古屋敬多（Lead）×馬場良馬×矢田悠祐インタビュー ミュージカル『アラバスター』「人間の欲や本能、美学をすごくむき出しにする作品」（前編）
2022年6月25日(土)より東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに、ミュージカル『アラバスター』が上演されます。
本作は、知る人ぞ知る手塚治虫原作の「アラバスター」をベースにしたオリジナルミュージカル。美しく繊細な世界観に定評のある荻田浩一氏が演出を務め、出演者には、宮原浩暢（LE VELVETS）さん、古屋敬多（Lead）さん、馬場良馬さん、矢田悠祐さん、AKANE LIVさん、涼風真世さんと実力派キャストが揃いました。
今回THEATER GIRLは、ゲン役の古屋敬多（Lead）さん、力仁役の馬場良馬さん、ロック役の矢田悠祐さんにインタビューを敢行。前編では、ご自身の役柄への取り組み方について、本作が初共演だというお三方にそれぞれの印象をうかがいました。
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憎しみや人の持つダークな部分が描かれている作品
――本作への出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか？
古屋：今回、出演のお話いただいたことをきっかけに、初めてこの作品を知ったのですが、漫画の原作を読ませていただいて、憎しみや人の持つダークな部分が描かれている作品ではありますが、その中でも強く生きていく人たちの部分を強く感じたので、すごく勇気をもらえる作品だと思いました。
矢田：僕はもともと、演出の荻田さんに初主演のときから何度もお世話になっていまして。荻田さんの作る世界観をすごく信頼していますし、原作を読ませていただいたときに、荻田さんの好きそうな、人の毒々しい部分がすごく描かれている作品だったので、これをミュージカルにしたらどうなるんだろうと、すごく楽しみになりました。
それと今回、自分の役がいいところが一つもない人間で、今までにあまりやったことのない役柄なんです（苦笑）。悪役だしすごく嫌われる役だと思うんですけど、今回それを演じられるのは、役者冥利に尽きるなと思っています。
馬場：僕は普段ミュージカルをあまりやらないので、今回ミュージカルに参加させていただくことで、自分のお芝居の視野がもっと広がるんじゃないかなと思っています。しかも今回、手塚治虫先生の「アラバスター」を元にしたオリジナルミュージカルということで、手塚先生の描く人間の核であったり、「美とは何だろう」ということであったり、普遍的なことをいろいろなアプローチで哲学的に読者に届けてくれる作品だと感じています。僕も、亜美の兄として、いろいろとアプローチできたらいいなと思いますね。
説得力が出るように、お肌のケアをしている
――改めてご自身の役柄の印象や、役作りをする上でなにか準備されていることはありますか？
古屋：今は、歌稽古をしているところなのですが（取材時）、自分の中のゲンというキャラクターを少しずつ膨らませているところです。ただ、荻田さんを目の前にしたら、ぜんぶ打ち砕かれるんじゃないかなと。でも、ゲンは正義を貫くタイプのキャラクターで、自分自身も少しそういうところがあるので、共感できる部分はあります。でも、ゲンは僕なんかよりも全然カッコいい存在ですね。憧れちゃうようなカッコよさを持った人物だと思います。
――矢田さんは、今までにあまり演じられたことのない役柄とおっしゃっていましたが、改めて今回演じるロックはどういうキャラクターでしょうか？
矢田：ロックってすごいナルシストなんです。でも、よく考えたら僕、初舞台がナルシスト役だったので、今年、役者を始めて10年目なんですけど、ナルシストに帰ってきたんだなと思うと、よく分からない気持ちです（笑）。さっきも言いましたが、ロックって本当にひどい人間なんですよ。ソロ曲の中にも「美しいもの以外、全部滅べばいい」みたいな歌もあって、ちょっとやばい人なんですけど（笑）。
それに説得力が出るように、とりあえずお肌のケアをしてます。肌が荒れたやつがそんなことを言っても良くないと思うので（笑）。こんなに合法的に人に嫌われることもないと思うので、どうやったら相手を嫌な気持ちにできるか、いろんなチャレンジができると思うので、本読みをしながら今いろいろと考えているところです。
馬場：僕は亜美という今回のキーとなる人物が妹で、その兄貴役なんですが。役柄としては義兄弟なので、女性としても亜美のことを好きなんじゃないかという、少し歪んだ愛情みたいな部分もこの舞台で見せられたらいいなと思っています。
初対面の3人が感じたそれぞれの印象とは！？
――皆さんは今までに面識はあったのでしょうか？
全員：今日初めてお会いしました！
古屋：ちょっとまだ探り探りの状態でございます（笑）。馬場くんは身長高くていいなとか、矢田くんは爽やかだなとか、まだそれくらいですね（笑）。
――矢田さんから見てお二人のいいなと思った部分はありますか？
矢田：それはもういいなと思ってますよ（笑）。一緒にお芝居を作るんですから。でも、今日初めて会って、いろいろ雑談もさせていただいたんですけど、お二人ともすごく話しやすくてよかったです。何回も言いますけど、僕こういう役なんで（笑）。多分おとなしくしていたら嫌われると思うんですよ（苦笑）。なので、いっぱい喋りました。馬場さんは、テニミュの先輩で、テニミュに出始めた頃に、過去のいろいろな動画を見ていたので、本物に会ったなという感じです（笑）。
――馬場さんはミュージカルへの出演経験があまりないとのことですが、お二人から勉強したいと思う部分はありますか？
馬場：もう全部ですね。そういう意味で、本当にお二人はミュージカルにたくさん出ていらっしゃるので、自分に取り込めそうなところがあれば、少しでも真似して上手く見えるようになりたいですし、仲良くなっていろいろとテクニックを教えてもらえたらなと思います。
頑張ってぶつかってものにしていけたら
――荻田さんの作る世界観のお話もありましたが、本作は荻田さんの演出でどのような作品になっていきそうでしょうか？
古屋：荻田さんはものすごく演劇愛を感じる方なので、おそらくセリフの一つ一つに、感情の動きみたいなものを求める方なのかなと思います。でも、それってすごく大事なことだなと思うので。歌いながら、歌詞の一部ではなく言葉として、一言一言をしっかり感情を動かしてドラマティックに届けるといった部分は、僕にとってもかなり勉強になりそうな現場だなと思っています。すごく要求のハードルが高いのですが、頑張ってぶつかってものにしていけたらなと思いますね。
――矢田さんは以前から、荻田さんの演出作に出られていますが、改めて今回演出を受けるにあたってはいかがでしょうか？
矢田：以前、ミュージカル「ハムレット」という作品でも、荻田さんに演出していただいたのですが、「ハムレット」って、復讐劇というかすごくおどろおどろしい世界観で。そういう作品でもご一緒したことがあるので今回もすごく楽しみです。今回も、原作がすごくダークじゃないですか。荻田さんって、毒の部分を綺麗に包んで、一見綺麗なんだけど人の心に刺さるようにというか……そういう作品がお得意な方だと思っているので、すごく楽しみです。それから、今回は僕がけっこう年下の方なので、先輩方のお芝居の作り方を見るのもすごく楽しみですね。
馬場：僕も、今回荻田さんと初めてご一緒させていただくのですが、作品自体はダークで、ちょっと心がギューっとなるような感じなんですけど、皆さん良い方ばかりで現場も明るいですし、いい空気の中で稽古が進んでいきそうだなと思っています。たくさんディスカッションして、いいチームワークでお客様に良いものをお届けできるように頑張りたいですね。
取材・文：THEATER GIRL編集部
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公演概要
ミュージカル『アラバスター』
【原作】 手塚治虫
【脚本・演出】 荻田浩一
【音楽】 奥村健介
【企画協力】 手塚プロダクション
【出演】宮原浩暢（LE VELVETS）／古屋敬多（Lead） 馬場良馬／ 治田 敦 田村雄一 遠藤瑠美子 穴沢裕介 岩橋 大／
矢田悠祐 AKANE LIV／ 涼風真世
【日時/会場】
2022年6月25日(土)～7月3日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
2022年7月10日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【席種】 S席（パンフレット付き）13,000円（税込）／S席：11,000円（税込）／A席：7,000円（税込）
※S席（パンフレット付き）の販売は先行のみとなります。※パンフレットは公演当日、会場にてお引き換えください。公演期間以降のお引渡しはできませんのでご了承ください。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【主催】ミュージカル『アラバスター』製作委員会
【お問い合わせ】 東京公演：公演事務局https://supportform.jp/event （営業時間：平日10:00~17:00）
※お問い合わせは24時間承っておりますが、ご対応は営業時間内とさせていただきます。なお、内容によってはご回答までに少々お時間をいただく場合もございます。予めご了承いただけますようお願い申し上げます。
大阪公演：キョードーインフォメーション：0570-200-888（平日・土曜11:00～16:00）
【公式HP】https://www.musical-alabaster.com/
【公式Twitter】 @mu_alabaster
※手塚治虫と手塚プロダクションの「塚」は、正式には「ヽ」がつく旧字表記
