ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』公開稽古レポート!
2024年7月27日(土)より10月26日 (土)まで東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて、11月には大阪・SkyシアターMBSにて上演されるミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。
本作は、1980年代のイギリス北部の炭鉱の町を舞台に、ひとりの少年と彼を取り巻く大人たちの姿を描き、世界中を虜にした映画「BILLY ELLIOT」(邦題「リトル・ダンサー」)を、映画を監督したスティーヴン・ダルドリー自らが演出を手掛け、世界最高峰のクリエイターと共に2005年にミュージカル化し、世界中で大成功を収めている。
日本では2017年に日本人キャストによる初演が開幕すると約16万人の観客を熱狂させ、菊田一夫演劇賞大賞や読売演劇大賞選考委員特別賞など数多くの演劇賞を受賞。
そして2020年の再演を経て、あれから4年。最もアツいミュージカル『ビリー・エリオット』が、厳しいオーディションを勝ち抜き、1375人の中から選ばれた新たなビリーとともにパワーアップして帰ってくる。11歳前後の少年にしか演じられないビリー役は、彼等にとっても人生一度きりの挑戦となる。今この瞬間に全力を捧げる少年たちの輝き、そしてビリーを支える豪華実力派キャストに期待してほしい。
今回は、都内稽古場にて行われた公開稽古の模様をお届けする。
公開稽古レポート
2017年に日本で初演され、多くの観客の心を打った“奇跡”のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が帰ってくる!コロナ禍を乗り越え公演を実施した2020年の再演を経て、新たなキャストを迎えての上演が決定。オープニング公演の開幕まで1ヶ月となったこの日、都内スタジオにて公開稽古が実施され、キャストのパフォーマンスや海外クリエイティブスタッフによる場面のレクチャーなどがおこなわれた。
公開稽古で披露された5つの場面をご紹介していこう。
① 『The Stars Look Down 星たちが見ている』
ストライキが決行されることになり、炭鉱で働く男たちが“暗闇にいても夜空の星が自分たちを導いてくれる”と力強く歌う中、ビリー(石黒瑛土)がまるで将来の座標軸を探すように床を踏みしめながら進んでいく。炭鉱夫たちの熱量とビリーの繊細な感情とがリンクし、それぞれの未来を暗示する本作のオープニング場面だ。
② 『Shine 輝け、今!』
ボクシング教室で居残り練習をさせられていたところ、偶然バレエのレッスンに迷い込んでしまったビリー(石黒瑛土)とウィルキンソン先生(濱田めぐみ)が出会うシーン。どんな個性でも踊って輝くことができる!とバレエガールズたちを鼓舞するように歌い踊るウィルキンソン先生と、そのエネルギーの渦の中で戸惑いつつバレエに興味を持ちだすビリー。必死に踊るバレエガールズたちがとてもキュート。
③ 『Express Yourself 自分を表現しよう』
バレエや家族のことで悩みが尽きないビリー
(春山嘉夢一)が親友・マイケル(髙橋維束)から“自分の人生好きに生きればいい”と元気をもらうナンバー。ふたりはママのドレスをこっそり着せ替えながら友情を確かめ合う。タップを楽しそうに踏むビリーとマイケルの姿が愛おしい。
④ 『Angry Dance 怒りのダンス』
本作見せ場のひとつ。ビリー(井上宇一郎)はロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けるためロンドンに行こうとするが、お父さん(益岡徹)に認めてもらえない。行き場のない激しい怒りの感情をダンスで表現するビリー。短い時間で気持ちをマックスまで引き上げて踊る最高にパワフルかつセンシティブな場面だ。
⑤ 『Solidarity 団結を永遠に』
ストライキをおこなう炭鉱夫と警官隊の間の摩擦が激しくなり、“団結だ!”とそれぞれの立場で歌う中、ウィルキンソン先生(安蘭けい)とバレエガールズも同じメロディを歌いながら踊る。炭鉱夫たちとガールズがデュエットのようにリンクするバレエシーンは幻想と骨太さが混在する舞台ならではの演出といえる。
ビリー(浅田良舞)も何かの力が宿ったかのようにバレエの実力を高めていく。
この日は海外クリエイティブスタッフのエド・バーンサイド氏(演出補)による場面ごとのレクチャーもおこなわれ、本作におけるビリー役は「マラソンを走りながらハムレットを演じるのと同じくらいの難易度」とのコメントもあった。一生のうち、ほんの少しの期間しか演じられないビリー・エリオット役。2024年版でこの役を担う4人の俳優たちが自らの個性を武器にどんなビリーを魅せてくれるのか非常に楽しみだ。
また、2017年の初演からお父さん役を演じる益岡徹は優しさと強さを併せ持つキャラクターが短い場面からも伝わり、初参加となる鶴見辰吾はどこか飄々としたお父さん像を構築。芯の部分は同じでもかなり印象が異なるダブルキャストになりそうな予感。
さらに『カム フロム アウェイ』や『アリス・イン・ワンダーランド』等の舞台で共演し、“忘れられた大女優”を描いたミュージカル『サンセット大通り』では主役のノーマ・デズモンドをそれぞれのアプローチで演じた安蘭けいと濱田めぐみ。日本のミュージカル界をけん引するふたりが内心に澱を抱えながらビリーに希望を見出すウィルキンソン先生をどう立ち上げるのか大いに注目したい。
稽古終了後、本番と同じサイズで組まれた舞台上も歩かせてもらったのだが、とても繊細な八百屋(傾斜がある舞台)になっており、角度がついたこのステージでバレエをはじめ、さまざまなダンスやムーヴメントを表現する難易度の高さ、俳優の身体にかかる負荷の大きさは尋常でないと感じた。エド氏も語った通り、アンサンブル、スウィングを含めた大人の俳優陣も過酷なオーディションを勝ち抜いたビリーたちに負けず劣らずトップクラスのメンバーが揃っているということだ。
この日の公開稽古に合わせ、ビリー役4人の出演スケジュールも発表になった。1375人の応募者の中から選ばれ、並大抵ではない稽古を重ねてきた彼らがこの“奇跡のミュージカル”の舞台に立つまであと1ヶ月。2024年版の4人はどんなビリーを魅せてくれるのだろう。大人キャストとの組み合わせでもさまざまな化学反応が生まれそうである。
『ビリー・エリオット~リトルダンサー~』は人生のすべてが詰まっているミュージカルだ。ビリー、お父さん、ウィルキンソン先生、マイケル、おばあちゃん、炭鉱夫たち……1984年、英国北東部で生きる人々の中にきっとあなたの人生を映し出す人物がいる。ぜひ劇場でこの物語を受け取ってほしい。
取材・文:上村由紀子(演劇ライター)
撮影:加藤春日
公演概要
Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
【東京公演】
オープニング公演:2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【大阪公演】
2024年11月9日(土)~24日(日)
SkyシアターMBS
チケット:
【東京公演】
S席:平日¥15,000/土日祝¥15,500
A席:平日¥12,000/土日祝¥12,500
B席:平日¥ 9,000/土日祝¥ 9,500
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S席:平日¥15,000/土日祝¥15,500
A席:平日¥12,000/土日祝¥12,500
【大阪公演】
S席:平日¥15,000/土日祝¥15,500
キャスト:
ビリー・エリオット:浅田良舞/石黒瑛土/井上宇一郎/春山嘉夢一(クワトロキャスト)
お父さん:益岡 徹/鶴見辰吾(ダブルキャスト)
ウィルキンソン先生:安蘭けい/濱田めぐみ(ダブルキャスト)
おばあちゃん:根岸季衣/阿知波悟美(ダブルキャスト)
トニー(兄):西川大貴/吉田広大(ダブルキャスト)
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー:永野亮比己/厚地康雄/山科諒馬(トリプルキャスト)
森山大輔/近藤貴郁(ダブルキャスト)、大月さゆ、大竹 尚、加賀谷真聡、黒沼 亮、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴*、石田優月、白木彩可、新里藍那
*スウィング
髙橋維束、豊本燦汰、西山遥都、渡邉隼人、上原日茉莉、佐源太惟乃哩、内藤菫子、猪股怜生、髙橋翔大、張浩一、多胡奏汰、藤元萬瑠、石澤桜來、岩本佳子、木村美桜、清水 優、鈴木結里愛、住徳瑠香、長尾侑南、松本望海、南 夢依、宮野陽光
スタッフ:
脚本・歌詞 リー・ホール
演出 スティーヴン・ダルドリー
音楽 エルトン・ジョン
振付 ピーター・ダーリング
美術 イアン・マックニール
演出補 ジュリアン・ウェバー
衣裳 ニッキー・ジリブランド
照明 リック・フィッシャー
音響 ポール・アルディッティ
オーケストレーション マーティン・コック
翻訳 常田景子
訳詞 高橋亜子
振付補 前田清実、藤山すみれ(ドラスティックダンス”O”)
音楽監督補 鎭守めぐみ
照明補 大島祐夫、渡邉雄太
音響補 山本浩ー
衣裳補 阿部朱美
ヘアメイク補 柴崎尚子
擬闘 栗原直樹
演出助手 伴眞里子、坪井彰宏、加藤由紀子
舞台監督 松下城支
技術監督 清水重光
プロダクション・マネージャー 金井勇一郎
バレエ指導 坂本登喜彦
タップ指導 Higuchi Dance Studio
体操指導 キッズ体操教室でき⇄タノ、こむっしゅ体操教室
ボーカル指導 宇都宮直高
主催: TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW/MBSテレビ(大阪公演のみ)
特別協賛: 大和ハウス工業
協賛: イープラス
協力: キョードーファクトリー(東京公演のみ)
後援: BS-TBS/TBSラジオ
公式サイト:https://billy2024.com/
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