柿澤勇人×北 香那インタビュー 『ハムレット』「本気で挑まないとおもしろい芝居にはならない」(後編)
2024年5月7日(火)、彩の国さいたま芸術劇場にて彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』が開幕します。
故・蜷川幸雄さんからシェイクスピア・シリーズのバトンを引き継いだ吉田鋼太郎さんが、【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】を始動。本作はその記念すべき一作目となり、タイトルロールを柿澤勇人さんが務めます。ハムレットの恋人・オフィーリア役に北 香那さん、ハムレットの親友・ホレーシオ役に白洲迅さん、オフィーリアの兄・レアティーズ役に渡部豪太さん、ノルウェー王子・フォーティンブラス役に豊田裕大さん、オフィーリアとレアティーズの父でデンマーク王の顧問官・ポローニアス役に正名僕蔵さん、ハムレットの母・ガートルード役に高橋ひとみさんなど、新シリーズ開幕にふさわしい豪華な顔ぶれが揃いました。
THEATER GIRLは、柿澤勇人さんと北 香那さんにインタビュー。後編では、お互いの印象や現場での居方、作品に絡めた質問への回答など、ざっくばらんに語っていただきました。
北さんのお芝居が素晴らしくて、現場の空気がガラッと変わった
――改めて、お互いの印象を教えてください。
柿澤:北さんと初めてお会いしたのは、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の現場でした。
モニター越しに撮影シーンを見ていたんですが、北さんのお芝居が素晴らしくて、前室も含めて現場の空気がガラッと変わったんですよ。すごい俳優さんだなっていうのが第一印象ですね。
北:うれしいです!
柿澤:ハムレットとオフィーリアは激しいシーンもあったりするので、信頼関係がないと成り立たないと思うんです。だから、オフィーリア役が北さんだと聞いたときは、楽しみ! という表現は変かもしれないけれど、最初から信頼と安心感がありました。
北:『鎌倉殿の~』で柿澤さんと直接絡むシーンはなかったんですが、私が演じるつつじの息子・公暁(寛一郎)が(柿澤演じる源)実朝さんを殺めてしまったので、申し訳ないという気持ちのまま今回お会いしました(笑)。『ハムレット』ではがっつり一緒にお芝居ができるので、本当に楽しみです。この作品でたくさん経験して、いろんなことを吸収する貴重な時間になると思っています。(柿澤に向かって)いつでも、何でも言ってください!
柿澤:あははは!(笑)
北:アドバイスでもなんでも、言っていただけたらうれしいです。
柿澤:いやいやいや! 僕はそんな! とんでもないです。
――柿澤さんの、役者としての印象は?
北:本当の柿澤さんってどんな人なんだろうと思うくらい、作品によって全然違う顔を持っているので。今回、ちょっと追究してみたいですね。
柿澤:普段の僕は、実朝みたいに静かで。
北: (笑)。
柿澤:あまり向上心もないし。
北:いやいや!
柿澤:争いも嫌いで、穏やかに生きていきたい人間です(笑)。
北:(笑)。柿澤さんのお芝居を間近で見られるのが、今からすごく楽しみです。
――柿澤さんは、役者としての北さんの印象はいかがですか?
柿澤:いやもう、ものすごく誠実なのが画面越しでも伝わってきますよね。絶対に妥協せず、自分が“これだ”と納得できるところまでいく人だというのは、一発でわかります。
北:うれしい!
柿澤:製作発表や、こういう取材のときもそうですが、言葉づかいもキレイだし。
北:いやいやいや(照)。
柿澤:オフィーリアにピッタリじゃないかなって思います。
北:ありがとうございます!
――柿澤さんは、座長として積極的に共演者に話しかけたりするタイプですか?
柿澤:僕は、ものすごく周りに気を配る座長……鋼太郎さんや竜也さん、小栗旬くんのように「みんな、大丈夫か?」みたいな感じにはできないんです。自分のことで精一杯で、余裕がなくなっちゃうタイプ。
北:そうなんですか?
柿澤:以前は「みんなで飲みにいこう」みたいなこともあったけど、ご時世もあって最近はそういう機会も減りました。どの現場でも自分が座長だと強く意識することはないし、今回もたぶんそうだと思います。でも、今回は鋼太郎さんがいますから。何かにつけて「おまえ、うるさい!」とツッコんでくれるでしょう(笑)。
――北さんは、現場でみなさんとコミュニケーションをとろうと心がけますか?
北:私は、かなり人見知りなんですけど、話しかけてほしいし、みなさんといろいろしゃべりたいなと思っているので、気楽にお話を……。
柿澤:そうなんだよね! 僕もですけど、人見知りの人って話しかけられるのは意外に苦じゃないんですよ。
北:そう! 苦じゃないです。
――話しかけられ待ちの状態なんですね。
北:はい。なかなか話すきっかけを作れないだけで。
柿澤:意外に僕、かまってちゃんだったりするので(笑)。
北:はい、私も同じです(笑)。
お二人が最近遭ったプチ悲劇とは……?
――『ハムレット』といえば悲劇の象徴的作品ということで……お二人が最近遭ったプチ悲劇を教えてください。
北:私、ありますよ。
柿澤:はやっ!
北:あのですね、2ヶ月連続でカラスに糞を落とされました。1回は撮影終わりに、もう1回はプライベートで外出中に。
柿澤:えーーー!?
北:思いっきり!
柿澤:どこに? 頭?
北:頭です。耳のそばで「ビチャッ」という音がして、ん? 雨? と思ったら、バッグや洋服に、もう真っ白な……。
柿澤:うわーーー!!
北:カラス様が落としていかれたんですけど。その後予定もあったので、困ってしまって。しかたないので自販機でお水を買って、がんばって洗いました。
柿澤:そっか……。
北:通りかかった人には、きっと“何してる人?”みたいに見えたと思います(笑)。
――精神的なダメージも大きいですよね。
北:はい。でも、「きっと、それで運がついたんだよ」と言ってくれた人がいたんですね。そうしたら本当に『ハムレット』が決まって!
柿澤:それはスゴいね!(笑) プチ悲劇か……何かあるかな?
北:きっと柿澤さんは、幸せな毎日を送っているから。
柿澤:いやいや、平々凡々な毎日ですけど……あっ! 先日舞台の大阪公演で2週間ぐらい家を空けたんですね。それで、無事に公演が終わって帰ってきたら、なんと電気がつけっぱなしになっていたという。
北:えー!? それはショックですね。
柿澤:ショックでしたね。冬場は電気代も高いし(笑)。
――お部屋に入った瞬間は、どんな反応になったんですか?
柿澤:何だろう……もはや無ですね。
北:時間は戻せないし。
柿澤:そうそう(笑)。
北:それは悲劇だ。
――最後に、本作の公演を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
北:今の時代って、何が正しいとかをはっきりさせたがるじゃないですか。だから、SNSがここまで流行るんだろうし。みんな安心したいんですよね、きっと。でも、自分の信じている正しさや正義は本当にそのままでいいのか? この作品は、そうやって見直すきっかけになれるんじゃないかなって。私は『ハムレット』を読んでそんなふうに感じたので。ぜひ劇場に来て、いろんな思いを受けとっていただけたらうれしいです。
柿澤:これは本作に限らず、どの作品、役に対してもそうですが、本気で挑まないとおもしろい芝居にはならないですよね。今回のキャスト陣もみなさん本気でやってくるでしょうし、そうやってマジで挑んでいる姿から何かが伝わると思います。
『ハムレット』には、この現代の日本においても共感できるセリフやシチュエーションが絶対にあるはずです。鋼太郎さんもおっしゃっていましたが、「彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd」の第一弾として、今後観たことを一生自慢できる作品になるはずです。劇場でお待ちしております!
取材・文:林桃
Photo:野田涼
スタイリスト:ゴウダアツコ
ヘアメイク:大和田一美
公演概要
彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』
<埼⽟公演>
期間:2024年5⽉7⽇(⽕)〜26⽇(⽇)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 ⼤ホール
【ツアー公演】
<宮城公演>
期間:2024年6⽉1⽇(⼟)〜6⽉2⽇(⽇)
会場:仙台銀⾏ホール イズミティ21 ⼤ホール
<愛知公演>
期間:2024年6⽉8⽇(⼟)〜9⽇(⽇)
会場: 愛知県芸術劇場 ⼤ホール
<福岡公演>
期間:2024年6⽉15⽇(⼟)〜16⽇(⽇)
会場:J:COM北九州芸術劇場 ⼤ホール
<⼤阪公演>
期間:2024年6⽉20⽇(⽊)〜23⽇(⽇)
会場:梅⽥芸術劇場シアター・ドラマシティ
<スタッフ>
作:W.シェイクスピア
翻訳:⼩⽥島雄志
演出・上演台本:吉⽥鋼太郎 (彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)
美術:杉⼭ ⾄
照明:原⽥ 保
⾳響:井上正弘
⾐裳:紅林美帆
ヘアメイク:⼤和⽥⼀美
⾳楽:武⽥圭司
殺陣:六本⽊康弘
フェンシング指導:和⽥武真
パントマイム:いいむろなおき
振付:藤⼭すみれ
演出助⼿:井上尊晶
舞台監督:⼤垣敏朗
技術監督:福澤諭志
<キャスト>
柿澤勇⼈
北 ⾹那
⽩洲 迅
渡部豪太
豊⽥裕⼤
櫻井章喜
原 慎⼀郎
⼭本直寛
松尾⻯兵
いいむろなおき
松本こうせい
⻫藤莉⽣
正名僕蔵
⾼橋ひとみ
吉⽥鋼太郎
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/hamlet2024/
公式Ⅹ:https://twitter.com/Shakespeare_sss
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