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二人の青年の甘酸っぱい「恋愛」を描く。ミュージカル『GIRLFRIEND』公開稽古レポート!

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90年代のパワー・ポップシーンを牽引したマシュー・スウィートのCDアルバム『GIRLFRIEND』をベースに、ネブラスカ州に住む2人の青年の淡く甘酸っぱい青春を描くミュージカル『GIRLFRIEND』が、2024年6月14日(金)に東京・シアタークリエにて初日を迎える。

本作の登場人物は、まだ閉塞感漂う90年代のアメリカで、高校を卒業したばかりの多感な年頃を生きるウィルとマイクのみ。学校に馴染めないウィルをトリプルキャストで演じるのは高橋健介、島 太星、井澤巧麻、スポーツ万能で人気者のマイクをトリプルキャストで演じるのは萩谷慧悟、吉高志音、木原瑠生の計6人だ。

東宝ミュージカル初登場となる6人が、2人きりのミュージカル作品に挑むとあって注目を浴びている本作。基本的なペアは決まっているが、公演中盤には「シャッフルウィーク」と称し、ペアを入れ替えての公演も実施予定。ペアの違いによる化学反応にも期待が集まっている。

今回は、全キャスト6人による公開稽古レポートをお届け。公開稽古では、各ペアが楽曲を1曲ずつ披露した。各シーンの見どころとともに、歌唱後に実施された質疑応答の様子も紹介する。

まず最初に披露されたのは井澤巧麻&木原瑠生ペアによる『Reaching Out』。1本のミックステープを通じて交流し始めたばかりの2人が、初めて一緒にドライブインシアターに出かけたあとに歌われる楽曲だ。狭い車内に並んで座る2人の視線は、距離をはかりかねるように近づいては離れ、なんともぎこちなさを感じるシーン。初めて一緒に出かけた2人は、別れた後、それぞれの場所で名残惜しい余韻を星空に重ねて、『Reaching Out』を口ずさんでいく。

翻訳・演出を担当する小山ゆうなから「すごく真面目で、安心感がある」と評された井澤のウィルと、「ハッとするアイディアが出てくる」と評された木原によるペア。

「ターニングポイントに必ず音楽があった」と語る井澤の切なくもまっすぐな歌声は、なんとも想像力を掻き立てる。一方の木原は「音楽とはどんな存在か?」と問われ「命」と迷いなく答えるほどの熱を、芝居と歌に込めていた姿が印象的。

質疑応答の挨拶で、井澤は「今後の人生において財産になる時間になると思っている」、木原は「今後の人生を左右する作品になると思う」とそれぞれに抱負を語った。言葉選びがどこか似ている2人のハーモニーの相性のよさにグッと心掴まれるペアだ。

トップバッターで緊張した様子を見せた2人と交代する形で中央に現れたのは、タイトルナンバー『GIRLFRIEND』を披露する高橋健介&萩谷慧悟のペア。

3ペアの中でも“お互いのもの”という雰囲気がとくに強いという2人は、『GIRLFRIEND』を歌いながら2人の距離が縮まるシーンを披露した。自分の置かれた環境にむしゃくしゃしながら、2人が現実逃避めいた雰囲気でドライブを楽しむという青春味の強い場面だ。1曲目ではとまどい気味に相手の様子を窺っていた2人が、一緒に大好きな曲を歌うことで自分の殻を少しずつ破っていく過程が描かれていく。

小山から「お芝居の部分での提案が本当に優れていて、引き出しが多いからどんどん出してくれる」と信頼を寄せられる高橋の躍動感がありながらも丁寧な演技と、萩谷の等身大な演技と、恋する喜びに満ちた楽曲が絡み合い、稽古とは思えない完成度で楽しませてくれた。小山から「アメリカの田舎町に見えないくらい」と言われるほど華のある萩谷のダンスシーンも楽しめる見応えのある1曲だ。

質疑応答では、萩谷は「シアタークリエは自分の中で特別な会場で、そこでできることにも感動している」と意気込みをコメント。高橋は公開稽古をしながら、マイクとウィルの「2人だけの音楽」というものを実感したそうで、「こっちを観ないでほしかった」と笑いを誘う。「観客のみなさんはぜひ“覗き見”しにきてください」と挨拶をした。

ラストを飾ったのは島太星&吉高志音ペアによる『We’re the Same』。離れ離れになる日が近づく中、2人がボンネットに腰掛けて、これまで以上に本当の自分をさらけ出していくシーン。情感たっぷりに歌い上げられる『We’re the Same』のナンバーに、“恋はするものではなく落ちるものだ”という一文が脳裏に浮かんだ。

会見では緊張しすぎた結果「楽しみにらっしゃってくださったら」と舌がもつれて、高橋に「どういう日本語!?」とツッコまれるなど、小山の言う「ムードメーカー」らしさを発揮して場を和ませた島。「歌が唯一自分が安心できるホーム」で、音楽は「もう1人の島太星」と語る島は、質疑応答での印象をいい意味で裏切る包容力ある歌声を稽古場に響かせた。

マイクとしてギター演奏も披露した吉高も、「音楽が大好きという力だけでここまできたような感覚。音楽でしか伝わらないものを探し続けていくのが、人生の課題だと思う」と、音楽への並々ならぬ思いを語る。小山からは、役を意識して90年代アメリカ風の出で立ちで稽古に参加していることを暴露されはにかむ一面も。

吉高いわく「作品の中でもキーとなるシーン」を担当した2人は、歌唱が終わると安堵感から熱い抱擁を交わしていた姿も印象的だった。

まだ未熟で決して多くの言葉を持たない2人の若者に芽生えた“恋心”は、ポップでロックなナンバーとともにどう観客の心を動かしてくれるのか。ミュージカルらしくアレンジされたマシュー・スウィートの楽曲をたっぷり12曲も楽しめるミュージカル『GIRLFRIEND』は、シアタークリエにて6月14日(金)から7月3日(水)まで上演される。

文:双海しお
撮影:THEATER GIRL編集部

公演概要

ミュージカル『GIRLFRIEND』

キャスト:
高橋健介/島 太星/井澤巧麻(トリプルキャスト)、萩谷慧悟/吉高志音/木原瑠生(トリプルキャスト)

脚本 トッド・アーモンド
作曲・作詞 マシュー・スウィート

翻訳・演出 小山ゆうな

訳詞 上田一豪
音楽監督 小澤時史
振付 sota(GANMI)
美術 乘峯雅寛
照明 勝柴次朗
音響 山本浩一
衣裳 伊藤佐智子
ヘアメイク 小林雄美
映像 石原澄礼/上田大樹(&FICTION!)

歌唱指導 tekkan
音楽コーディネート 東宝ミュージック
バンドコーディネート 新音楽協会
歌唱指導助手 田中俊太郎
稽古ピアノ 杉田未央/西 寿菜

演出助手 末永陽一
舞台監督 馬淵だいき

制作 村上奈実
プロデューサー 江尻礼次朗
スーパーバイザー 増永多麻恵

宣伝フォトグラファー 嶌村吉祥丸
宣伝アートディレクション 大江早季

製作 東宝

【公演日程】
2024年6月14日(金)~7月3日(水) シアタークリエ

【チケット料金】
発売中
11,500円(全席指定・税込)

【作品公式サイト】
https://www.tohostage.com/girlfriend/
【作品公式Instagram】
https://www.instagram.com/girlfriend_toho/

【お客様からの問い合わせ先】
東宝テレザーブ 03-3201-7777

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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