山崎大輝×赤澤遼太郎インタビューミュージカル『チェーザレ破壊の創造者』「年初めにふさわしいとても贅沢な作品」（後編）

2023.01.06

INTERVIEW

2023年1月7日より明治座にて、ミュージカル『チェーザレ破壊の創造者』が上演されます。

本作は、明治座創業以来、初めてオーケストラピットを稼働させることでも注目されていましたが、2020年4月に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて全公演中止となり、この度、2年半の時を経て、満を持して上演されます。

原作は、15世紀のルネッサンス期イタリアを舞台に、イタリア半島の統一、次いで欧州の統一の野望を抱いた名門ボルジア家の後継者・チェーザレ・ボルジアの戦いを描き、大ヒットとなった惣領冬実さんが描いた歴史大河コミック「チェーザレ　破壊の創造者」。

脚本は、ストレートプレイ・ミュージカル・ショーなど幅広く活躍する荻田浩一さん、演出は第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した小山ゆうなさん、音楽をミュージカル『ジャージー・ボーイズ』や『キンキーブーツ』の音楽監督も務めた島健さんが務めます。

そして、主人公のチェーザレは、20年に引き続き、中川晃教さんが演じます。共演に、橘ケンチ（EXILE）さん、別所哲也さん、さらに若手俳優陣の山崎大輝さん、風間由次郎さん、近藤頌利さん、木戸邑弥さんがスクアドラヴェルデ、赤澤遼太郎さん、鍵本輝さん、本田礼生さん、健人さんがスクアドラロッサとしてチェーザレの友人、そしてライバルという要となる役どころをWキャストで演じます。

THEATER GIRLは、Wキャストでアンジェロ・ダ・カノッサ役を演じる山崎大輝さんと赤澤遼太郎さんにインタビュー。後編では、演じるアンジェロ役の印象やミュージカルに出演する思いなどをうかがいました。

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その時が来るのが楽しみ

――本作は、明治座創業以来、初めてオーケストラピットを稼働させることでも注目されていますが、改めて明治座に立たれるお気持ちはいかがでしょうか？

山崎：前回は明治座に入る前に中止になってしまったので、一度もオケに合わせられなかったんです。だから、あまり楽器が鳴っているようなイメージがなくて。どちらかというと、ピアノの音の方が覚えていますね。

赤澤：僕は初めてのことづくしなので、どうなるんだろうという感じです。

山崎：でも、明治座で初めてオーケストラピットを稼働させてミュージカルをやらせていただけるのはすごくありがたいことなので、その時が来るのが楽しみです。

――生オーケストラで歌われるときに意識されていることはありますか？

山崎：生オケで歌うときは、声を張るというよりも、針に糸を通すみたいな繊細さが大切なので、そこが難しいなと思います。

赤澤：僕は、生ピアノで歌ったことはあるんですけど、生オーケストラは初めてですね。なので、正直まだ想像がつかないです。オーケストラを観るのも学生時代の芸術鑑賞会以来ですし。

山崎：まだ劇場に入っていないので、どうなるかまだわからないのですが、セットが動くと、また聞こえ方が変わったりするので、そういうところも難しいなと思いました。

赤澤：なるほど、そういうテクニカルなものも重要になるかもしれないんですね。もしかしたら当日は明治座に立てるということよりも、いろんなことに追われて、開幕して数日経ってからやっと実感が湧いてくる気がします。

アンジェロは「担っている役割がすごく多いキャラクター」

――今回演じられるアンジェロの印象は、いかがでしょうか？

山崎：アンジェロはこの作品において、お客様に橋渡しをしていく重要な役だと思っています。純粋な心を持っているのですが、常識を知らない部分もあるので、学生生活の中でいろいろとぶしつけなことをしたりもするんです。そんなちょっと可愛らしい部分やチェーザレと対等に話をする芯の強さといった、二面性を持つ役柄だと思います。

赤澤：大輝さんがおっしゃっていた通り、お客様はアンジェロの反応を見て物語を体感していくので、大切な役だと思っています。担っている役割が多いキャラクターなので、一つ一つ丁寧に演じていきたいです。そこにプラスして僕は中性的というか、気品や上品さみたいなものを入れられたらいいなと思っています。当時の生活様式の礼の仕方なんかも忠実に再現したいですね。

――本作の楽曲の印象はいかがでしょうか？

山崎：今回、歌う楽曲はけっこう多いのですが、全体を通して綺麗な楽曲だなという印象です。その綺麗さに負けないように、ちゃんとお客様に大切に言葉を伝えていかないと、割とスルっと歌ってもそれっぽく聞こえてしまうので。なので、しっかりと大事なところを皆さんに届けたいですね。

赤澤：余白をどう埋めるかが大事な楽曲が多い印象です。テンポもゆっくりだったり、フレーズもおおらかな感じの曲が多かったりするので、そこに込める思いをちゃんと持っておかないと、聞いている方は退屈しちゃうと思うんです。歌詞と歌詞の間も割と余白があるので、そこで一つ感情を変化させて違うベクトルで歌っていかないといけないなと感じています。だから、本当に気が抜けないというか、考えることがいっぱいだなって。

歌稽古の時に、「ブレスのポイントで、ちゃんと気持ちを作って」と言われたことが、すごく新鮮で。「歌う前が一番大事」ということも教わったので、歌う前にしっかり気持ちを作れば、自然と音も変わってくるし、伝わり方もどんどん変わってくる。そういうことをどんどん意識できたらいいなと思いますね。

やっぱり歌は特別

――お二人にとってミュージカル作品への出演は、どのような思いがあるのでしょうか？

山崎：やっぱり歌って特別なんですよね。音楽に乗せて言葉を伝えることによって、一気に華やかな世界になったり、絶望に落とし込んだりすることもできるし。まだ多くの作品をやらせてもらっている立場ではないのですが、ミュージカルにはすごく可能性があるなと感じています。

――赤澤さんは、本格ミュージカルは今回が初めてということですがいかがでしょうか？

赤澤：正直、まだミュージカルについて何もわからない状態なので、アンジェロを演じていく中で、ミュージカルというものをちゃんと体感したいなと思います。アンジェロと一緒に、心を動かして一緒に成長していけたらと思います。

――本作へ参加することで、よりミュージカルが好きになるかもしれないですね。

赤澤：そうですね。今まで歌にたくさん触れてきた人間ではないので、まだ自分の中でミュージカルに出演することに対してしっくりくる言葉が見つからなくて。今回の出演をきっかけに、ミュージカルに対して自分なりの答えみたいなものが見つかるといいなと思っています。

――では、最後に本作を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

山崎：2020年の公演を楽しみにされていた方もたくさんいらっしゃると思うんです。僕も本当に楽しみにしていたので。でも、今回また公演させていただける機会をいただけて本当に嬉しく思っています。その時に作り上げたアンジェロよりも、さらにパワーアップしたものを見せられると思うので、ぜひ楽しみに観に来ていただけたら嬉しいです。

赤澤：生オーケストラに豪華絢爛な出演者の方々、さらに素晴らしい楽曲と、年初めにふさわしい贅沢な舞台だと思います。様々な出演者の方がいるのできっと客層も幅広いのではと思います。この作品をきっかけに2.5次元舞台だったり、僕たち若手の出ている舞台も観たいと思ってもらえるくらい気合を入れて、素晴らしいアンジェロを演じられたらと思います。ぜひ観劇始めはチェーザレで、明治座でお待ちしております。

取材・文：THEATER GIRL編集部
Photo：梁瀬玉実

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