東島京インタビュー 「I am JUST ME」「その日限りの特別な時間になると思います」(前編)
役者としてデビュー後、立て続けに話題の舞台作品に出演し、今、ミュージカル界で注目を集める東島京さん。今年2月に20歳を迎え、自身としても20歳のうちに実現することが“夢だった”という単独イベントが2025年11月16日(日)にKIWA TENNOZにて開催されます。
イベントタイトルの「I am JUST ME」には”僕は僕である”という、俳優としての自分も素の自分も誇り高く表現したいという意味が込められており、東島さん自身が挑戦したいこと、表現したいことがトーク&ライブを通じて届けられます。
THEATER GIRLは、東島京さんにインタビュー。前編では、初の単独イベント「I am JUST ME」開催への思いやピアノ演奏による歌唱パフォーマンスについて、先日公演を終えたミュージカル『四月は君の嘘』での印象的なエピソードなどをうかがいました。
難しいことは考えずに、気軽に遊びに来てもらえたら
――初の単独イベント「I am JUST ME」を開催されますが、まずはこのイベント開催への思いを聞かせてください。
改めて感じるのは、「何事も一人では成し遂げられない」ということです。今回このイベントを実現できたのは、日頃から支えてくださっているスタッフの方々、そして応援してくださるファンの皆様のおかげです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
普段は舞台で“役”を通してお客様の前に立っていますが、やはりどうしても“役”というフィルターを通した姿になります。いつもお客様から大きな力をいただいているので、今回はその感謝を“東島京”という一人の人間として、素の自分で伝えられる機会を作りたいと思いました。
また、日常の中ではどうしても「嫌われないように」「周りに合わせなきゃ」と、無意識に“誰かを演じている”ことも多いと思うんです。だからこそ、このイベントでは「自分のままでいていい」「ありのままの自分で大丈夫」という空間を作りたくて。その想いを込めてタイトルを「I am JUST ME」にしました。
自分は自分でしかないし、それでいいんだ――そんなメッセージを届けたいです。だから、難しいことは考えずに、気軽に遊びに来てもらえたらうれしいですね。

――ファンの方々の存在が、大きな支えになっているのですね。
そうですね。僕はもともとかなりネガティブな性格で、すぐに「自分はダメだな」と落ち込んでしまうタイプなんです。そんなときにファンの方からいただくお手紙やメッセージを読むと、「皆さんのために頑張ろう」と心から思えます。
この仕事は、見てくださる方がいて初めて成り立つものだと思っています。ただ、自分の思いが本当に届いているのかは、なかなか確かめられないものなんですよね。だからこそ、ファンの皆様からの言葉は本当に貴重で、何よりの励みになります。気持ちが沈んだときは、過去にいただいたメッセージを読み返して、また前を向く力をもらっています。
“その瞬間にしか生まれない音楽”をたくさんお届けできたら
――今回のイベントでは、石渡裕貴さんのピアノ伴奏による歌唱も予定されているそうですね。
石渡さんとは、柚希礼音さんの25th Anniversary『REON JACK 5』で初めてご一緒しました。本当に素敵な方で、すごく面白くて、そして何よりピアノが超絶的にすばらしい方なんです!
歌っている最中に、歌とピアノで“会話”しているような瞬間があるんです。どちらかが少し遊びを入れると、もう一方がすぐに反応して音を変えてくれる――その即興的なやり取りが本当に楽しくて。今回のイベントでも、そんな“その瞬間にしか生まれない音楽”をたくさんお届けできたらと思っています。
ライブコーナーでは、これまで出演したミュージカル作品の楽曲や、いつか挑戦してみたいと思っている作品の楽曲を歌わたせていただく予定です。それに加えて、自分で作詞作曲したオリジナル曲もピアノの弾き語りで披露できたらと考えています。
――ピアノ弾き語りでのオリジナル曲も披露されるのですね。
オリジナル曲は、(有馬)公生の曲にしようと思っているんです。作品で役作りをする際、行き詰まったときは違う角度からアプローチすることが多くて。例えばミュージカル『ワイルド・グレイ』のときは“ボジーがつけていそうな香水”を探すところから役を掘り下げたりしました。
今回は、ミュージカル『四月は君の嘘』の公生というキャラクターの“その後”――一歩踏み出した後のアフターストーリーを自分なりに考えていて、そのイメージを曲にして披露したいと思っています。
今のところイベントを配信する予定はないので、その日限りの特別な時間にできたらなと思っています。その場にいた方だけが聴ける楽曲なので、ぜひ会場で体感していただけたらうれしいです。

――舞台で役として歌うのと、ご自身のイベントで歌うのとでは、表現の仕方も変わってきそうですね。
そうですね。舞台ではまず“役の感情”や“セリフの延長線上にある歌”として表現することが中心になります。でもライブでは、メロディーやリズム、グルーヴのようなものをより大事にしたいと思っています。より音楽そのものの魅力や深さを伝えられたらうれしいですし、素の自分として歌えるので、自然に体を動かしたりと、舞台上ではなかなかできない自由な表現もできたらいいなと思います。
――今回は、ピアノ演奏としてアレンジされたものになるのでしょうか?
石渡さんがピアノを弾いてくださるので、曲のテンションを変えたり、バラード風にしてみたりと、いろいろ試しながら面白いアレンジができそうだと感じています。
――その日限りの特別なステージになりそうですね。トークコーナーも予定されているとのことですが、どのような内容になりそうでしょうか?
これまで作品のアフタートークでは役として話すことが多かったのですが、今回は“東島京”としてお話する機会になります。作品の枠を離れて、自分自身のことを皆さんに知っていただけるのは初めてかもしれません。ドキドキもしますが、できるだけアットホームな雰囲気で、身近な距離で会話したり、いろいろなものを共有できるようにしたいと思っています。
――これまでなかなか語られなかったお話も聞けそうですね。
もちろん、これまでに出演した作品の深い話もできたらと思っていますし、それ以外にもいろいろな話題を共有できたらと思っています。
――終演後にはお見送り会もあるとのことで、ファンの方と直接コミュニケーションをとる機会は貴重ですね。
そうですね。こうして直接お話できる機会は、これまで「チーム・ハンサム!」のイベントくらいしかなかったので、とても緊張します。でもその緊張を上手く隠しながら、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
普段応援してくださっている方の人柄を、間近で感じられるのは自分にとって本当に大きなことです。どうしてもこちらからの思いがどれだけ届いているのか分からない部分もあるので、こうして目を見て言葉を交わせる機会は、とても貴重だと思っています。

「ザ・青春」という言葉がぴったりな毎日を過ごした
――先月まで出演されていたミュージカル『四月は君の嘘』では、地方公演などもあったので、カンパニーの皆さんとの絆も深まったのではないでしょうか。
本当に仲が良くて、「ザ・青春」という言葉がぴったりな毎日を過ごしました。僕はメインキャストの中で最年少だったのですが、高校生を演じる上では年齢的にも少し幅のある座組でした。
最初は「どうやったら同級生のような距離感を出せるんだろう」と不安もあったのですが、初日から皆さんが本当に優しくて、歌もお芝居も素晴らしくて。自然と打ち解けていった感じです。
ある日、稽古が早く終わって「みんなでご飯行こう」という話になり、食事を終えたあとも誰も帰りたがらなかったんです(笑)。そこで最年長の(吉原)雅斗くんが冗談っぽく「花火でもする?」と言ったら、全員が「いいね!やろう!」と即決で。すぐに花火ができる公園を探して、買い出しして、みんなで出かけました。
最後は円になって、ゆずさんの『栄光の架橋』を流しながら線香花火をして、一人ずつ夢を語り合って。その時間がすごく特別で、まるで学生時代に戻ったような気持ちでした。その夜をきっかけに一気に仲が深まって、次の日からカンパニー全体のエネルギーがぐっと高まったように感じました。
地方公演のときもまるで修学旅行のような雰囲気で、名古屋が雅斗くんの地元ということもあり、美味しいお店をいろいろ紹介してもらって、みんなで夜ご飯に行ったりもしました。こんなふうに地方をちゃんと満喫したのは初めてです。
これまでは一人で食事を済ませたり、ホテルで過ごしたりすることが多かったので、みんなとアクティブに過ごす時間がとても新鮮で。本当にびっくりするくらい仲の良い座組でした。

――まさに作品の世界そのままの関係性ですね。改めて、有馬公生という役を演じてみての思いをお聞かせください。
公生を演じるうえで、自分自身と重なる部分がたくさんありました。主人公というのは、周囲の人たちとの関わりの中で成長していく姿を通して、物語を導いていく存在だと思うんです。でも今回は、その「成長」をはっきりとお客様に届けたいとはどうしても思えなくて。
というのも、僕自身もかつて心に傷を抱えていたことがあって。心に闇を抱えた人がこの作品を観たとき、「それなら自分も大丈夫」と感じてしまったら、その人を置き去りにしてしまう気がしたんです。それでは本当の意味で寄り添うことにはならない。だからこそ、公生が最後に踏み出す一歩を「小さいけれど、大きな勇気の一歩」として丁寧に描きたいと思いました。
その一歩は、傷を抱えて生きてきた人にとってはとても怖くて、苦しいものかもしれない。でも同時に、「踏み出してもいいんだ」「その先には光があるんだ」と感じてもらえるように――そんな願いを込めて演じました。
初日のカーテンコールで、スタンディングオベーションをいただいたとき、そして最後にお辞儀をした瞬間に客席から温かい歓声が届いて、「少しは届いたのかもしれない」と感じました。あの光景とぬくもりは、今でも鮮明に心に残っています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:遥南 碧
イベント開催概要
Misato Higashijima 1st Event「I am JUST ME」
日程:2025年11月16日(日) ①13:30開演 / ②17:30開演
※終演後に東島京本人によるお見送り会を実施予定
会場:KIWA TENNOZ(〒140-0002東京都品川区東品川2-1-3)
https://www.oasis-kiwa.com/
企画・製作・主催:アミューズ
出演者:東島京、石渡裕貴(ピアノ)
チケット料金(全席指定・税込) :5,500円
※別途当日1ドリンク制【600円】(現金支払いのみ)
チケットぴあにて一般販売中 https://w.pia.jp/t/iamjustme/
東島京<アミューズ公式サイト アーティストページ>
https://www.amuse.co.jp/artist/A8964/index.html
東島京<X>
https://x.com/Misato_H213
東島京<インスタグラム>
https://www.instagram.com/misato_higashijima_official/
ライブ開催概要
「Amuse Presents 20th Anniversary ULTRA HANDSOME LIVE 2025 “ZERO”」
日程:2025年12月27日(土)、 28日(日)
会場:パシフィコ横浜国立大ホール
企画・製作・主催:アミューズ
出演者:
青柳塁斗、猪塚健太、岩崎友泰、植原卓也、太田将熙、甲斐翔真、小関裕太、徳永智加来、新原泰佑、林優大、東島 京、兵頭功海、平間壮一、福崎那由他、細田佳央太、松岡広大、松島庄汰、水田航生、溝口琢矢、本島純政、山﨑光、渡邊圭祐、石賀和輝、風間由次郎、栁澤貴フィコ、吉村卓也、渡部秀
公式サイト:https://www.handsomelive.com/2025/
出演舞台 公演概要
MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project- 第2弾
ミュージカル『どろんぱ』 supported by にしたんクリニック
公演期間 :
東京公演:2026年3月
大阪公演:2026年4月
作・演出:末満健一
作詞:森雪之丞
作曲・編曲・音楽監督:深澤恵梨香
ゲストコンポーザー:和田唱
出演:
小池徹平 屋比久知奈
生駒里奈 木内健人 東島京 加治将樹 土井ケイト 相葉裕樹
吉野圭吾 真琴つばさ
アンサンブル(五十音順)
暁矢薫 天野翔太 岩淵心咲 北園真弓
工藤翔馬 熊野ふみ 高田紋吉 星賢太 森さとる 横山慶次郎
スウィング(五十音順)井上望 堂元晴近 丸山真矢
協賛:にしたんクリニック
主催:【東京】ワタナベエンターテインメント 【大阪】ワタナベエンターテインメント/MBSテレビ
主催・企画・製作:ワタナベエンターテインメント
お問合せ ワタナベエンターテインメント 03-5410-1885(平日11:00~18:00)
