですね。まずは、家でディレクションムービーというのを撮りまして。「この歌詞はこういうイメージなんです」とか、「この景色を見たときに書いた歌詞なんです」とか。ただ今回はリーディングなので、あまり演出を細かく付けたりはしませんでした。将来的に舞台でやることを再現してほしいということではなくて、「リーディングならではの表現」として作品を発表したかった。例えば、舞台では届かない音量だけど、リーディングであればポツポツ喋ることもできるじゃないですか。

皆さんに自由な発想で読んでもらいたかったので、「このディレクション動画を観る前に、まずは感じたままに読んでみてください」とお願いをして。その後に動画を観て、自分の中でピンときたところだけピックアップしてもらい、もう一度読んでもらうという感じで演出をしました。

――俳優の皆さんが、声だけで演技されているのがとても新鮮でした。動画の最初に「是非、劇場で舞台を観る感覚で。ひとり、落ち着く空間で、ご覧頂ければ幸いです」というコメントが出るので、自然にポエトリーリーディングの世界観にスッと入れる感じもよかったです。

ああ、良かった。やっぱり集中してもらわないと、なかなか入って来づらいと思うし、僕も配信演劇とかを観ていて一番難しいのが集中力を保ち続けることなので。そういう意味もあって、尺も5分間くらいにしているんです。やっぱり時間に余裕のない毎日が続くと、不要不急じゃないですけど、アートにかける時間ってどんどん削られていくじゃないですか。だから、ある意味強制的にでも「落ち着く空間で観てください」という縛りを設けることで、「よし観るか」という気持ちになってもらえた方が、結果的に観て良かったなと感じていただけるのではないかと。

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THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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