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津田健次郎インタビュー 『したいとか、したくないとかの話じゃない』 「少し景色が変わるようなものにできたら」(後編)

INTERVIEW

2025年5月23日(金)より渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールにて、朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』 2025が上演されます。

2023年4月には東京・俳優座劇場にて、足立紳原作の小説『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉文庫)を足立紳氏と新井友香氏の共同脚本によって朗読劇化。篠原涼子さん、山崎樹範さん、新木宏典さん、佐藤仁美さんをWキャストに迎え、大きな反響を呼びました。

そして新たに2025年版として上演される本作では、妻・大山恭子役は、ドラマや映画を中心に幅広い役柄を演じ話題を呼ぶ板谷由夏さん、夫・大山孝志役は大人気アニメ『呪術廻戦』などで声優を務め、俳優としても数々の映画やドラマに出演している津田健次郎さんが務めます。

THEATER GIRLは、津田健次郎さんにインタビュー。後編では、本作の時代背景でもあるコロナ禍を経て考え方が変わったことや長く活動を続ける中で、原動力になっていることをお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

コロナ禍では「再認識することの方が多かった」

僕はあまり変わっていない方だとは思いますが、どちらかというと再認識することの方が多かったです。エンタメとかアートというものは、現実的な部分ではほぼ何も役に立たないもので、不要不急なものであることを改めて認識しました。

本来、人間の生命維持に直接的には役に立たない存在でしかないから、決して奢るべきではないと。できることはほぼないという前提に立った上で、「何ができるのだろう」ということが大事になってくるのではと感じました。

でも、それはコロナ禍であろうとなかろうとあまり変わっていなくて。人間はご飯だけでは生きていけないので、「ほんの少しでもできることはある」ということがくっきりとコロナ禍で浮かび上がった感じがしました。それは、大災害の時や3.11の時も感じたことです。

昔から思っていたことではありますが、無力なりに丁寧に一つ一つきちっと作っていったら、もしかしたら何かを生み出せるかもしれない。そのために全力を尽くそうと再認識しました。決して立派なことをやっているわけではないので、これからも奢り高ぶることなく謙虚にいきたいなと思います。

コロナ禍のときは割とのんびり過ごしたので、そういった過ごし方も素敵だなと感じていました。もちろん、世の中には大変な思いをされている方がたくさんいましたし、人の生死に関わる話でもあるので。でも、コロナ禍だからこそ見えたものもあったのではという気はしています。

それが、元に戻りつつあるのも複雑な気持ちです。リモートも効率が良かったですし、時差通勤なども行われていたので、そういうものが元に戻りつつあるのは少し残念な気持ちもあります。ああいった環境でないと見えなかったこともたくさんあったので、決してネガティブなものだけではなかったと感じています。

「今日どう生きるか」という気持ちでやろうと

僕はお芝居くらいしかほぼできることがないので。長くやってこられたのは、本当にありがたいことだと思っています。人生はそんなに長いものでもないし、自分もある程度年齢も重ねてきたので、どうせいつか死ぬなら「じゃあ今日どう生きるか」という気持ちでやろうと。

それがエンタメやアートに関わっているものとしては、「どういう作品でどういう芝居をするか」「どういう作品を作るか」といったことが一番パワーになっているかもしれません。

ありますけど、恥ずかしいから言わない(笑)。でも簡単に言えば、いい芝居ができるようになりたいですね。“いい芝居”の定義は人それぞれだとは思いますが、自分の定義の中でいい芝居ができるようになりたいなと。作品作りもしていきたいので、いい作品を作っていきたいなとも思います。

芝居を始めた当初から理想みたいなものはほぼ変わっていないですね。ただ、自分の中でのいい芝居というものがより濃厚になってきたといいますか。始めた当初はよくわかっていない部分もたくさんあったので。そういう意味では、昔はただただがむしゃらにやっていたと思います。今はより具体的な輪郭がくっきりしている感じがします。

とても生々しい不器用なダメダメ夫婦の会話劇です。コメディあり、感動あり、身につまされるものもあり、いろいろと考えていただけるような、少し景色が変わるようなものにできたらと思っています。ただ、性事情を含めた夫婦の話は入っております(笑)。老若男女どんな方にも楽しんでいただけるような、いい作品にできるように頑張りますので、ぜひ劇場まで足を運んでください。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:梁瀬玉実

ヘアメイク:塩田勝樹(Sui)
スタイリスト:藤長祥平

インタビュー前編はこちら

公演概要

朗読劇 『したいとか、したくないとかの話じゃない』2025

5月23日(金)〜5月25日(日)

原作:足立紳『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉文庫)

脚本:足立紳 新井友香

演出:新井友香

あらすじ
時は、コロナの話題でもちきりの2020年春。映画監督として一時はブレイクしかけるも、その後鳴かず飛ばずのまま、浮気相手にも振られる始末の夫・孝志。そんな夫に内緒で応募したシナリオコンクールで優秀賞を受賞し、家事育児だけの生活から外の世界に飛び出そうとしている妻・恭子。ある日の夕方、ドラマ化が決まった脚本の修正作業に追われる恭子のもとに、保育園のお迎えに行った孝志から一通の LINEが届く。『今晩、久しぶりにしたいです。どうですか……?』このメッセージをきっかけに、我慢と妥協に満ちたふたりの関係が動き始める。「したい」夫と「したくない」妻。夫婦が良い関係を築くために、セックスは必須なのか?容赦なく思いをぶつけ合うなかで、初めて気づく本当の気持ち──。“セックスレス”をきっかけに、夫婦のあり方や人生を見つめなおす、不器用なふたりの物語。

出演:
板谷由夏 津田健次郎
ゆうたろう(映像出演)
※映像は初演(2023年4月)時のものを使用いたします。

会場:
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町 23-21)

上演日時:
2025年
5月23日(金) 19:00
5月24日(土) 11:00/14:00
5月25日(日) 13:00/17:00

チケット:
[料金(全席指定・税込)]
全席指定:8,500 円
※未就学児のご入場はお断りいたします。

[取扱]
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/shitaitoka/ (Pコード:532-139)
ローソンチケット https://l-tike.com/shitaitoka/ (Lコード:35262)
イープラス https://eplus.jp/shitaitoka/

公演公式 HP:https://aoi-stage.jp/shitaitoka/
公演公式 X:https://x.com/aoi_shitai

©AOI Pro. / サンライズプロモーション東京

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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