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松尾スズキ書き下ろしの青春群像劇をノゾエ征爾が演出。『アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―』公開稽古レポート!

REPORT

若手のための演劇の学び場「コクーン アクターズ スタジオ」第2期生の発表公演に向けて、3月12日、マスコミを招いた公開稽古が開催された。上演されるのは、スタジオの主任を務める松尾スズキが書き下ろしたミュージカル『アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―』。

第1期生も演じて評判を呼んだ、名もなき“アンサンブル”俳優たちを中心に描いたこの青春群像劇を、今回は、松尾とは師弟関係にあるノゾエ征爾が演出する。

公開されたのは、オーディション帰りの俳優たちが「BAR TORIDE」で様々な舞台人と遭遇する場面。まずは、「番号で呼ばれるけど名前はある」と歌いながら全員で踊る場面が圧巻。

まだ何者でもないけれども希望を持って歩んでいる生徒たちの切実さとエネルギーがあふれる。また、表舞台に立ったものの上手くいかなかった人物たちも登場し、ユーモアたっぷりに悲哀を見せる。本番では、生徒20名を2チームに分けて、<朱雀>バージョン<玄武>バージョンで上演されるが、公開された少しの場面だけでも配役によってキャラクターに違う個性が表出した。

第1期生の公演とはまったく違う箱馬を使った舞台美術もポイント。箱馬でバーのセットに作り上げていく様からも、生徒たちがどれだけ稽古を重ねてきたかが存分に伝わってくる。演劇をやりたいと集った若者たちの情熱は、思いもよらぬものを生み出すことだろう。

公演は、3月19日(木)から22日(日)、休館中のBunkamuraシアターコクーンを特別に復活させて上演される。

公開稽古後、演出のノゾエ征爾と、受講生の代表・河内洋祐、尾崎京香、荒木穂香、中川大喜が質疑応答に答えた。

ノゾエ 僕は実技のオーディションを担当していたので、そのときのことからよく覚えていて、「そういえばあのとき全然声がでていなかったけど今は平気で叫んでいるな」とか思い出すことがあります。今は公演に向けて毎日一緒に稽古をしていますが、その中でも日々少しずつ成長を感じます。彼らは自分で気づいていないかもしれませんけど。

ノゾエ 今日の公開稽古はみんな緊張してちょっとカチコチでしたが(笑)、数日前に粗通しをしたときには、これはぜひ観てもらいたいと思って、まだお知らせしてなかった数人に公演の連絡をしたくらいでした。というのも、みんなが本当に舞台で生き始めてエネルギーが出てきて、どこからが本人でどこからが役なのか境目がわからなくなるような領域に入り始めて、作品がうねり出したなと思ったんです。

河内 演技については、ノゾエさんをはじめ松尾さん、杉原邦生さん、オクイシュージさんのレッスンを受けてきました。いろいろなことを言われて混乱したことも正直ありましたが(笑)、でも、「舞台上で生きる」といった根本は共通するものがあったので。学んできた大事にすべきものが血肉となって、『アンサンブルデイズ』に生きたら嬉しいなと思っています。

尾崎 17歳から28歳という年齢も、経歴も考え方もバラバラな20名が集まっているのですが、不思議とみんな仲が良くて、講師の皆さんに「2 期生は仲良すぎるよ」と釘を刺されることがあったほどです。ただ、それは、みんながちょっとずつ頑張って開き合ってきたからこそといいますか。お互いに「今日すごく良かった」とか「すごく悔しいと思った」ということを素直に言うようにして、関係を築いてきました。その培ってきたチームの力が作品に生きればと思っています。

ノゾエ 本当にズバズバ全部言い合ってるんです(笑)。講師が言葉を選んで言っているような厳しいことも平気で。きっと、同じことを講師が言うと萎縮しちゃうとは思うんですけど。その関係性はこの世代ならではなのか、昭和にはなかったなと、敬意を持って見ています。

荒木 本当にいよいよきてしまったなというゾクゾクする気持ちと、私たちならまだまだいけるというワクワク感があります。ノゾエさんが稽古初日に「最後までみんなのことを信じます」とおっしゃった言葉をずっと心に留めながら稽古してきました。みんなで集まってものを作れることに感謝しながら、ノゾエさんの期待に応えて、みんなを信じて、最後まで諦めずに日々を積み重ねていきたいと思っています。

中川 やはり台本がものすごく面白いです。舞台に関わる様々な人たちをいろいろな側面から描き切っていて。単に楽しい青春群像劇というだけではなく、ダークな部分もしっかり描いているのが松尾さんの作品らしいなと思います。その中に込められている松尾さんの優しさや思いをどれだけ受け取って体現できるか。演じるにあたってはそこが大事だなと思っています。しかも日本語のオリジナルミュージカルにしているというのが新しくて面白く、歌詞も独特で味わい深い楽曲がたくさんあります。演出のノゾエさんは演劇を面白がって、のびのびやらせてくれて、もっと枠をはみ出してほしいとおっしゃっていて、自分たちも殻を破ろうともがきながら、もっと先へ行けると思いながらやれているので。その様がさらけ出せる公演になると思います。

ノゾエ 第1期生の公演がとても面白かったですから、じゃあ2期生はこの作品にどう入っていくかと考えていくときに、みんなにもゼロからシンプルに、表現者の初動に向き合ってもらうようにしました。そこで、セットも小道具も前回のものは一度忘れて、今回の形になったんですけど、シアターコクーンでここまで心許ない舞台で行われた公演はないんじゃないかと思うくらいのセットです(笑)。頼れるものがない中でコクーンに初めて立つ若者たちが演じるというのはどれほどのことか。本当に舞台上で生きるしかありません。そこが 2 期生ならではの強みになっているのではないかと思うので、僕もどう化けていくのか楽しみです。

ノゾエ 本当に観ていただきたいと思っています。この公演を観てみる 1 日と、観てみなかった1日を比べたら、観てみた1日には観て良かったと思えるものが絶対にあると思うんです。今しかないものを持っている彼らです。今しかない彼らを観てほしいです。

取材・文:大内弓子

公演概要

COCOON PRODUCTION 2026/Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル
『アンサンブルデイズ―彼らにも名前はある―』

【作・音楽】松尾スズキ
【演出】ノゾエ征爾
【音楽】杉田未央

【出演】コクーン アクターズ スタジオ第2期生
荒木穂香、石橋真理愛、伊藤優杏、尾崎京香、笠井涼乃心、久保 嗣、粂野泰祐、
倉元奎哉、河内洋祐、古賀彩莉奈、酒向怜奈、佐々木春樺、澤田陸人、思方、
大河 杏、樽見 啓、堤 麻綾、德重 舞、中川大喜、吉岡苑恵

【東京公演】2025年3月19日(木)~22日(日) Bunkamuraシアターコクーン

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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