海宝直人、岡宮来夢、潤花、豊原江理佳ら登壇。ミュージカル『ISSA in Paris』制作発表記者会見レポート!
2026年1月10日(土)~30日(金)東京・日生劇場、2月7日(土)~15日(日)大阪・梅田芸術 劇場メインホール、2月21日(土)~25日(水)愛知・御園座にて、ミュージカル『ISSA in Paris』が上演される。
世界中で「HAIKU」として知られている日本の文学の文化の一つ、「俳句」。本作は現代と過去を交錯させながら、小林一茶の知られざる10年を大胆に描くオリジナルミュージカル。
本作の原案・作詞・作曲を担当するミュージカル界の巨匠モーリー・イェストン。小林一茶の愛しいわが子を失った一切の深い悲しみ、諦めきれぬ思いを、最小限の言葉で最も深く表現している「露の世は露の世ながらさりながら」という俳句に感銘を受け、『ISSA in Paris』 の創作を始めた。脚本・訳詞にはディズニー映画「アナと雪の女王」「塔の上のラプンツェル」の 訳詞をした高橋知伽江が務める。
そして、演出には同じモーリー・イェストンの作品でもあるミュージカル『ナイン』にて第 28 回読売演劇大賞最優秀演出家賞と第42回松尾芸能賞優秀賞演劇部門を受賞し、モーリーからの信頼も厚い藤田俊太郎がこの最新作を託される。
出演者には、正体を隠して「ISSA」として活動するシンガーソングライターの主人公・海人(かいと)役を海宝直人、日本を代表する俳人で、歴史が語らない「空白の10年」を持つ若き日の小林一茶を岡宮来夢 、海人が旅先のパリ出会い、一茶の謎を一緒に探すルイーズを潤花、一茶がパリで出会い、密かに革命運動にも身を投じているテレーズを豊原江理佳が演じる。
今回は、海宝直人、岡宮来夢、潤花、豊原江理佳、演出・藤田俊太郎が登壇した制作発表記者会見の様子をお届けする。
演じる役柄について
海宝直人

僕が演じる海人は、冒頭ではなかなかヒット曲が出ずに悩んでいます。さらに、その根底には家族との葛藤や、誰もが直面するような苦しい思い、自分と向き合うことの難しさなどがあり、そうした課題に向き合わざるを得ない状況の中でドラマが進んでいきます。
そんな中、一茶という存在に母を通して出会い、少しずつ成長や気づきが生まれていきます。最終的に曲を作れるのかどうかというところに物語が向かっていくのですが、とても人間らしく、誰もが共感できるキャラクターだと感じています。僕自身もそうですが、皆さんもそれぞれの人生を重ねながら共感していただけるのではないかと思います。
岡宮来夢

小林一茶はこれまで多くの方が演じてこられていますが、「一茶がパリに行ったらどうなるのか」という、史実にはない設定になっています。少しファンタジー的な世界観ですが、そこから一茶を構築していくことが自分としてはとても楽しみです。
一茶は弱い者、貧しい者、儚いものなどに視点をあてながら、海や山といった大きなものにもフォーカスをあてながら、それらをたった十七文字に込めて表現していきます。そのスケールの大きさに心を動かしつつ、優しくも情熱的な一茶を作り上げたいです。自分だけの一茶にできるよう、稽古を頑張りたいと思います。
潤花

私はフランス・パリに住む日系人の女性で、本業はダンサー兼振付家、副業でガイドもしているルイーズという役を演じます。藤田さんからは「海人に新しい世界を見せる人」と言われています。
パリで日系人として生きてきた彼女は、多くの痛みや辛さ、差別を経験してきました。だからこそ、弱く感じている人や声を上げられない人に寄り添う力に長けているのだと思います。海人と初めて会った時から、彼の心の中に踏み込んでいきますが、それは海人のお母さんとの出会いや、小林一茶への思いなど、彼女自身が受け取ってきたものが大きかったからこそだと思います。
そこから生まれる海人のお母さんへの想い、その真実に向き合う姿勢が強くなっていき、その積み重ねがあるからこそ新しい世界を見せられるのではないかと現時点では感じています。とても人間らしく、自分の弱さを認めながらも強く魅力的な女性だと思います。
豊原江理佳

私が演じるのは、舞台女優として活躍しながら革命運動にも身を投じている女性・テレーズです。台本をいただき、藤田さんと役についてお話した際に、「今まで多く描かれてきたフランス革命のリーダー像とは全く違う、新しい女性のリーダー像を作りたい」というお話をいただきました。
作中ではフランス革命前のパリの様子と、現代のデモが対照的に描かれています。そうした中で、テレーズがどのようなリーダー像になるのか、これから見つけていきたいと思っています。自分の中にある正義感、そして「どんな時に自分は声を上げるのか」という感覚と照らし合わせながら、テレーズという人物を立ち上げていきたいです。
作品の中で、ご自身が最も共振すると感じる部分について
演出・藤田俊太郎

やはり一番は小林一茶さんの俳句です。二万句すべてを読んだわけではありませんが、どの俳句も非常に繊細でありながら大胆だと感じています。目の前の小さなものを見つめているようでいて、同時に未来人のような視点で世界全体を大胆に捉えている。その眼差しに強く共振しています。
その大胆さを作品の中でどう演出するかが重要になりますが、この作品もファンタジーであり、ユーモアに溢れる世界観をつくりたいと思っています。その大胆さを表現するために、あらゆるスタッフワークを駆使して、時空を超える瞬間を大胆に、そして徹底的にスタッフ総力戦で演出しています。
繊細な部分については、俳優の皆さんの演技が本当に素晴らしく、まだ誰も演じたことのない人物を想像力で作り出していくという、とても繊細でやりがいのある作業をしてくださっています。今日は4名の皆さんにお越しいただき、この瞬間をご一緒していますが、出演者はまだまだ多くいます。
先ほど豊原さんがお話しされましたが、稽古を見ていると「これは新しい女性像だ。18世紀に生きた革命家として、実は歴史の中に存在したかもしれない女性なのではないか」と感じる瞬間があります。
潤花さんが体現する“移民としての誇り高さ”も、今の時代に声を上げ始めた多様な人々の姿と重なりますし、来夢くんは「こんな一茶がいていいのか」というようになるとこの作品を一緒に創っている意義があると思うし、その瑞々しい一茶がすでに生まれ始めていると感じます。
海宝くんが先ほどおっしゃったように、誰もが共感できる海人という人物像。その音楽をつくる、クリエイトしていく姿は、ハムレットとは言いませんが、まさに“現代に生きる海人像”として彼にしか演じられない息遣いが立ち上がっています。強さも弱さも含め、その全てが観客の共感を呼ぶのではないかと感じています。
私は、俳優の皆さんが生み出す繊細な機微をしっかりキャッチしながら、稽古を進めていきたいと考えています。



文・撮影:THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『ISSA in Paris』
■原案・作詞・作曲:モーリー・イェストン
■脚本・訳詞:高橋知伽江
■演出:藤田俊太郎
■出演:海宝直人 岡宮来夢 潤花 豊原江理佳
中河内雅貴 染谷洸太(Wキャスト)
彩吹真央 藤咲みどり(Wキャスト)
内田未来 阿部裕 他
■公演日程:2026年1月10日(土)~30日(金)東京・日生劇場
2月7日(土)~15日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール
2月21日(土)~25日(水)愛知・御園座
■公演HP:https://www.umegei.com/issa2026/
■企画・制作:梅田芸術劇場
