田中俊介インタビュー『ホームレッスン』「面白いからの変化を楽しんでもらえたら」（前編）

2022.09.21

INTERVIEW

9月24日(土)～10月9日(日)に紀伊國屋ホールにて、PARCO PRODUCE 2022「ホームレッスン」が上演されます。

本作は、若者の生々しい感情と闇を抉り出す今注目の新進気鋭の劇作家谷碧仁さん(劇団時間制作)と、骨太にそして包容力をもって人間の奥底を描く演出家シライケイタさん(劇団温泉ドラゴン)という注目の二人の初タッグで描く“100の家訓”を持つ奇妙な家族の物語です。

出演には、舞台・映像で存在感を示す田中俊介さん、女優として数々のドラマ・映画・舞台と活躍中の武田玲奈さん、ダンスパフォーマンスグループFANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバーで人気急上昇中の堀夏喜さんという若手俳優たちに、宮地雅子さん、堀部圭亮さんという実力派のお2人が加わります。

THEATER GIRLは、田中俊介さんにインタビュー。前編では、本作への意気込みとカンパニーの雰囲気などを語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

展開が気になって仕方がなかった

――本作へ出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか？

出演が決まったときは、素直に嬉しかったですね。どんな本なんだろうと思って台本を開いてみたら離れられなくなって、最後まで一気に読んでしまいました。「めちゃくちゃ面白いぞ、これ」と思って、興奮したのを覚えています。先の展開が気になって仕方がなかったです。

――実際に稽古を重ねられていて、大変な部分や苦労していることはありますか？

一人語りの台詞が多くて、同じような箇所が出てくるので、引き出しを作って表現の仕方で工夫しないと面白くならないなと試行錯誤中です。でも、あえて同じようにするのも面白いのではと感じているので、そこの塩梅を共演者の皆さんやシライさんと話し合って、作っている段階です。

面白がって見ていたはずが変化していく

――本作は、結婚相手の家には「100の家訓」が存在していたというストーリーになりますが、物語としての魅力はどんなところになりますでしょうか。

きっと他人の家族ってめちゃくちゃ興味深いと思うんですよ。今回は三上家という家族がどんなものかと興味本位で見ていただいて。そこには「100個の家訓」というなかなかぶっ飛んだルールを持った家族がいて、最初は「この家族なんか変だな、面白いな」と笑って見える箇所もあるので、コメディー作品という視点で見られる作品だと思います。

ただ、それがだんだん笑えなくなっていくというか。面白がって見ていたはずがちょっと怖いぞと、その変化がすごく不気味なんです。この家族がどこにいってしまうのかというところを興味深く見ていただけるんじゃないかなと思いますね。

みんな家族が大事で愛があって、愛がある故にちょっとずつずれてしまうというか。そもそも愛っていうものがなんなんだという話にもなってくるんですよね。あやふやなところに愛があるからこその言動ですが、愛そのものがあやふやで。だから、ルールというもので縛っていく方がいいんじゃないか、でも縛られなかったらそれはそれで不自由なんじゃないかと……。すごい本なんです（笑）。

――ご自身の役柄として、注目してほしい部分はありますか？

人は誰しもさまざまな側面を持っていると思うのですが、今回演じる大夢くんはそれをものすごく色濃く出せる人だと思うんです。本当にエネルギーを沢山使うんですけど、めちゃくちゃやりがいがありますね。終わったら5キロぐらい痩せるんじゃないかなって思うぐらいパワーを使う役ですが、楽しくてしかたないです。いろんな田中俊介がエネルギッシュに暴れ回っているのではないでしょうか。

ノンストレスで集中して稽古ができる

――共演者の方の印象や、カンパニーの雰囲気はいかがでしょうか？

ものすごく居心地が良くて、ノンストレスなんです。自分で言うのはおこがましいんですけど、全員に自分と似ている空気を感じるというか。そう思うから居心地がいいんだと思います。自分とすごく離れているような人だったら、気を使ったりしなくちゃいけないんでしょうけど、それをしなくて済むというのは自分に似ているからなのかなって。なので、リラックスして、芝居に集中して稽古ができる空間ですね。皆さんもそう思ってくださっていたら嬉しいです（笑）。

――シライケイタさんの演出を受けられた印象はいかがですか？

シライさんは今回初めましてだったので、どんな方だろうなとドキドキしながらお会いしたのですが、めちゃくちゃ優しい方でホッとしました。怖い人だったら苦しい稽古になるんだろうなと思って、ちょっと構えていましたけど。すごく優しい方で、全員の芝居を決して否定はせずに、肯定していろいろな意見をくださるんです。「僕はこう思うんだけど、どうかな」と提案してくださるので。

新しい演出家さんの演出を受ける前は、毎回緊張しますね。普段はニコニコしていても実際の稽古でどうなのかはわからないじゃないですか（笑）。だから毎回稽古に入る前はドキドキします。