大原櫻子インタビュー『ザ・ウェルキン』「今を生きる私でも共感できる題材だと思った」（後編）

2022.06.16

INTERVIEW

2022年7月7日（木）より東京、大阪にて『ザ・ウェルキン』が上演されます。

本作は『チャイメリカ』で一躍名を馳せることとなったイギリスの若き劇作家ルーシー・カークウッドによるもの。イギリス本国にて2020年1月下旬に初演され大きな話題を呼ぶも、コロナの猛威によるロックダウンのため2ヶ月ほどで上演が中止となりました。それでもなお高く評価されるこの戯曲が、この度日本初演を迎えます。

演出を担うのは劇作家、演出家として今注目を集める加藤拓也さん。自身も「劇団た組」を主宰し、20代作家として初めて「市川森一脚本賞」も受賞した彼は、今作が初めての翻訳戯曲への取り組みとなります。

物語の舞台は1759年の英国東部にある田舎町。殺人罪により絞首刑を言い渡された少女と、彼女の命を委ねられた12人の女性陪審員たちの会話によって、スリリングな推理劇が紡がれると同時に、時代が変われど今なお圧しかかる女性たちの苦難の歴史が描き出されます。

物語の発端となる殺人犯サリー役を演じるのは大原櫻子さん。サリーを取り巻く女性陪審員のうち、中心人物となりサリーを助けようと努力する助産婦エリザベス役は吉田羊さんが務めます。そのほかの陪審員役にはベテランチームに長谷川稀世さん、梅沢昌代さん、那須佐代子さん、峯村リエさん、明星真由美さん、西尾まりさん、若手チームには那須凜さん、豊田エリーさん、土井ケイトさん、富山えり子さん、恒松祐里さんといった、幅広く個性豊かな面々が名を連ねました。

今回、THEATER GIRLはサリー役の大原櫻子さんにインタビュー。後編では、共演者陣への思いや舞台の魅力、学生時代の夏の思い出などについて語っていただきました！

インタビュー前編はこちら

12人の女性陪審員とは「手を取り合って頑張りたい」

――ビジュアルも拝見しましたが、撮影の模様がムービーでもUPされていましたね。エリザベス役の吉田羊さんは、役柄の上でも密接に関わることになるお相手だと思いますが、印象はいかがでしたか？

サリーとエリザベスの劇中の関係性を考えると、ポスター撮りの時にはあまり近すぎる空気感ではないほうがいいかなと思ったので、その時にはあんまりおしゃべりしていなかったんです。でも撮影以外ではとても素敵なお人柄で……こう言うのは後輩として失礼かもしれませんが、気が合いそうな方だなと感じました。

――稽古も間もなく始まりますし（取材時）、実際にやりとりをされるのが楽しみですね。

はい、すごく楽しみです。

――12人の女性陪審員にはベテラン勢から若手まで幅広いキャリアのみなさんがキャスティングされていますが、共演するにあたってはどんなところを楽しみにされていますか？

私も観客のひとりとしてファンである方ばかりで、憧れの12人の方々なんです。共演できることを本当に光栄に思っています。そんな中でもこの作品ではサリーが大切な軸になってくるので、自分でもしっかりブレないようしながら、みなさんと手を取り合って頑張りたいなと思っています。

愛がないとできない行動、それが演劇の素晴らしさ

――映像作品への出演のほか、音楽活動においては先日シングル『それだけでいい』をリリースされたばかりと、幅広く活躍されている大原さんですが、舞台ならではの魅力とはなんでしょうか？

ライブもそうなんですけど、舞台もナマモノであり、ステージに立っている役者たちが自分とは別の人格を演じる。それって、ものすごい緊張感を伴うと思うんです。でも、作品を届けようとする責任感をみんなで抱いて舞台に臨んでいると愛情も生まれるし、愛がないとできない行動だと思うんですよね。それが演劇の素晴らしさだなというのはすごく感じます。