ふぉ~ゆ~福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介×紅 ゆずるインタビュー 『Only 1, NOT No.1』 「余白の部分を想像しながら楽しめる作品」(前編)

2025年7月13日(日)、日比谷シアタークリエにて『Only 1, NOT No.1』が開幕します。
ショービズ界でオンリーワンの存在として注目を集めるふぉ~ゆ~が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」と2022年にコラボし、舞台ふぉ~ゆ~ meets 梅棒『Only 1, NOT No.1』を上演。大ヒットJ-POPに乗せた極上のダンス・パフォーマンスで、ホストクラブ同士の激烈バトルを表現し、大きな評価を受けました。
ふぉ~ゆ~演じる寄せ集めのホストが働くホストクラブ「WHITE KNIGHT」。自分だけの“Only1”を磨き、“No.1”を目指して奮闘する4人の前に立ちはだかるのは、全国の歓楽街のNo.1ホストが集結した、ホストクラブ界の黒船「BLACK SHIP」。そこで働くホストを演じるのは、梅棒の梅澤裕介さん、鶴野輝一さん、遠山晶司さん、櫻井竜彦さん、楢木和也さん、天野一輝さん、野田裕貴さんです。ほか、“歌舞伎町の女王”「クレア」役に、新キャストの紅 ゆずるさん。ゲイバーの店長「ハマ子」役にHideboHさん。地方から上京してきた“新人キャバ嬢”役に、新キャストの佐々木莉佳子さんなど、バラエティーに富んだ役者陣が集結しました。
THEATER GIRLは、ふぉ~ゆ~の福田悠太さん、辰巳雄大さん、越岡裕貴さん、松崎祐介さんと、紅 ゆずるさんにインタビュー。前編では、初演を振り返りつつ、再演にかける思いを伺いました。
すごくアツい舞台だった
――初演の際の思い出を教えてください。
福田:やっぱり、スゴい運動量というのが、最初に出てくるワードですかね。こっしーとマツは冒頭から登場して、福田と辰巳に関しては、中盤あたりから出てくるという役どころなんですよ。僕らが出る頃には、すでにこっしーとマツがヘトヘトになっているぐらいの運動量で。僕と辰巳がへとへとになる頃にはもう、ほかの二人はどうなっちゃうの!? という感じなんですけど。
カンパニー全員でへとへとになってやっているのが、ツラいんだけど、ちょっと青春な感じもあって。そういった意味でも、すごくアツい舞台だったなと思います。
辰巳:いや~、思い出がありすぎるんですけど……やっぱり、名古屋公演で(伊藤)今人さんが茉莉花役をやったことですかね。大千穐楽にあーちゃん(綺咲愛里)が出られなくなってしまったんですけど、休演するのではなく、今人さんが茉莉花を演じたんです。
紅:えーっ、そうやったんや!?
辰巳:あーちゃんの悔しい思いを汲みつつ、でも“やらない”という選択ではなく、演出を担当している今人さんがヒロインを演じるという。
松崎:茉莉花は、僕が演じる犬太の妹という役どころなんですけど。
辰巳:僕が、茉莉花に恋をするという。僕が茉莉花をお姫様抱っこするシーンがあったんですけど、最後、見事に逆になりまして。僕が茉莉花にお姫様抱っこされるという(笑)。そのときの会場の盛り上がりがスゴくて!
松崎:あれは泣けるよね。
辰巳:梅棒ファンの方々も、“わっ、こうやって最後まで走り抜けるんだ!?”という感動があったでしょうし。僕らは僕らで、スゴい作品をやったな、という。梅棒さんの真骨頂を見たというか。でも、今人さんの茉莉花がめちゃくちゃかわいかったんですよ!
――違和感なく恋をしてしまうくらい?
辰巳:もう全然好きになってました。茉莉花がかわいくて。
松崎:なんなら、恋してたぐらいだもんね。
辰巳:全然恋してましたね。それって、みんなで作り上げてきたという作品への信頼感が全員にあったからこそできたことだなと。とにかく、結束力がものすごく強いカンパニーでした。
越岡:本番中の話ではないんですけど……梅棒さんの作品を観にいって、終演後に舞台裏に通してもらうと、みんな“氷バケツ”に入っているんですよ。(腰のあたりを指しながら)ここぐらいまで浸かれるくらい、バケツに氷と水が入っていて、本番が終わった瞬間、みんなそこに入ってアイシングをするんですけど。自分も、それを経験できたのがうれしかったです。ずっと見ていた景色だったので。
辰巳:業務用のポリバケツがあるじゃないですか。あれに氷を入れて。
越岡:もう、ギンッギンに冷えてるんだよね。
松崎:俺は途中でやめちゃったけど。
越岡:それぐらいハードな舞台なので、すぐにカラダが戻るようにって、梅棒さんがやっているんです。
辰巳:アイスバケツ待ちの行列ができるんだよね。
越岡:そうそう!
福田:たぶん公演中は、東京都中の水を……。
松崎:あー、きっと使ってたよね。
福田:まぁ、東京都は言いすぎかもしれないけど、日比谷が水不足になっていたとしたら、たぶんクリエのせいです(笑)。

――でも、そんなアイシングが必要なくらい本番中は激しく動いて、汗をかいたということですよね。
越岡:そうですね。
福田:まぁ、もしかしたら、お客様の涙も入っているかもしれませんよね。
一同:……。
松崎:はぁ~い(笑)!
――松崎さんは、初演の思い出というと?
松崎:こっしーと僕は、一年に1回、『Endless SHOCK』にずっと出演してきたから、カラダの基礎的な部分ができていたのだと。やっぱり、あれだけ踊れたのは、『SHOCK』でスタミナがついたからだと自負しています。それに、誰一人欠けることなくちゃんとゴールできたのは、それだけアツいメンバーが集まっているカンパニーだということで。
今回、紅さんと佐々木(莉佳子)さんがはじめましてですけど、お二人にもすごく魅力を感じていますし、早く稽古をしたいという気持ちでいっぱいです。 そして、やっぱりカラダのケアは大事です。健康第一! 「ちゃんと体調が万全で、100パーセントの状態でステージに立とうよ」という気持ちで……。
辰巳:そろそろいこうかね。
松崎:バトンをつないできて、最後にゴールを……。
辰巳:松崎さん! 質問されたのは、前回の思い出です。今回への意気込みではなく。
松崎:いや、これは僕の思い入れですね。
辰巳:あっ、思い入れ!? あー、すみません。前回はこういう気持ちで臨んでいたという、思い入れを語ってくれたみたいです(笑)。
松崎:じゃあ、今年はどうなの? という話ですが。
辰巳:わははは!
松崎:それは、観にくればわかるよって。
辰巳:あっ、そういうことなんですね?
福田:今の話のなかで、「僕らに関しては、『SHOCK』に出ていたから体力がついたということを自負しています」というところが、なんかおもしろかったです。今も、じわじわきています(笑)。
松崎:すみません、ありがとうございました。とにかくがんばろう! ということです、ハイ。

――松崎さんは、氷バケツでのアイシングを途中でやめたとおっしゃっていましたが。
松崎:あのね、想像以上に……。
越岡:痛いんだよね。
松崎:ホントに超~……あー! 今、想像するだけでもムリだ。僕、寒いのが苦手なんですよ。(福田と辰巳を指して)ここが寒さに強い二人で、(越岡を指して)ここが、やや強い。で、僕はもうダメなの。
福田:そんなことないって!
松崎:違うよ、サウナに入った後に……。
辰巳:あー、水風呂?
松崎:そう、水風呂! 僕、あれに入れないんですよ。
紅:えーっ、入れないんですか!?
松崎:えっ、紅さんは大丈夫ですか?
紅:全然いけます。大好きです。
松崎:マジか!?
紅:今回、名古屋公演があるので、サウナ店に行けるじゃないですか。
福田:みんなで行きましょうよ。
紅:めっちゃ楽しみにしているんですよ。
松崎:行きましょうよ!
紅:でも、(水風呂に)いけないんでしょ?
松崎:いや、みんなといく!
辰巳:みんなとなら、冷たいのも入れる?
松崎:そう!
――盛り上がっているところ、申し訳ありませんが(笑)、紅さんは、初演をご覧になっていかがでしたか?
紅:いや、めちゃくちゃハードやと思いました。もう、始まってすぐに、これはスゴい! と思いました。“(動きのタイミングは)全部、カウントで決まっているのかな?”とか。あと、ちゃんと“ダンス”というふうにしちゃうと、あまり気持ちが飛んでこなかったりするんですけど。全面的に飛んできたんですよ、気持ちが。
辰巳:スゴい!
紅:与えていただいたものを膨らますという時間も大切だと思うので、そのへんもスゴいなって。本作は、とても人気公演だとお聞きしています。そこに入らせていただくのは大変光栄なことですので、心して臨みたいと思います。

前回よりこの作品の世界に引き込める芝居をしたい
――ふぉ~ゆ~のみなさんは、再演に対する思いはいかがでしょうか。
福田:初演から約3年ぶりとなるのですが、その間、関係者の方からも、「梅棒で、すごくおもしろいことをやっていたらしいね。噂に聞いたよ」とか、「また、やらないの?」ということを、よく言われた作品です。
もちろん、お客様からの「もう一度、観たい」という声もすごく多かったので、今回、再演の運びとなりました。新しく、紅さんと佐々木(莉佳子)さんがカンパニーに入ってくれて、新しい彩りを添えてくれるということで、とても楽しみにしています。
辰巳:僕自身、ご一緒する前から梅棒さんの作品が大好きで、観にいくのも大好きだったんですけど。いつも、マンガを読んでいるような感覚になるんですよね。マンガを読んでいるときって、セリフの声は聞こえないけど、自分のなかで、勝手にその人物の声が出来上がっていくじゃないですか。梅棒さんの作品も、セリフのある芝居とは違う魅力があって、自分で自由に楽しめる作品だと思うんです。
これから(梅棒の作品を)観る方は、必ず劇場で感じることだと思うんですけど、僕らはセリフを言ってないのに、観ている人のなかで、その役がしゃべり始めるんですよ。どんどん会話が始まって、自分のなかでストーリーが広がっていくのと同時に、余白の部分……“この人の人生は、こうだったんじゃないか”というところを、妄想したり想像したりしながら楽しめる作品だと思います。
タイトルにある“Only 1”というのは、劇中に出てくるホストクラブの「WHITE KNIGHT」や「BLACK SHIP」に対してもそうだし、僕ら、ふぉ~ゆ~もそうだと思うんですけど、お客様に対してもそうで。
僕が梅棒さんの作品を観にいくときによく思うことですが、「あなただけのステージの楽しみ方をしていいんだよ」と。その想像力を、より掻き立てられるように、自分はWHITE KNIGHTのメンバー・益子 龍として、前回よりみなさんをこの作品の世界に引き込める芝居をしたいです。
越岡:“しゃべるふぉ~ゆ~”のしゃべりを封じられた舞台です。これまで、梅棒さんの作品をいくつも観ていて、自分もやってみたいなという感覚はあったんですけど。実際にやってみたら、カラダで表現することの難しさをすごく痛感しました。
でも、同時に楽しさも知れたので。今回、梅棒スタイルを知ったうえで挑戦することで、この作品をより上に持っていけるんじゃないかなと、今からワクワクしています。シアタークリエを一番アツい劇場にしたいと思います!
松崎:この作品は、梅棒さんと僕たちのエンターテインメントが詰まった、肉弾戦競技だと思っています。ノン・バーバルで、カラダ一つで物語を紡いでいくぶん、ホントに人それぞれ、感じ方が違うと思うんです。一人ひとり、頭の中の教科書は絶対に違うので。いろんな角度から、いろんな視点で見ることによって、“あっ、この人にはこういう気持ちがあるんだな”みたいに、おもしろい見方ができると思います。みなさん、劇場でお待ちして松!
――紅さんは、新キャストとして参加されます。
紅:今回、歌舞伎町の女王の役をさせていただくということが、めっちゃうれしいです。YouTubeでもよく観ているのですが、何かを束ねることが、ものすごく好きで。私も宝塚で、トップとして束ねてきたポジションにはいたのですが、基本的に中身がちょっとポヨっとしていまして(笑)。組織の中にいたからできていたところもあるので、YouTubeを見て研究して、歌舞伎町へも行ってみたほうがいいかなと、今、ちょっと思っているんです。
辰巳:おー!
紅:なので、歌舞伎町のいいお店を知っていたら、ぜひ教えてください(笑)。
紅:みなさんが、セリフのない物語をダンスで紡いでいかれるなか、“こういう劇ですよ”というのを提示していくのが私の役目かなと思うので。「これがキーワードです」ということを提示しながら、「あとはもう、どう感じてくださっても大丈夫です」と、自由を残しつつ。歌舞伎町の女王としてのバックボーンを、きっちりと自分で持ちながら、みなさんのことをジロジロと見て……。
ふぉ~ゆ~:ジロジロ(笑)。
越岡:いいですよ、普通に見てくださって(笑)。
紅:(笑)。舞台上に存在したいなと思っています。

取材・文:林桃
撮影:野田涼
【ふぉ~ゆ~】
ヘアメイク:国府田雅子
スタイリスト:小林洋治郎
【紅ゆずる】
ヘアメイク:masaki
スタイリスト:鈴木仁美
グリーン花柄セットアップ¥15,860(Wild Lily代官山)
イヤリング¥33,000(グロッセ/グロッセ・ジャパン)
・Wild Lil代官山 (03 3461 4887)
・グロッセ・ジャパン(03-6741-7156)
公演概要
ふぉ~ゆ~ meets 梅棒 『Only1,NOT No.1』
作・総合演出:伊藤今人(梅棒)
振付・監修:梅棒
出演:
福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介(ふぉ~ゆ~)
梅澤裕介、鶴野輝一、遠山晶司、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴(梅棒)
小野礼実、湊江梨奈、豊田由佳乃、柳澤佳純
佐々木莉佳子、HideboH、紅ゆずる
7月13日(日)~8月3日(日) 日比谷シアタークリエ
8月9日(土)~10日(日) 岡谷鋼機名古屋公会堂
製作:東宝