• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • 演出家・山崎彬×山口乃々華インタビュー 『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』「劇場でしかできない体験を持って帰ってもらいたい」(後編)

演出家・山崎彬×山口乃々華インタビュー 『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』「劇場でしかできない体験を持って帰ってもらいたい」(後編)

INTERVIEW

2025年4月3日(木)より六本木トリコロールシアターにて、SAKURACROSS PROJECT『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』が上演されます。

『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』は、1990年代のメロディに彩られた書き下ろしの新作音楽劇。タイトルには「結局終わらずもう一度繰り返されることとなった世界を、ガルルと唸りながら生き抜く女たち」という意味が込められている。脚本、演出にあたるのは、今最も注目を集める気鋭の劇作家・演出家、山崎彬氏。本作では、世紀末を軸に現代と過去が交錯する物語を、演者と観客の境界をなくしたインタラクティブな手法で描きます。

オーディションで選び抜かれたキャストは、山口乃々華さん、水湊美緒さん、小山内花凜さん、長月翠さん、北野瑠華さん、木村彩音さん、月山鈴音さん、杉浦しづきさん、窪真理チャカローズさん、仲沢のあさん、倉持聖菜さん、まりゑさん。幅広いジャンルで活躍する、個性豊かな顔ぶれが揃いました。

THEATER GIRLは、演出の山崎彬さんと本作に出演する山口乃々華さんにインタビュー。後編では、本作の演出や仕掛けについてや、グループ活動をしていた頃と意識が変わったこと、オリジナル作品の面白さなどについてお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

アナログだったあの頃の感覚も劇中に入れていきたい

――90年代の音楽だけではなく、当時流行していたものや、90年代を感じさせる演出や仕掛けなども出てきたりするのでしょうか?

山崎:90年というのは、MDもそうですし、ラジオも今みたいにradikoやSpotifyで後から聞くのではなく、それこそアンテナを伸ばして、ナインティナインさんやゆずさんやaikoさんのオールナイトニッポンを聞いていたんです。擦り切れながらも、『踊る大捜査線』を録画したビデオを何回も観たりして。そういったアナログだったあの頃の感覚みたいなものも劇中に入れていきたいと思っています。

――山口さんは、現在様々なミュージカルや舞台に出演されていますが、E-girlsとしてグループ活動をされていた時と意識が変わったと感じることはありますか?

山口:ガールズグループ時代は、HIROさんという一番大きい存在がいて、その方がずっと守ってくれていたから、何があっても大丈夫という安心感が心強くさせていたんだなって。それはすごく幸せなことだったなと思います。

そういう存在にまだこの演劇の世界では出会えていないので、不安な気持ちになるのかと思っていたのですが、そんなのはまやかしだと思ってきて。お客さまも楽しみに来ているんだって。そういった共有する時間は一種の村や島みたいなものだと、去年やっと思えてきて、また少し意識が変わりました。

そのきっかけが、歌の先生から「届ける側なんだよ」という言葉をいただいたことで。「何かを伝える側って、それは愛なんだよ」という言葉をいただいて、今まで緊張や失敗を恐れるあまり、なんてレベルの低いことを思っていたんだろうって。

届けることは愛だし、その瞬間を一緒に共有することは、みんなの記憶の中の網に引っかかって、いつか何か思い出して何か助けになるかもしれない。「そういう素晴らしい仕事をしているんだよ」という言葉が本当に励みになりました。その“伝えよう”という気持ちが私をすごく前向きにさせています。

――山崎さんは、2.5次元作品のように原作のあるものも多く手掛けられていますが、本作のような原作のないオリジナル作品を作る面白さをどんなところに感じられていますか?

山崎:僕は昔からあまり物語を書くタイプの作家ではなくて。僕が演劇を始めた頃に観ていた演劇のオリジナル作品のNODA・MAPさんや大人計画さんって、その“でたらめ”なところに魅力を感じていたんですよね。

今は、やっぱりわかりやすいものや伝わるものを求められてはいるのですが、やっぱり僕は「なんだかわからないけどすごい」というものを作りたいし、それは演劇だからできると思っているんです。

オリジナル作品は、何が起こるかわからないから行きにくいとかネガティブなこともありますが、作り手が今どんなことをこの世の中に感じているのか、そういった部分を作品の中でちゃんと出したいと思っています。劇団公演の時は特にその時に感じているものを出させてもらうようにはしていますね。

――山口さんはオリジナル脚本で、なおかつ今回初演となる作品に出演する面白さや、逆に難しさをどのようなところに感じていらっしゃいますか?

山口:みんなで理解していく工程も好きですし、「どんな形にしようか」と一緒に考えられるのも初演やオリジナル作品ならではだと思っています。

難しいと思うところは、シングルキャストだったりすると、客観的に物語を見たり自分の役柄の役割を見つけるのが難しかったりするので、不安になることはあります。でも、受け入れてもらえるかどうかという不安よりも、この作品にどういうメッセージがあるのかというところは間違えたくないので、繊細さを感じています。

山崎:ちなみにオリジナルの場合は、あて書きでしか書けないんです。

――今回、12名のキャストは全部当て書きなのでしょうか?

山崎:基本的にはそうですね。

山口:ええ~! 楽しみですね。

山崎:ビジュアル写真が上がってくればそれを見ますし、宣材写真とかを壁に貼って、いつも見ています(笑)。

山口:面白いですね!

――最後に、本作を楽しみにされている皆様にメッセージをお願いします。

山口:幅広い世代の方に楽しんでいただける作品になるのではと思っています。立ち会えて良かったと思えるような瞬間をお届けしたいと思っているので、ぜひお友達を連れてお越しいただけたら嬉しいです。

山崎:僕らと同じように、皆さんにも人生があるので、面白いとか面白くないとか、好きとか嫌いというのは、多分それぞれの生きてきた中の価値観があると思います。それはどんな作品でもそうだと思うのですが、やっぱり劇場に来ていただく以上、そこでしかできない体験を必ず持って帰ってもらいたいと思っています。しかも今回はけっこう小劇場の濃密な空間なので。ぜひ、足をお運びいただけたらうれしいです。

取材・文:THEATER GIRL編集部

インタビュー前編はこちら

公演概要

SAKURACROSS PROJECT
『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』

【脚本・演出】 山崎彬

【出 演】 山口乃々華 水湊美緒 小山内花凜 長月翠
北野瑠華 木村彩音 月山鈴音 杉浦しづき
窪真理チャカローズ 仲沢のあ 倉持聖菜 まりゑ

【公演日程】 2025年4月3日(木)~13日(日)
【料金(税込)】 S席 特典付(公演パンフレット・特製ポスター)・前方2列目以内確約 13,000円 / A席 9,900円
【会 場】 六本木トリコロールシアター(東京都港区六本木6-8-15)

【公式サイト】 https://www.meijiza.co.jp/others/2025_04_01/
【公式X】 @19GRRRLZ_99

【お問合せ】 明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)

桜十字グループpresents
制作:明治座プロモーション 主催:ミックス

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧