佐藤流司インタビュー舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同- 「舞台に立つ人間は、死ぬ気でやらないといけない」（前編）

2023.12.12

INTERVIEW

2023年12月15日（金）、天王洲銀河劇場にて舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-が開幕します。

本作は、2018年から集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の芥見下々による大人気マンガの舞台化第2弾公演。東京と京都の呪術高専生たちが呪術で競い合う「京都姉妹校交流会」と、虎杖・伏黒・釘崎を中心に物語が展開する「起首雷同」のエピソードが上演されます。

前作に引き続き、主人公・虎杖悠仁を演じるのは佐藤流司さん。釘崎野薔薇役には山口乃々華さんを迎え、初登場となる京都校のメンバーには、東堂葵役に小柳心さん、加茂憲紀役に梅津瑞樹さん、西宮桃役に久家心さん、禪院真依役に長谷川愛さん、三輪霞役に竹内夢さん、究極メカ丸役に塩田康平さん。ほか、平湯樹里さん、陰山泰さん、立道梨緒奈さん、青柳塁斗さんなど、多彩なメンバーが揃いました。

また、禪院真希役の高月彩良さん、狗巻棘役・定本楓馬さん、パンダ役・寺山武志さん、夜蛾正道役・南誉士広さん、五条悟役・三浦涼介さんが前作から続投します。

今回、THEATER GIRLは佐藤流司さんにインタビュー。前編では、虎杖を演じるにあたっての気持ちや、共演者について、稽古現場で感じたことなどを伺いました。

インタビュー後編はこちら

最初は恐怖の感情が強かった

――昨年に続き、舞台「呪術廻戦」の第2弾公演、舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-が上演されます。ビジュアル撮影で約一年ぶりに虎杖の扮装をしたときは、どんな気持ちになりましたか？

正直に言うと、去年は肉体的にも精神的にも大変だったので、最初は恐怖の感情が強かったです。というのも、本当に申し訳ないことにケガで中止になった公演があったので。今回は自分をより強く持って取り組んでいかないといけないなと思いました。

――作品の公式Xでも「前作では、虎杖に翻弄され四苦八苦する場面もあった」とコメントされていましたね。

虎杖には、自分にはない明るさだったり真っすぐさみたいなものがあって。彼を演じれば演じるほど、自分自身の日常はどんどん暗くなっていくという……役に引っ張られることはよくあると思うんですが、それと逆の現象が起こり始めたんです。たぶん、自分のなかの人間として使えるエネルギー量が決まっていて、それを芝居中に虎杖に全部持っていかれちゃうからなのかなぁ。あと、シンプルにお芝居に対して苦労したというのもあると思うんですよ。明るい役を演じることに“あっ、難しいな”って悩んでいくと、だんだん暗くなっていくという。

――では、虎杖を演じている期間は、プライベートはしんどかったり？

そうですね。さらに、好きなお酒とかも控えて節制をするとか、家でストレッチやアップをやってみるとか、普段はあまりやらないことを（公演期間中は）やってみたんです。それが結果的に自分を苦しめることになって、完全にツラいだけでした（笑）

――ご自身にはない明るさやまっすぐさを持つ虎杖という役ヘ、どのようにアプローチしていったのですか？

これまで自分の演じてきた役は、行動原理もすぐに理解できるし、スッと感情移入できたんですが、虎杖に関してはあまり理解できなくて。“なんで、この人はこう思ってこういう行動をするんだろう”というところが、やっぱり自分の引き出しにないものだったし。虎杖は今までに出会ったことのないタイプで、自分の予想と全然違う行動をするんですよ。なので、まずは改めて原作のマンガやアニメ版を見て、彼の考えていることを理解するところから始めました。

――なかでも、一番理解に苦しんだのはどういう部分ですか？

まずネアカっていうところから、もう意味がわからないというか。自分がネクラなので、そもそも逆なんですよ。だから、前作では虎杖の感情の動きや考えを理解するのに時間がかかりましたし、今回も一番時間がかかっていますね。逆に、アクションとかは問題なくスッといけるんですけど……普段、身体能力の高い役が多いので（笑）。

――そうした苦労を経て、今、虎杖悠仁はどんなキャラクターだととらえているのでしょうか。

さっき、ネアカと言ったのにちょっと矛盾しちゃうんですが、意外に暗いっちゃ暗いんですよね。アニメ版を見ていても、“急にロートーンでしゃべるな”と思ったりすることもあるし、マジメな場面で急にふざけ出したりするし。だから、なんていうんですかね……飄々としてるというか、あっけらかんとしていてつかみどころのない人間なのかなって。

心くんとはもう夏からずーーーっと一緒なんです

――本作は、釘崎野薔薇役の山口乃々華さんをはじめ新キャストも多くいらっしゃいますが、みなさんの印象はいかがですか？

乃々華ちゃんは舞台で1回ご一緒させてもらっているので、そのときと変わらず元気でかわいらしい子だなという印象ですね。あと、塩田（康平）くんは事務所の先輩でもあるし、ミュージカル『テニスの王子様』でも一緒だったんですよ。今回、何年ぶりかで会ったんですけど、変わらずパワフルな方だなと思いました。

――東堂葵役の小柳心さんとは、先日までライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』～で共演されていましたよね。

そう、心くんとはもう夏からずーーーっと一緒なんですよ。自分でもビックリするぐらい（笑）。あっ、（梅津）瑞樹くんも「ろくにんよれば町内会」という深夜帯のバラエティー番組を一年間一緒にやらせてもらっていたから、よく知った仲ではありますね。あとの方とははじめましてで、まだあまりお話しできていないので、これから仲よくなれたらいいなと思っています。

――共演者の方たちとコミュニケーションを積極的にとろうというのは、座長として心がける部分でもあるんですか？

そうですね。自分が座長のときは、なるべくこっちから話しかけようとはします。女性に話しかけるのはちょっと気を遣うところはあるんですが……まぁでも、みなさんとお話しするようにしています。

――お稽古に合流して間もないとのことですが、キャストの方とのエピソードなどはまだお話しできないでしょうか。

いや、探します！　ちょっと待ってください……あっ、瑞樹くんが（竹内）夢ちゃんに納刀のしかたを教えてあげていました。彼は舞台『刀剣乱舞』で刀の扱いをわかっているので。あとは、（高月）彩良ちゃんが今回、三節棍という俺も使ったことのない難しそうな武器を、毎日毎日練習していますね。あっ、あと昨日、（定本）楓馬が、「みなさんがちゃんと芝居を作ってきていてスゴいなって思いました。自分はまだ（狗巻棘のセリフの）“しゃけ”の言い方すら迷っているのに」と言っていましたね。楓馬はマジメで、セリフの一つひとつに対して考えちゃうタイプなので、それも真剣に悩んでいましたけど。本番までには「しゃけ」の言い方も完成すると思いますので（笑）。どんな「しゃけ」が飛び出すのか、そこも注目ポイントの一つですね。

――今、武器のお話が出ましたが、佐藤さんも先日、番組内で無外流居合を体験されていましたよね。

あっ、そうですね。体験してみて難しかったのが、武道は身体の軸を意識しないといけない。でも、ダンスは軸をなくさないといけないっていうところなんですけど。それで言うと、虎杖のファイトスタイルがこれまた難しいんですよ。彼はちょっと空手をやっているんですが、アニメや絵を見ると空手っぽくないというか。ケンカスタイルも入っていて、そのなかに空手のニュアンスも感じるっていう。まぁでも、偶然にも自分も空手をやっているし、ケンカスタイルのアクション経験もあるので、ちょうどいい塩梅でできたらいいなと思っています。

――そういった点は、虎杖にシンパシーを感じる部分ではありますか？

たしかにそうですね。そこは近いなと思います。近いといえば、虎杖悠仁と佐藤流司って名前（の発音）が似ていることにもビックリしましたし。あと、地元も近いのでね。意外に虎杖との共通点は多いですね。

――お稽古の進行状況としては、演出などもこれからつけていく段階でしょうか。

稽古自体は1周目のミザンスは全部ついて、もう2周目に入っているんですけど。いかんせん自分自身がまだ全シーンを見ることができていなくて、“どんな感じになっているんだろう”とほかの人の芝居を見ながら確認している最中なんです。昨日は壊相（青柳塁斗）とのシーンをざっくりやったんですが、いい感じに仕上がっていましたね。あと、東堂戦のアクションはほぼ全部ついていて、そこもめっちゃかっこよく仕上がっているので、見ていてかなり楽しい作品になるんじゃないかなと思います。

――前作とはまた違った雰囲気になりそうですか？

そうですね。より『呪術廻戦』の世界観を届けられるものになるのではないかと。「京都姉妹校交流会」も「起首雷同」もそうですが、今作の話はすごくメリハリがあって、おもしろいシーンとシリアスなシーンがしっかり分けられているので。よりエンタメっぽいというか、舞台としてさらに精度の高いものを見せられるんじゃないかな、という気がしています。