日本発“和製”ミュージカル『昭和元禄落語心中』いよいよ開幕!「ミュージカル界の新しい風を、ぜひ劇場で体験して」
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雲田はるこ氏の人気漫画『昭和元禄落語心中』を原作とする新作ミュージカルが2月28日(金)より幕を開ける。
戦前から平成に至る落語界を舞台に、芸に打ち込む者たちの業・愛憎・因縁を描く本作は、2010年に雑誌「ITAN」(講談社)で連載がスタートし、2016年にテレビアニメ化、2018年にはTVドラマ化され、今回が初のミュージカル化となる。
前日にはマスコミに向けた取材会が行われ、山崎育三郎、明日海りお、古川雄大、黒羽麻璃央、中村梅雀が登壇し、意気込みを語った。
2018年に放送されたテレビドラマ版「昭和元禄落語心中」でも同じ初太郎(のちの助六)役を演じた山崎は、「当時、この作品はミュージカルにしても魅力的なのではという直感と妄想が形になり、いよいよ初日を迎えることにワクワクしております。原作が壮大なストーリーなので、それを3時間以内のミュージカル作品としてまとめるという作業が一番大変でした。お客様にどのように受け止めていただけるか楽しみです」とコメント。
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芸者・みよ吉役の明日海は自身の役について「みよ吉は、助六と八雲という仲の良い2人の関係を、ちょっとこじらせさせるタイプの役。繊細に、自分らしく楽しんで演じられればと思っています」と語った。レポーターから着物姿を褒められると「所作を美しくすることを意識して、首のラインや指先も美しく使えたらいいなと思い、日本舞踊の先生に指導をお願いしたり、いろいろな絵を観て研究しました」と華やかな笑顔を見せる。
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菊比古(のちの八代目有楽亭八雲)役の古川は、「八雲は元々踊りをやっていたのですが、足のケガを機に落語と出会います。天才である助六の影響を受けながら、葛藤しつつも落語を背負っていく役です。『落語心中』を通して落語の魅力を伝えていけたら……。落語を披露することもそうですが、作品の中で年齢も重ねていくので、そういったところを表現するのがすごく難しいですね」と演じるうえでの苦労を語った。
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初太郎と菊比古の師匠で七代目有楽亭八雲役の中村は、「私はこの人たち(山崎、古川)の師匠の役です。大名跡を持っている。その名跡“八雲”をどうするかというのが物語の中に結構な軸になっています」と自身の役を説明した後、「実はこう見えて私、噺家の役をやるのは初めてなんです。私の父・中村梅之助の母親のお父さんが二代目談洲楼燕枝(だんしゅうろうえんし)という噺家なので、私の血には噺家の血が流れているんです。今回お話をいただいたとき、ついに噺家の役が来たなと思いました」と告白し場を盛り上げた。
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八代目八雲に弟子入りする与太郎役の黒羽は、「僕の役はこのお二人(山崎、古川)の“約束”の穴を埋めるような存在。この場にはいませんが、松田(金井勇太)や小夏(水谷果穂)と共に“現代パート”を担うキャラクターです」と説明。また、経験豊富な先輩方との共演について問われると「今回の座組の中ではわりかし最年少の方で、なおかつ“弟子ポジション”ですが、自分の年齢的にそろそろタイムリミットが迫っているなと思っています(苦笑)。今回は甘えられる先輩方がたくさんいらっしゃいますので、ひとつでも多く技術を盗んで持って帰りたいというふうに思っています。実は梅雀さんの私物もお借りして……魂を受け継いでおります!」と帯に挟んだ扇子を誇らしげにアピール。
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「お借りしたんですか? 譲り受けたのではなくて?」というレポーターの言葉に中村が「あげてもいいよ」ときっぷの良さを見せるも「いやいや、恐れ多いです‼」と恐縮する黒羽に、取材陣から笑いが起こる一幕も。
さらに、注目の楽曲について質問され山崎は、「それぞれのキャラクターに合わせた音楽が披露されます。たとえば助六だったらすごくパワフルでエネルギッシュなロックサウンドだったり、繊細な八雲はメロディアスな曲調だったり……。日本の雰囲気を漂う和楽器を使用した“和”の要素以外にも、いろいろなジャンルの音楽を楽しんでいただけるのではないかと思います」とコメント。
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その一例として、中村は予想を裏切る登場の仕方をするのだとか!? 「まさかの楽器を、まさかな使い方をして、まさかの歌い方をします(笑)。乞うご期待!」という謎コメントで取材陣を煙に巻いていた。
ほかにも稽古場に原作者の雲田氏が訪れたエピソードにも触れ、「通し稽古を観て「落語とミュージカルがこんなにマッチするなんて」という言葉をいただき、すごくうれしかったです」と満足げな表情を見せる山崎。
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最後に「今回このような形で“日本のチーム”で0から作ったものをお客様にお届けできることが、自分としても光栄な気持ちでいっぱいです。日本のミュージカル界に新しい風を吹かせたい思いで、この作品にみんなで挑んでおります。ぜひ劇場で体験していただければ」という熱いメッセージで取材会を締めくくった。
その後、ステージでは山崎と古川によるメイン曲「落語心中」の歌唱披露が行われた。
寄席をイメージした重厚な舞台セットの2階に設けられた一室で落語を披露する初太郎と、隣でその姿を見つめる菊比古。
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会場を包む“和”な雰囲気からは想像もしていなかったポップなサウンドが流れると、セットに設けられた梯子を使ってステージへと降りた二人は「落語となら心中したって構わない~♪」という落語愛に溢れる歌とキャラクターを意識した振付で取材陣を魅了。
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満面の笑顔と大胆な動きで力強い歌声を響かせる初太郎役の山崎。
一方、初太郎に寄り添うような繊細な歌声と、楚々とした身のこなしから品の良さと色気がにじみ出る菊比古役の古川。
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わずか3分ほどの楽曲だったが、二人の関係性が感じられるパフォーマンスから、この時点でまだ謎のベールに包まれている本作のイメージがどんどんと膨らんでいき、開幕がますます楽しみになったのだった。
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ミュージカル『昭和元禄落語心中』東京公演は2月28日(金)~3月22日(土)東急シアターオーブ。大阪公演は3月29日(土)~4月7日(月)フェスティバルホール。福岡公演は4月14日(月)~4月23日(水)福岡市民ホール・大ホールで上演される。
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文:近藤明子
撮影:THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『昭和元禄落語心中』
原作:雲田はるこ『昭和元禄落語心中』(講談社「BE•LOVE」)
脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
企画 :山崎育三郎
作曲・音楽監督 :小澤時史
出演:
山崎育三郎 明日海りお 古川雄大
黒羽麻璃央 水谷果穂 金井勇太 中村梅雀
阿部裕 村井成仁
伊藤寛真 大久保徹哉 加賀谷奏音 風間駿太朗 黒沼亮 寺岡拓海
中桐光貴 西尾郁海 西岡寛修 廣瀬孝輔 門馬和樹
天路そら 奥切めぐみ 希良々うみ コイタ奈央美 柴田実奈 杉浦小百合
澄風なぎ 玉山珠里 傳法谷みずき 安岡千夏 横関咲栄
大久保壮駿 瀧上颯太 中村新
齋藤匠 豊田侑泉 長谷川悠大
大谷茉奈 須田麗央 光りな
期間(東京) :2025 年 2 月 28 日(金)- 3 月 22 日(土) 全 28 回公演
会場(東京) :東急シアターオーブ
期間(大阪) :2025 年 3 月 29 日(土)- 4 月 7 日(月) 全 12 回公演
会場(大阪) :フェスティバルホール
期間(福岡) :2025 年 4 月 14 日(月)- 4 月 23 日(水) 全 12 回公演
会場(福岡) :福岡市民ホール
※主催:博多座
チケット料金(税込/東京・大阪公演共通)
:(平日)S 席 16,500 円/A 席 10,000 円/B 席 5,500 円
:(土日・千穐楽)S 席 17,500 円/A 席 11,000 円/B 席 6,500 円
企画・制作:梅田芸術劇場/研音
宣伝:キョードーメディアス
公式サイト:https://rakugoshinju-musical.jp
公式 X:@MU_rakugoshinju