上川隆也、小池徹平ら出演。『魔界転生』製作発表会見レポート！

2021.03.23

REPORT

山田風太郎による伝奇小説『おぼろ忍法帖』を原作とし、2018年に上演された舞台『魔界転生』。動員10万人超を記録した本作が4月から6月にかけ再演され、愛知・福岡・東京・大阪の全国４カ所を巡る。

今回も演出は堤幸彦、脚本はマキノノゾミが担当。主演の柳生十兵衛役は上川隆也が続投し、新キャストの小池徹平扮する天草四郎へと立ち向かう。演劇と映像が融合した新演出による、令和版『魔界転生』に期待が高まる。

東京・明治座で開かれた製作発表会見には、キャストから上川、小池、藤原紀香、村井良大、木村達成、山口馬木也、渡辺大、浅野ゆう子、松平健、そして演出の堤が登壇。その模様をお届けする。

堤幸彦（演出）

コロナによる厳しい時期で、まだまだ事態を楽観できる状況ではありませんが。その中でも時代や状況に合わせた面白いエンターテインメントの舞台をいかに作っていくか、キャスト、スタッフ共々に考え抜いて、今は公演の最終調整の段階にあります。2018年の初演では大変好評をいただき、そのお陰でこうしてまた披露できるわけですが、時代は大きく変わりました。いかにこのコロナの時代でも安全に楽しめる舞台を作れるかを追求し、大幅に装置や演出を変えた結果、ほぼ新作と言ってもいいかもしれません。今回は従来のキャストに加え、新しいキャストも大勢お迎えして臨み、また新たなエンターテインメントの地平を作り上げていきたいと思っています。

上川隆也（柳生十兵衛役）

「意気込みを」というお話でしたが、僕自身は意気込まないでいこうと思っています。初演からは作品に大きな変化があったので、また新鮮な気持ちで柳生十兵衛、そして『魔界転生』という作品に向き合っていきたい。たくさんのお客様に楽しんでいただけることを切に願っています。

小池徹平（天草四郎役）

今日この明治座に初めて足を運び、いよいよここで上演できるのだと思うと、気持ちが昂っています。今回の再演から参加させていただきますが、自分も新たな作品を作る気持ちで、柳生十兵衛の敵役を演じたいと思います。

藤原紀香（お品役）

お品という役は原作にはない役ですが、製作陣の思いの込もったお役だと聞き、剣ではなく愛と使命、そして覚悟を持って演じようと決めました。心を込めて務めさせていただきます。地方のお客さまにはなかなか会えないこのご時世に、全国4都市で75公演というスケールの舞台に参加させていただけるということで、コロナで疲弊した世の中に少しでもエネルギーをシェアできるのではと、嬉しい思いでいっぱいです。

村井良大（根津甚八役）

甚八も原作には登場しない人物ですが、堤さんが以前演出された『真田十勇士』でも演じさせていただき、明るく楽しく、僕自身大好きな役です。舞台に立って毎日新鮮みを感じさせてくれる役にはなかなか出会えません。お客さまも劇場に足を運ぶのが難しい状況かもしれませんが、観に来ていただけた方々に存分に楽しんでもらえるよう、毎公演大切に演じたいと思います。

木村達成（柳生又十郎役）

前回はちょっとお茶目な又十郎を演じさせていただいたんですが、今回はクールな又十郎を演じたいと思います。全国にエネルギーを届けねばと感じているので、この舞台を盛り上げつつ、お客さまに元気をおすそ分けできるよう、頑張っていきたいです。

山口馬木也（由比正雪役・叢雲常陸役）

お気に入りの作品、お気に入りの役に再び携わることができ、嬉しいです。この一年いろいろなことがあり、さまざまな作品が公演中止となる中で「僕らの仕事は本当に必要なのか？」というモヤモヤした思いを抱えたまま稽古初日を迎えたのですが。生みの親のマキノさん、育ての親の堤さんのもと、苦楽を共にする座組みのみなさんが演技をするのを目の当たりにして、手を叩いて笑い、感動に涙しました。僕自身が稽古場で救われて、演劇の持つ力を感じたんです。その力を信じて、より多くの方に楽しみ感動してもらえるよう、一心に努めたいと思います。

渡辺大（宮本武蔵役）

僕は今回が初の舞台への挑戦になるので、たった今「ここ（明治座）で、芝居をやるんだなぁ」という思いを噛み締めています。毎日試行錯誤で稽古をしていますが、日々多くの発見があって、早くみなさんのもとでお見せしたいと楽しみにしています。大変な時代ですけれども、希望をみなさまと共有できたらと、ドキドキしながら開幕を待っています。

浅野ゆう子（淀殿役）

再び淀殿としてお声掛けいただき、大変幸せです。コロナ禍ではお稽古場でも私語厳禁でコミュニケーションが取りづらい状況ですが、座長の上川さんが私たちを和ませ笑わせ、稽古場のテンションを上げてくださいます。個人的に楽しみにしているのは、松平さんと上川さんの美しく格好いい殺陣と、カーテンコールでの上川さんのトーク。特にカーテンコールはみなさんにも毎回ご覧になっていただきたいほどです（笑）。今回、紀香さんとの初共演なのですが、すてきなお品さんとご一緒できるのを励みに、ただ今お稽古を頑張っております。この度は堤監督が私の“妖怪度”をますますアップすべく、ご指導くださっていますよ（笑）。

松平健（柳生宗矩役）

この時代、この世の中で舞台に立てること、そしてこの『魔界転生』に再び参加させていただけることに喜びを感じております。今、自粛によってみなさん大変ストレスが溜まっているかと思いますので、この作品を観て、現実を忘れるような魔界の世界を味わっていただきたい。今回は立ち回りも素晴らしく、セットもリニューアルされているので、一人でも多くの方に足を運んでいただけたらと思う次第です。

取材・文・Photo：古原孝子