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ミュージカル『RENT』開幕! 「役者が全てをさらけ出して挑むステージから、生きるパワーを感じ取っていただければ……」

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3月8日にミュージカル『RENT』が日比谷・シアタークリエにて開幕した。

ジョナサン・ラーソンが脚本・作詞・音楽を手がけた ミュージカル『RENT』 は、1991年のニューヨーク・イーストヴィレッジを舞台に、貧困、エイズ、ドラッグ、同性愛など、当時の若者たちの生き様や世相が描かれた作品。1996年の初演以来ブロードウェイで12年4カ月のロングランを記録し、世界40カ国以上で各国語版が上演。2006年には映画化もされた珠玉の名作ミュージカル。

シアタークリエでは2008年の初演以来、今回が7度目。新型コロナウイルスの影響で、志半ばで中止を余儀なくされた2020年公演から約2年の時を経ての上演となる。

前日に行われた囲み会見には、マーク・コーエン役の花村想太と平間壮一、ロジャー・デイヴィス役の古屋敬多(Lead)と甲斐翔真、ミミ・マルケス役の遥海と八木アリサが登壇し、作品への想いや自身が演じる役の見どころなどを語った。

まず最初に自身が演じる役の説明を求められると、花村は「映像作家志望のマークは、ほかの登場人物と比べるとすごく平凡に見えるけど、実はいろいろと大変な人生を歩んでいる青年です。皆さんに一番共感していただける人物だと思うので、等身大の自分でしっかりと演じられたらと思っています」とコメント。

同じくマーク役を演じる平間も「見どころっていう見どころは、正直あまりないのがマークの良いところじゃないかな」と笑顔を見せつつ、次の瞬間には「だからこそ難しい」と表情を引き締める。「数ある舞台作品の中でも難しい主役だと演出助手の方とも稽古で話していて、いかに普通でいられるかを意識しながら、花村くんが言ったみたいに、お客様と一緒に共感できるというか。お客様の代わりにここにいるという感じで頑張らせていただきます」と語った。

今回、初参加の古屋は「ロジャーは夢に向かってミュージシャンとして成功することを目標に、毎日ライブ活動をしていたのですが、恋人を亡くしたのをきっかけに自分の殻に閉じこもってしまいます。それでもミミや仲間たちのパワーで心を入れかえてまた力強く前に踏み出していく、愛情深い役なのかなと思います」と考察。

甲斐は「ロジャーは僕のミュージカル人生で初めて勝ち取った役。2020年は体当たりで演じたのですが、同じ役をもう1度演じるのを難しく思っていて……。アンディ(※日本版リステージ担当のアンディ・セニョールJr.)に相談したら、「その悩んでいる感じをそのまま使えばいい」と言われてハッとしました(笑)。さらにアンディから「ロジャーはこの作品の“悪役”だ」と言われて新たな視点を得られた稽古でした。ロジャーはみんなの働きかけによって変化していく役なので、自分に正直に役を生きられたらと思います」と、前回公演とは大きく変化した心情を語った。

ロジャーと惹かれあうSMクラブのダンサー、ミミを演じる遥海は「ミミがまだ19歳だということは忘れてはいけないと思っています。当時のニューヨークを生き抜くために犠牲にしてきたものも多いはずなのですが、厳しい環境に立ち向かう姿は希望にあふれていてすごく魅力的」と目を輝かせる。

一方、「ミミは喜怒哀楽の激しいパワフルな女の子ですが、ロジャーとのもどかしい恋愛模様が見どころ」と言葉数は少ないものの、一言一言噛みしめるように語る八木。

小柄で全身からあふれんばかりのエネルギーをほとばしらせる遥海と、しっとりと静かに微笑みながらも胸の内には熱い想いが感じられる八木という対照的な二人のミミが、劇中でどのような“生き様”を見せてくれるのかワクワクする。

続いて2020年公演からの続投組となるキャストに「前回と比較してパワーアップした部分や変化したポイントは?」と質問がされると、

花村「前回は初めてのミュージカルということもあり、がむしゃらに、必死に、とにかく自分が楽しむことを意識してやらせていただいたのですが、今回は自分が本当の意味でマークとしてどう居るべきなのかというところに重点を置いて稽古をしたので、よりナチュラルかつ落ち着いたマークになっているはず」

平間「今年はアンディ、マーカス(※振付補のマーカス・ポール・ジェームズ)、アンジェラ(※衣裳担当のアンジェラ・ウェント)の3人が来日できたことが大きな変化。『RENT』の素敵なところは、カンパニーでいろいろなことを乗り越えて作り上げる空気感で、稽古中の出来事やみんなの中に生まれた感情を、アンディやマーカスたちが1つにまとめてくれました」

甲斐「『Seasons Of Love』が2年前よりもすごく心に響きます。この2年間いろいろなことがあり、より一層1日1日、1分1秒を大切に感じるというか。その分、自分も少し大人になったのかな(笑)」

遥海「前回は本当に必死でした。今回は自分の武器は何なのか、そして新しく入った古屋さんがロジャーになるため、ミミに何ができるのだろうということまで客観的に考えられるようになって、一皮剥けたと思います(笑)。前回は公演中止で悔しい思いをしましたが、今年参加していないメンバーの想いも背負って、まさに“No Day But Today”の気持ちで1公演ずつ突き進みたいと思っています」

八木「私は、リモート形式ではない稽古や生の指導が初めてだったので、生だとつかめる空気がこんなにも違うことに驚きました」

また、今回が『RENT』に初参加となる古屋は、「オーディションには絶対落ちたと思っていたので、出演が決定した時点でかなり舞い上がりました」というカンパニーメンバーに加わった喜びのコメントに続き、「稽古が始まり役を掘り下げていく中で、この作品はリアルを求められる作品で、少しでも芝居臭さやうそ臭さが出ると浮いてしまうのだと感じましたが、そういう役をずっとやりたかったし、僕としては念願が叶った。続投する方々がすでにリアルに役を体現していたので、僕はそこにスッと入るだけだったので、経験者のみんなには本当に助けられています。いっぱい迷惑もかけたと思いますが、本番では自分こそが“Mr. RENT”だという心意気でがんばります!」と決意のコメント。

最後にキャストを代表し、花村と平間が開幕に向けメッセージを送った。

花村「『RENT』は、自分たちも演っていてしんどい部分、つらい部分もさらけ出してステージに臨む作品。僕たちから生きていくパワーみたいなものを劇場で感じたことが、1年後、10年後……皆さんが生きていく中での糧になればうれしいなという思いを込めてステージに上がりたいと思います」

平間「普通、「舞台って台本に書いてあることだけやって演技すればいいじゃん」って思うかもしれませんが、RENTはそうはいかなくて……。ここに居るメンバーだけじゃなく、楽屋で待機しているメンバーも「何でそこまでさらけ出さないといけないの?」というところまでみんなで共有し、頑張って作品を作ってきました。作品の中で、この人ってこういう人なんだろうなっていうのがにじみ出ている舞台なので、その人自身の人生観や人物像を楽しみながら見ていただきたいと思っています。みんなで戦って作ってきた作品なので、ぜひぜひよろしくお願いします!」

ミュージカル『RENT』は、4月2日まで日比谷・シアタークリエにて東京公演が上演され、4月7日~9日に新歌舞伎座にて大阪公演、4月12日~13日まで愛知県芸術劇場大ホールにて愛知公演がそれぞれ上演される。

出演キャストやチケット情報など、詳細は公式サイトをご確認ください。

舞台写真

取材・文:近藤明子
撮影:近藤明子、THEATER GIRL編集部

公演概要

ミュージカル『RENT』

東京公演:3月8日(水)~4月2日(日) 日比谷・シアタークリエ
大阪公演:4月7日(金)~4月9日(日) 新歌舞伎座
愛知公演:4月12日(水)~4月13日(木) 愛知県芸術劇場大ホール

脚本・作詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
演出:マイケル・グライフ

出演 ※各役アルファベット順
【マーク・コーエン】花村想太/平間壮一(Wキャスト)
【ロジャー・デイヴィス】古屋敬多(Lead)/甲斐翔真(Wキャスト)
【ミミ・マルケス】遥海/八木アリサ(Wキャスト)
【トム・コリンズ】加藤潤一/SUNHEE(Wキャスト)
【エンジェル・デュモット・シュナール】百名ヒロキ/RIOSKE(Wキャスト)
【モーリーン・ジョンソン】佐竹莉奈/鈴木瑛美子(Wキャスト)
【ジョアンヌ・ジェファーソン】塚本直
【ベンジャミン・“ベニー”・コフィン3世】吉田広大
チャンヘ 、長谷川開、小熊綸、ロビンソン春輝、吉田華、Zinee

《公式サイト》
https://www.tohostage.com/rent2023/
《公式Twitter》
@rent_toho

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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