舞台『千と千尋の神隠し』ローレンス・オリヴィエ賞4部門ノミネート! クリエイターのコメントが到着

日本時間3月4日(火)21時(ロンドン時間同日正午)に、世界的な演劇賞「ローレンス・オリヴィエ賞」の2025年度のノミネートが発表され、舞台『千と千尋の神隠し』(原作:宮﨑駿 製作:東宝 協力:スタジオジブリ 共同製作:PWプロダクションズ)が4部門においてノミネートされた。
ローレンス・オリヴィエ賞は、その年にイギリスで上演された演劇、オペラ、ダンス、ミュージカルに与えられる、世界的に最も権威ある演劇賞のひとつとされている。
東宝演劇は、1966年に開場した現・帝国劇場で製作した『風と共に去りぬ』の世界初演ミュージカル化をロンドン・ドルリー・レーン劇場で上演して以来、オリジナル作品を世界へ届けることを目標として、数々の作品を製作し続けてきた。

昨年のロンドン・コロシアムで30万人を動員しロンドンを熱狂の渦に巻き込んだ舞台『千と千尋の神隠し』4か月公演が、今回のノミネートにより、ロンドンで高く評価されたことが改めて証明された。

4月6日(現地時間)に、イギリス、ロイヤル・アルバート・ホールにて授賞式が開催、授賞者の発表・表彰が行われる。
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舞台『千と千尋の神隠し』は、2025年7・8月に中国・上海で上演を予定している。
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コメント
最優秀新作演劇作品賞(エンタテインメント部門)ノミネート
舞台「千と千尋の神隠し」
ジョン・ケアード(翻案・演出)
舞台『千と千尋の神隠し』における仕事が評価され、オリヴィエ賞にノミネートされたことを、大変光栄に思います。
受賞の結果にかかわらず、スタジオジブリ、東宝、PWプロダクションズのパートナーシップがこのような形で認められたことを心から嬉しく思います。
このノミネーションは、日本、イギリス、アメリカのクリエイティブチームと、キャスト、スタッフ、プロデューサー陣、すべてのメンバーが一丸となって生み出した、卓越したコラボレーションの証です。
私たちが共に作り上げたこの舞台は、日英双方の観客に深く受け入れられる作品となったように思います。
この作品が、末永く続いていきますように!
今井麻緒子(共同翻案)
初めて映画を見た時から、『千と千尋の神隠し』は次から次へと予期しなかった場所へ私を連れていってくれます。賞は目標ではない、でもこの作品がイギリスでも多くの人の印象に残ったという事実が素直に嬉しい……稽古場と同様、国籍や言葉の壁を超えて皆が大切な何かを共有できた証だと思っています。
最優秀美術デザイン賞ノミネート
ジョン・ボウサー(美術)
オリヴィエ賞の最優秀美術デザイン賞にノミネートされたことを大変光栄に思います。宮﨑監督の伝説的な世界を舞台上で再構築するという、この素晴らしい経験ができたことにも感謝しています。
しかし、この舞台美術は、私のデザインを形にしてくださった職人の皆さんの才能なくして実現することはできませんでした。舞台セットの建設、塗装、小道具制作、エンジニアリング、プロダクションマネージャー、プロデューサー、製図担当者、アソシエイトの中根聡子さん、通訳の河井麻祐子さん、そして公演中にまるで歌舞伎の黒衣のように見えない存在として舞台を支え、回転する舞台装置を巧みに操ってくださった素晴らしい国際的なステージクルーの皆さんに、心から感謝しています。
また、イギリスのチームが日本のオリジナル公演に敬意を持ち、情熱を注いで取り組む姿や、それを生み出した日本のクリエイターたちの誇り、そしてこの世界的に愛される物語にイギリスの観客が反応する様子を見ることができたのは、本当に喜ばしい経験でした。
トビー・オリエ&デイジー・ビーティー(パペットデザイン)
トビー・オリエ
舞台『千と千尋の神隠し』のパペットがオリヴィエ賞にノミネートされたことは、本当に嬉しく、また、私とデイジー、そして数多くの制作者たちとの創造的なコラボレーションの賜物であることを誇りに思います。本公演のクリエイティブチームは、日本とイギリスのアーティストが見事に融合したものでした。私たちが共有した経験や技術が掛け合わさることで、想像をはるかに超えた、より壮大で魅惑的な作品を生み出すことができたと感じています。
デイジー・ビーティー
オリヴィエ賞にノミネートされたチームの一員であることを、大変光栄に思います。これは、海を越えた両国のチームが本公演に注いだ努力と情熱の証です。
イギリスと日本、それぞれの優れたアーティストと共に創り上げたこの舞台は、これまで携わった作品の中でも最も壮大なものの一つとなりました。日本のクリエイティブチームと出会い、彼らと共にこのアニメーションの傑作を舞台化できたことは、まさに夢のような経験でした。
この作品が世界中の観客に喜びを届けながら旅を続けていく姿を見るのは、本当に胸が躍る思いです。
栗山聡之(映像) ㈱マグナックス在籍

ノミネートされたことについての感想
ビデオが舞台美術の一端を担っていたと評価していただけたことは自分にとってこの上なく嬉しい。
ロンドンでの舞台作りでの思い出、達成感を得たことなど。
UKチームが素晴らしく、とても良い関係性の中クリエイションができた。
結果、日本で技術的にクリア出来なかったことがUKチームの提案で実現できたり時間のない中ギリギリまで最大限のクリエイションを、一緒に取り組んでくれたことが嬉しかった。
なにより、ジョン・ケアード、ジョン・ボウサーとご一緒できたことがこの幸運の始まりでした。
最優秀衣裳デザイン賞ノミネート
中原幸子(衣裳)

ノミネートされたことについての感想
オリヴィエ賞の衣裳賞にノミネートされたことは、創造性と情熱が結実した瞬間であり、想いが届いた証として大変光栄に思います。舞台の魔法を引き出す衣装が評価されることは、創作の喜びを共有する瞬間でもあります。今後もさらなる挑戦を続けていきたいです。
ロンドンでの舞台作りでの思い出、達成感を得たことなど。
文化の交差点であるロンドンで、多様な視点や技術が融合していく過程はとても刺激的で、心躍る挑戦の連続でした。仲間と共にアイディアを練り、試行錯誤を重ねた日々は宝物です。観客の反応がダイレクトに伝わる瞬間は、心からの喜びと共に、舞台作りに携わる醍醐味を深く実感できた貴重な経験でした。
最優秀音響デザイン賞ノミネート
山本浩一(音響) ㈱エス・シー・アライアンス

音響は照明やセットデザイン、衣装と比べると目に見えない要素が多く、賞にノミネートされる機会は多くありません。その分、今回のノミネートは大変嬉しく感じています。東京から観に行った仲間から、「楽しんで音を創っている感じがした」と感想をもらいましたが、これは私にとって最高の褒め言葉です。いろいろトラブルもありましたが、約2週間のロンドン滞在は多くの発見に満ちた時間となりました。
機材のデジタル化が進み、スイッチひとつでシーンがリコールできる時代になった今、私がこだわっているのはアナログ的なアプローチです。特にオペレーターが毎日本番を楽しめるプラン作りを大切にしています。
「千と千尋の神隠し」でも、デジタル機械に完全に任せないで、オペレーターが手動で音像を調整し、音量をコントロールできる余地を意識的に残しました。
舞台における「良い音」は、チームワークから生まれるものだと思います。
音響機材のサポートだけでなく、毎日のティータイムで美味しい紅茶をご馳走してくださった Sound Quiet Time のロブさん、そして彼のチームの皆さんに心から感謝いたします。
ありがとうございました。
舞台『千と千尋の神隠し』 ロンドン公演詳細
舞台『千と千尋の神隠し』 ロンドン公演詳細
2024年 4 月30日(火)~8 月24日(土) ロンドン・コロシアム 全135公演
原作:宮﨑 駿
翻案:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
オリジナルスコア:久石 譲
音楽スーパーヴァイザー・オーケストレーション・編曲:ブラッド・ハーク
音楽スーパーヴァイザー補・オーケストレーション・Ableton プログラミング:コナー・キーラン
美術:ジョン・ボウサー
パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ
振付・ステージング:井手茂太
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
映像:栗山聡之
音楽監督:深澤恵梨香
舞台監督:北條 孝
演出補佐:今井麻緒子
演出補:永井 誠
プロデューサー:尾木晴佳
演出:ジョン・ケアード
協力:スタジオジブリ
共同製作:PWプロダクションズ
製作:東宝株式会社