小林親弘インタビュー 舞台『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD ~陽いづる雪月花編~』 「組織のボスとしてミステリアスさを大事にしたい」(後編)
2021年10月28日(木)より東京・明治座にて、舞台『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD ~陽いづる雪月花編~』が上演されます。
日本テレビで放送されたテレビアニメ『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD』。94歳の徳川慶喜が絶対権力を維持し続けている架空の日本を舞台に、政府組織である処刑人組織「鵺(ぬえ)」と、政権打倒を掲げる反体制派組織「クチワナ」の争いが描かれています。
家族の仇を討つために生きる主人公・雪村咲羽役に三森すずこさん、男装の麗人・月城真琴役に蒼井翔太さん、表では名ばかりの小説家で娼婦の一面を持つ花風エレーナ役にRaychellさん、天涯孤独で純真無垢な少女・中村浅陽役に伊藤彩沙さんが出演。アニメ版の豪華声優陣が、そのまま舞台のキャストとして演じることでも話題の作品です。
今回お話をうかがったのは、「鵺」のリーダー・葛原仁役を演じる小林親弘さん。インタビュー後編となる今回は、作品や共演者への印象、舞台に対する魅力などたっぷりと語っていただきました。
「表立って出ていないところも想像できる物語になっている」
――『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD』という作品について、全体的に小林さんはどのような印象を持っていらっしゃいますか?
「もし徳川政権がずっと続いていたら、こうなっていたのかな?」というifの設定に、SFが乗っかっていて、ひょっとしたらこんな世界線もあったのかなと思わせてくれるところがありますよね。謎もたくさん出てきますし、とても興味深い作品という印象でした。
アニメを見た方は葛原の正体をご存知だと思うので、アニメの前段階である舞台版のエピソードを「実は後からこうなるのよね」と思いながら観ていただけるかと思います。
『擾乱』自体は主人公である雪村咲羽の蛇埜目(じゃのめ)へのドロドロの復讐劇がメインではありますが、理解されず愛情の拠り所がなかった人たちの物語でもあるといいますか、みんな愛に飢えている感じがします。
それは月城真琴も、花風エレーナも、中村浅陽も、実は葛原もみんな愛情を得られていなかったので、復讐劇と同時に、愛情を勝ち取っていく物語になっているかなと。でもみんなその愛情の飢えに対して、「もっとかまってくれ」と台詞で言うわけではないので、実はそういう表立って出ていないところも想像できるのが、この物語の深さだと思います。
舞台で観劇して「なぜこの人物は、このときこんな行動をしたのか」と、家に帰ってから想像したり、推察できたりする余地のある作品です。舞台でやるゼロエピソードの中で本編に繋がるようなところも出てくるのか、そこにも期待してほしいですね。