新原泰佑主演。『球体の球体』開幕！「僕であり僕でないような存在を観ていただけたら」

2024.09.14

REPORT

2024年9月14日(土)より東京・シアタートラムにて、舞台『球体の球体』が開幕する。

本作は、2023年度岸田國士戯曲賞を受賞、さらに第32回読売演劇大賞演出家賞上半期ベスト５に選出と、演劇界での注目度が高まる気鋭のクリエイター・池田亮による新作の書き下ろし作品。自身のアート作品がカプセルトイの「ガチャガチャ」として発売された経験から着想を得た本作。

架空の独裁国家を舞台に、「親ガチャ」「子ガチャ」といった要素を織り込みながら、生まれたものが自ら選べない状況や、遺伝と自然淘汰についての寓話として描き、脚本・演出・美術を池田自身が手掛ける。

現代アーティストの主人公を演じるのは、舞台・映像ともに目覚ましい活躍で注目を集め、本年2月の『インヘリタンスー継承ー』では第32回読売演劇大賞男優賞上半期ベスト５に選出された新原泰佑。彼を取り囲む個性豊かなキャラクターたちには、世界的ダンスパフォーマンスグループs**t kingzのメンバーで、近年俳優としても活躍する小栗基裕、様々な役柄をチャーミングに演じ分け、演出家や監督からの信頼を集める前原瑞樹、確かな演技力で味わい深いベテラン俳優相島一之と、実力派俳優が揃い、濃密な4人芝居を繰り広げる。

今回は、新原泰佑、小栗基裕（s**t kingz）、前原瑞樹、相島一之、脚本・演出・美術の池田亮が登壇した舞台挨拶のコメントとプレスコールの舞台写真をお届けする。

脚本・演出・美術：池田亮

僕は、元々彫刻をやっていまして、今回脚本、演出、美術とたくさん兼ねさせていただいたのですが、最初は美術だけでも成立できる作品をと考えて作っていました。それが劇場に入って、美術以外のキャストやスタッフの皆様が関わる中で、自分一つの作品だと作ったものが、いろいろな人が加わることによって変容していくようなものが作れたらなと。それが美術だったり演劇だったりに変化していけばと思い、今回美術も担当させていただきました。

彫刻をやっていた時に、こういう素材だと思っていたものが実は別の素材だったということに衝撃を受けることがありまして。まさに、その感じが演劇にはあると思うので、そういうことを原点として、様々な面が見られるような作品にしました。まさにガチャガチャのような、開けてみないとわからない。お客さまにとっても、ここに来て、観て、開けてもらって持って帰るような作品にできればと。ぜひ最後まで楽しんでいただけたらと思います。

新原泰佑

今回初主演をさせていただきます。出演が決まった時はこのシアタートラムという空間で初めてお芝居をできることを本当に嬉しく思いました。ある種プレッシャーもあったのですが、今はこの出演者の皆様、そして池田さんをはじめとしたスタッフの皆様がいてくださることが本当に心強くて早くお見せしたい気持ちでいっぱいです。

今回僕が演じるのは本島幸司というキャラクターです。現代美術家、そしてこのステージにある作品を作った本人なのですが、あて書きのようなもので今回この作品が作られているというのもあって、僕自身の日々思う気持ちがスッと言葉に乗っているような瞬間が多々あるなと感じています。

そして、この『球体の球体』の本島幸司というキャラクターにも沿っている。僕の中で自分と本島が一緒に歩いているような感覚でずっと稽古をしてきました。僕であり僕でないような存在を皆さんに観ていただけたらなと。観終わった時に何か考えを持って帰られるような作品にできたらと思っています。

小栗基裕（s**t kingz）

僕は日野グレイニという、央楼という独裁国家の大統領という、なんとも偉大な役を任せていただきました。最初その役をいただいた時は、全く想像がつかなかくて。独裁国家というものも、自分で感じたこともなかったですし、そのトップに立つ人間はどんな人なのか、ずっとイメージができないままでした。でも、台本を読むとますます予測がつかないキャラクターがそこにはおりまして。さらに池田さんの演出がつくことでもっとわからない人間になってきました。でも、その分からなさが魅力なのかなと。自分自身もよく考えたらあまり自分のことをわかっていないと、この稽古期間を通してすごく感じたので、その分からないを全力で浴びながら、楽しみながらこの素晴らしい皆さんと一緒に演じていけたらと思っています。

前原瑞樹

私は岡上圭一という。新原くん演じる本島さんのア―トキュレーターを担当しています。基本的には、本島さんを支える役割を持っているはずなのに、振り回したり振り回されたりしながら、小栗さんが言っていたみたいに、僕も「なんでこんな行動をとるんだろう」と思いながら、頭を抱えて池田さんの演出に応えようと頑張っています。ただ、理解しようとした瞬間に「もうそれいいです」「次新しいことやりましょう」と、どんどん変わっていくことを日々楽しんでいるので、きっと本番中も毎日変わっていくんだろうなと思います。毎ステージを一生懸命頑張りながら、多分完成しないだろうと思いながら一生懸命走り抜きたいと思います。

相島一之

私の役は架空の独裁国家、央楼という国の大統領なのですが、元々は、新原さん演じる本島の35年後という設定なんですね。現代アーティストの本島が、35年後いかにして央楼国の大統領になったのかというのがこの物語なんだと思います。でも、そこにいろんな問題がくっついてきて、まさに奇想天外な物語というのがぴったりだと思います。

私は池田さんとは『ハートランド』という作品で初めて会ったのですが。難解の向こう側にあるとても綺麗なものだったり、純粋なもの、それがその難解さの中に散りばめられているというか。演出を受けていた時にすごく印象に残った言葉が「彫刻を作るように演劇を作りたいんです」と。40年、お芝居をやっていますが、そんなことを言った演出家の方は初めてなんですよね。彫刻と演劇は別だろと（笑）。でも池田さんは真面目にそうおっしゃって。

でも今回、この4人で稽古場でああじゃない、こうじゃないと芝居を作っている時に、彫刻を作っているように演劇してるのではと少し感じて。本当に試行錯誤しながらこのメンバー、スタッフさんを混ぜた全ての座組みで作っていった感じがして。池田さんはそれをやってらっしゃるんだなと。だから、お客様の感想もすごく楽しみです。恐らくあまり観たことのない演劇なのではと思います。