赤澤遼太郎×瑞季インタビュー　朗読劇『Every Day』「等身大のありのままの自分たちで、演じないように演じたい」（前編）

2022.09.20

INTERVIEW

2022年9月22日（木）〜24日（土）に東京・ニッショーホールにて、朗読劇「Every Day」が上演されます。

物語は、ある月曜の朝に三井晴之が目を覚ますと、交通事故で昏睡状態の恋人・辻元咲の姿がそこに…というシーンから始まります。1週間だけ時間をもらったと言い、いつも通りに朝ごはんを作り、お手製の弁当を差し出す咲。夢か現実か状況を飲み込めないまま晴之は仕事に行き、いつもと変わらないかのような日常が動き出し……。

音楽家・haruka nakamura の楽曲「every day」から着想を得て、冨士原直也氏がソーシャル・ネットワーキングサービスの mixi で発表した短編シナリオを原作に、手塚悟氏が監督を務めた映画「Every Day」。今回は同作の繊細な世界が朗読劇を通して編み上げられます。

メインキャストは9月22日（木）が「林遣都×瀧本美織」、23日（金・祝）が「相葉裕樹×北原里英」、24日（土）が「赤澤遼太郎×瑞季」という組み合わせで、各日2公演ずつの上演。日替わりのメインキャストに加え、林和義、片山陽加が出演し、恋人たちのいつもと変わらぬ奇跡の1週間を言葉だけで紡ぎます。

脚本・演出は、2000年9月に「箱庭円舞曲」を旗揚げし、代表として全ての作品の脚本・演出を務める古川貴義氏が担当。物語を彩る音楽は、haruka nakamuraが映画のために書き下ろした楽曲を、西寿菜によるピアノの生演奏で届けます。

今回THEATER GIRLは、赤澤遼太郎さんと瑞季さんにインタビュー。前編では本作に臨むにあたっての心境や、お互いのファーストインプレッション、稽古に向けて期待を寄せていることなどについてうかがいました！

インタビュー後編はこちら

新境地へ臨む機会「とても楽しみです」

――今作への出演が決まった時の気持ちを聞かせてください。

赤澤：僕自身、朗読劇が一年ぶりなので、ものすごく楽しみです。それに何と言っても今回は会話劇で恋愛モノということなので。今までそういった作品に出たことがなかった僕にとっては、かなり新しい境地だなと思って。出演が決まった時にはそういった意味でも楽しみな気持ちになりました。「やってやろう！」という感じです。

瑞季：私は朗読劇自体が初めてになるので、お話をいただいた当初は不安な気持ちと心配がとても大きかったです。ただ、この作品に触れて、脚本も読ませていただいているうちに、すごく楽しみな気持ちが増してきて。プレッシャーももちろんありますが、今の自分にできることを精一杯やって、この素敵な物語を作っていけたらと思います。

声と表情で伝える朗読劇「言葉ひとつひとつを誠実に、ていねいに」

――赤澤さんは、先ほども触れられていたように、昨年『朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた』で朗読劇を経験されていますよね。朗読劇ならではだなと感じたことには、どんなことがありましたか？

赤澤：やはり（通常の）舞台だと衣裳であったり、立ってやるお芝居やさまざまな演出であったりと、いろんな表現技法があるなと思っていて。お客さんに対しても（物語を伝える上で）こうだよって導いてあげられるところがあるように思うんですけど。朗読劇って表情と声がほとんどだと思うので。

そこでいかにしてお客さんに物語を届けるかといったところは、いつもの舞台に立つのとは違うように思います。こちらがしっかりと提示しなかったら、お客さんにとってはもしかしたら受け取りづらいかもしれないですし。だからこそ、普通の舞台よりも一言ひとことに対してもっともっと誠実に向き合っていかないと、届けられないのかなという難しさが朗読劇にはあるなと感じました。

――演出の方針にもよるとは思いますが、通常のお芝居のように身体全体で伝えるということが、朗読劇ではあまりできないですしね。

赤澤：そうですね。座ってやるのかどうかもまだ分からないんですが、台本は持って臨むことになると思うので。そこでお客さんがどう受け取るかは、本当に声のお芝居にかかってくるわけなんですよね。だからなお実力が浮き彫りになるという、残酷さもあるよなとも思います（苦笑）。ごまかせないですから。

――たしかに。ご自身にとってのチャレンジになりそうですね。

赤澤：チャレンジです。精一杯頑張ります。

――瑞季さんは今回が朗読劇初挑戦ということで、どんなところに期待を寄せられていますか？

瑞季：今、赤澤さんが仰っていたことそのままを実感しているからこそ、最初は不安がずっとありました。ですが、いかに自分らしく……というか、自分にしかできないものを作らないといけないなとは思っています。それを声と表情だけでやる、さらに（赤澤さんと）ふたりで作るものがお客さまに届くものの大半になるので。やはり、声と言葉ひとつひとつを、本当にていねいに作っていくことが大事なのかなと思っています。