⼭崎育三郎×明⽇海りお×古川雄⼤共演。ミュージカル『昭和元禄落語心中』制作発表レポート!
戦前から平成に至る落語界を舞台に、芸に打ち込む者たちの業・愛憎・因縁を描いた雲田はるこ氏の大ヒット漫画『昭和元禄落語心中』を原作とする舞台の制作発表が1月31日(金)に行われた。
『昭和元禄落語心中』は2010年に雑誌「ITAN」(講談社)で連載がスタートし、2016年にテレビアニメ化、2018年にはTVドラマ化され、今回が初のミュージカル化となる。
制作発表には、山崎育三郎、明日海りお、古川雄大が和装で登壇し、ステージにしつらえられた高座に上がって取材のカメラに深々と一礼。
「寒い中、足をお運びいただき、誠にありがとうございます」と挨拶した助六役の山崎は、突然「ここで一席!」と落語「野ざらし」を披露し、「台本にないことをやらせていただきました。この後の古川くんに大きなプレッシャーを与えました」と、お茶目に笑う。
続いて挨拶した芸者・みよ吉役の明日海は、芸者の役ということで落語ではなく舞踊を披露。
最後に、山崎からのプレッシャーに苦笑していた古川が落語「死神」の一節を披露するなど、会見の冒頭から『昭和元禄落語心中』の魅力あふれる演出で会場を盛り上げた。
その後のトークセッションでは、TVドラマ版でも助六を演じた山崎の作品愛が爆発!?
かねてよりブロードウェイのスタッフと仕事をする中で「日本オリジナルのミュージカルを作らないのか?」という話題になる度に、日本ミュージカル界の発展のためオリジナルミュージカルの創作が不可欠だと思い続けてきたという山崎は、ドラマ『昭和元禄落語心中』に出演した際に「ぜひこの作品をミュージカルにしたい!」と強く思ったという。
「僕ら日本人にだからこそできる作品をいうのを作りたかった。いろんなドラマに出演させていただいた中でも、最も苦しく辛い思い出が多い作品ではありましたが……。というのも、助六を演じるために古典落語を9演目覚えなくてはいけなかったのですが、クランクイン直前までミュージカル『モーツァルト!』という作品をやっていて、『モーツァルト!』の舞台袖で、モーツァルトの格好で落語を練習して、舞台に出ると「メジャーとマイナー~♪』と歌っていたんですね(笑)。『モーツァルト!』の公演が終わって、すぐに撮影に入り落語家になる。本当に苦しかったんです(苦笑)」と過酷なドラマ撮影を振り返りつつ「それでもいろんな作品に出演させていただく中で、作品自体が役者を“その世界”に誘ってくれるエネルギーを持つ作品との出会いがある。この『昭和元禄落語心中』でも撮影現場で自分がどうこうしなくても『昭和元禄落語心中』の世界が自分を助六にしてくれるという感覚があり、それは僕の中ですごく大きなことでした。300人のエキストラの前で落語を披露した時に、自分の中で「これを舞台にしたい」という思いがあり、それから約7年間の中でこのお2人との共演があり、僕がずっと自分の中で温めていた八雲を演じるのは雄大しかいないと思ったし、明日海さんのみよ吉もイメージがわいてステキになるなと思ったので提案させていただきました。この3人でミュージカルを作るとしたら、僕は『昭和元禄落語心中』をやりたいんだと!」とヒートアップ‼
あまりの熱量に、司会の中井美穂から「せっかくなので山崎さんからお二人にも話を振っていただければ」と促される一幕も。
ちなみに、同じ事務所に所属する3人は、コンサートでの共演経験はあるものの舞台作品では今回が初共演となる。
「僕と明日海さんは同い年。雄大は1こ下」と言う山崎に、古川が「いつも1こ下と言われますが学年でいうと2こ違います。高1と高3は全然違いますよ」と苦笑い。
「そうやって“すごい先輩”のように言うけど同世代だから。僕、どちらかと言うと(井上)芳雄さんの方にくくられがちですけど、世代はこちら側だから」と納得いかない様子の山崎。
また、助六と八雲の関係性を聞かれた際に、山崎が「親友でも家族でもない恋人でもない、もっと深い“魂”の繋がりを感じます。その点、雄大とは昔からミュージカルの世界で一緒に戦ってきた仲間ですし、プライべートでも一緒にゴルフに行ったりして……ね?」と目線をあわせると、「そうですね。ゴルフに連れて行っていただきました」と答える古川。
「いやいや、だから敬語はやめて!」と、再び二人の微笑ましいやり取りが始まると、横から明日海が「いつもこうなる(笑)」と冷静にツッコミを入れ、会場は一気に和やかな雰囲気に包まれた。
続いて「“落語”と“ミュージカル”は、あまりにもかけ離れたイメージだが?」との質問に、山崎は「落語をしゃべる中で、落語と歌うことはすごく似ている・共通するものがあると思っています。歌も音楽の流れで歌い出すと緊張の細い糸がずっとつながっていくように気持ちが途切れない。落語も時に早くしゃべったり、引いてみたり、大きい声や小さい声を出したりするのがすごく音楽的で、長く落語をしゃべっていると歌っているのと同じような感覚になるんですね。今作でも落語から歌に自然と導入していくシーンもあります」と、親和性の高さを力説。
前日には初めて1幕の通し稽古を行ったそうで「歌と落語がマッチしていました」と満足そうな表情を浮かべつつも、「気持ちが入りすぎて『レ・ミゼラブル』よりも長くなってしまったので、ここから稽古で詰めていかなくては……」と再び会場の笑いを誘っていた。
さらに共演者に話が及ぶと、
「師匠(七代目八雲)役の中村梅雀さんには、江戸弁や所作などいろんなことを教えていただいています。梅雀さんがお着物をひとりで着替えられている姿を見ているだけで、もう「師匠!」という感じです」と立ち振る舞いひとつからも学ぶことが多いと語る山崎。
また、与太郎役の黒羽麻璃央について古川は「今回、彼らしい与太郎もしっかり作ってくれています。周りに素晴らしいキャストの方が揃っているので、安心して胸を借りて自由に演じられます」と語った。
明日海はみよ吉と助六の娘・小夏役の水谷果穂について「ミュージカル初挑戦ですが、ピュアな感性で一生懸命お芝居に向かっています。小夏の熱さと冷静さにプラスして彼女のピュアな魅力が重なり、私たちも刺激をもらっています」と期待を寄せ、山崎も「新しいミュージカル女優が誕生したと言っていいくらい本当にいい声で、歌声もすごく通るんです」と大絶賛。
最後に、改めて本作への意気込みを聞かれ、
明日海「原作ファン、ミュージカルファン、そしてミュージカル未経験の方にも必ず楽しんでいただける作品になること間違いないと思っております。素晴らしい先輩方と共にこの作品に関わることに感謝し、とても繊細な作品なので丁寧にみよ吉を描き出し、素敵な作品になるように頑張ります」
古川「原作のパワーはもちろん、にじみ出る面白さがある作品です。天才・小池修一郎先生の演出、天才・小澤時史さんの楽曲、それを歌うのが日本ミュージカル界を代表するスターお二人。いろんな魅力が詰まっている作品だと思いますし、日本ならではのこの作品を世界に向けて届けていきたい。まずは初演を皆様に観ていただきたいです。この機会を逃さないでください」
山崎「いろんな役と出会う中で、助六は1番本来の自分に近いなと思います。すごく前向きでポジティブ。助六は「自分は観客のために落語をやっている。お客様のため。それがすべて。そして時代とともに変化しなきゃいけないんだ、落語は」と考えている。僕も時代と共にエンターテインメントは変わっていくべきだと思っていますし、助六の言葉に自分も救われる部分があります。そんな助六をパワフルでエネルギッシュに、男臭く、人間臭く、泥臭く生きたいなと思っています」とのコメントに続き、「ただ1つ違うのは不潔なところ。助六が「臭い」と言われるシーンもあるんですけど……今日も髪がボサボサですけど、すごく綺麗です、普段の僕は(笑)」とコメントし、笑いで会見を締めた。
ミュージカル『昭和元禄落語心中』東京公演は2月28日(金)~3月22日(土)東急シアターオーブ。大阪公演は3月29日(土)~4月7日(月)フェスティバルホール。福岡公演は4月14日(月)~4月23日(水)福岡市民ホール・大ホールで上演される。
文:近藤明子
撮影:THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『昭和元禄落語心中』
原作:雲田はるこ『昭和元禄落語心中』(講談社「BE•LOVE」)
脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
企画 :山崎育三郎
作曲・音楽監督 :小澤時史
出演:
山崎育三郎 明日海りお 古川雄大
黒羽麻璃央 水谷果穂 金井勇太 中村梅雀
阿部裕 村井成仁
伊藤寛真 大久保徹哉 加賀谷奏音 風間駿太朗 黒沼亮 寺岡拓海
中桐光貴 西尾郁海 西岡寛修 廣瀬孝輔 門馬和樹
天路そら 奥切めぐみ 希良々うみ コイタ奈央美 柴田実奈 杉浦小百合
澄風なぎ 玉山珠里 傳法谷みずき 安岡千夏 横関咲栄
大久保壮駿 瀧上颯太 中村新
齋藤匠 豊田侑泉 長谷川悠大
大谷茉奈 須田麗央 光りな
期間(東京) :2025 年 2 月 28 日(金)- 3 月 22 日(土) 全 28 回公演
会場(東京) :東急シアターオーブ
期間(大阪) :2025 年 3 月 29 日(土)- 4 月 7 日(月) 全 12 回公演
会場(大阪) :フェスティバルホール
期間(福岡) :2025 年 4 月 14 日(月)- 4 月 23 日(水) 全 12 回公演
会場(福岡) :福岡市民ホール
※主催:博多座
チケット料金(税込/東京・大阪公演共通)
:(平日)S 席 16,500 円/A 席 10,000 円/B 席 5,500 円
:(土日・千穐楽)S 席 17,500 円/A 席 11,000 円/B 席 6,500 円
企画・制作:梅田芸術劇場/研音
宣伝:キョードーメディアス
公式サイト:https://rakugoshinju-musical.jp
公式 X:@MU_rakugoshinju