薮宏太、梅田彩佳、草間リチャード敬太（Aぇ！group）出演。ミュージカル『tick, tick…BOOM!』開幕！「観にきてくれた方にも、その愛を感じてほしい」

2024.10.08

REPORT

2024年10月6日（日）、シアタークリエにてミュージカル『tick, tick…BOOM！』が開幕した。

本作は、2001年にオフ・ブロードウェイで上演されたのを皮切りに、日本をはじめ、イギリス、カナダなど各国で上演され、2021年には映画化もされた話題作。世界中に熱狂的なファンを持つミュージカル『RENT』を生み出しながら、開幕日直前に急逝した伝説的ミュージカル作家・ジョナサン・ラーソンの下積み時代をベースに、彼の葛藤と成長を描いたミュージカルだ。

ミュージカル作家としての成功を夢見る主人公・ジョンを演じるのは、薮宏太。ダンサー志望の恋人・スーザンを梅田彩佳、俳優を目指していた親友・マイケルを草間リチャード敬太（Aぇ！group）が演じ、夢への情熱、未来への焦り、不安、葛藤など、誰もが一度は抱くであろう感情を、数々の楽曲で綴る。

囲み取材にはキャスト3名が登壇し、開幕直前の心境を語った。

ゲネプロを終えての感想を聞かれた薮は、「本当に（キャスト）3人、稽古をがんばったもんね」と、梅田とリチャードとともに稽古の日々を回顧すると、「僕はずっとジョンをやっているんですけど、二人は自分の役以外もめちゃめちゃやっているので、すごく大変だと思います。でも、ゲネプロをやってみたら、“あれっ、1回も捌けてないな、僕”と気づいて。シーンが目まぐるしく変わってすごく大変なので、集中力を持って（本番に）臨まなきゃいけないなと思っています」と、決意を新たにした。

梅田は、「ステージで通しをやるのは今日が初めてだったのですが、薮くんとリチャと3人だけなんだなと改めて思ったのと同時に、めちゃくちゃ心強いなと。自分が舞台に出ていないときは、袖で二人のことを見ながらいっぱいパワーをもらったので。本番も二人からパワーをもらいながら、3人で頑張りたいと思います」と、共演者への信頼を言葉に滲ませた。

リチャードは、「初めて舞台上で全編を通してみたら、稽古場でやっていたよりもすごく消耗するなと感じました。（本番では）照明とかにも助けてもらいながらがんばって。でも、ゲネの感じを見たら“本番いけそう！”と思いました」と手応えを感じた様子を見せた。

稽古中に自身のなかで大変だったことを聞かれ、「僕は、やっぱりピアノですね」と即答した薮。「（劇中で弾く曲は、ジョンが）自分で書いた曲なので、“練習して弾いたよ”という感じの弾き語りではなく、ちゃんと自分の気持ちや感情から音を出さなければいけなくて、難しかった」と役作りにおいての苦労を語ると、今年の初めからピアノの練習を始めたことを明かし、「幼稚園から小学校までピアノ音楽教室へ通っていたんですけど、ヒサビサにピアノに触ってめちゃめちゃ緊張しました。僕、譜面をなんとなくは読めるんですが、見ながらピアノを弾けないんですよ。だから、ダンスの振付けを覚える感じで右手と左手をやっていました」と、アイドル活動をしている薮ならではのエピソードを披露。「毎回、ピアノの練習をしてから本番に臨むという、その繰り返ししかないですが、さらに精度を上げていきたいと思っています」と、飽くなき向上心を見せた。

スーザン以外に複数の役を演じる梅田が、「今までカレッサだったのに、一瞬でスーザンに変わったり、というのは今まで経験したことがないので、すごく難しい。でも、リチャや薮くんの顔を見ると、ちゃんとその役として見てくれている感じがして。そのおかげでがんばれています」と演じ分けの大変さを語ると、リチャードも「演じ分けが難しかった」と同意。「それに、“もっとニューヨーカーになって”とずっと言われていて。“俺が俺が！”“私が一番目立ってるでしょ！”という貪欲さを表現するのが難しかった」というリチャードに対して、「リチャはこう見えて、めちゃめちゃシャイなんです」とフォローすると、リチャードの連絡先も自分から聞いたことを明かす薮。

その言葉を受けて、「僕が自分からいけないぶん、（薮が）どんどんきてくださるので。後輩が言うのも何ですが、めちゃくちゃやりやすいです」とコメントするも、「やりやすい!?　初めて言われました（笑）」と笑顔で薮にツッコまれるリチャード。さらに取材陣から、役作りでバッサリと髪を切ったことに触れられると、「切らへんやったらカツラでってなっていたんですね。でも、カツラでこの髪型って、おもろならへんか!?　と思って、“じゃあ、（髪を）切ります！”と」と、一世一代の決心だったことを告白。「でも、（Aぇ！groupの）メンバーとかは、あまり興味がないみたいで」と、反応の薄さを嘆くリチャードに、「ステキよ」「うん、似合ってる」と薮と梅田が笑顔で言葉をかける場面も。

また、本作のテーマにちなみ、「自身の人生で“チック・チック”という焦りがなくなった瞬間は？」という質問が。「16、17歳ぐらいですかね」と答えた薮は、「僕は高校3年生で今のグループ（Hey! Say! JUMP）に入ったんですけど。当時は高校生ぐらいでデビューするのが当たり前だったので、高3になってもデビューできなかったらやめようかなという思いもあり、塾へ行き始めたりしたんです。結果的にはデビューできて、大学へも行ったんですが、そのときに勉強しておいてよかったなと思うところもあります」と、当時の自身を振り返ると、「人との巡り合いと運と……いろんなことがあって、今もこの活動がずっとできているのは、すごくありがたいです」と、噛みしめるように紡いだ。

同じくアイドルグループに所属していた梅田が、「27歳でAKB48の卒業を決めたときは、結構な決意がありました。でも卒業してみると、吹っ切れた部分があって。大好きなミュージカルをがんばる！　という気持ちが固まりました」と語ると、リチャードは「やっぱり、デビューしたときですね。メンバーと、30歳になるまでにデビューしたいねとずっと言っていたし。ホンマにデビューできるんかな？　と不安になる時期もあったんです。でも、今年の5月にデビューすることができて、モヤモヤがパッと晴れました」と爽やかな笑顔を見せた。

最後は、主演の薮が「ジョナサン・ラーソンは本当に自分の身を削って、そして愛を込めて作品を作り、人生を歩んだと思います。観にきてくれた方にも、その愛を感じてほしいですし。みなさんが、自分の愛はどういう方向に向かってるんだろうとか、誰に向かっているんだろうとか想像して、その愛がより一層深く強くなるように 3人でがんばっていきたいと思いますので、ぜひ劇場にお越しください。よろしくお願いします」と、アツいメッセージを送った。