矢田悠祐×上口耕平インタビュー 舞台「僕はまだ死んでない」「普段考えないことを考える機会になっていたら、すごく嬉しい」(前編)
INTERVIEW
――お二人は患者役を演じるにあたり、なにか参考にされたものはありますでしょうか?
矢田:ウォーリーさんから参考資料をいただいて、YouTubeとかで拝見しました。でも、それを見た上で稽古中に30~40分自分の意思で動けないという状態でいると、映像で見るよりもこんなにもしんどいものかと思いました。テレビなどで目にすることはあると思うんですけど、実際にそれを仮体験するというのはすごく珍しいことなんじゃないかなと。稽古が始まって1~2週間で、大変と言ってしまえばすごく簡単な言葉になっちゃうんですけど、これが一生続くとなると、それと向き合うことは相当覚悟がいることなんだなと思いましたね。
上口:僕もまず自分の過去の体験をもう一度思い返して……それこそ家族にも連絡して、改めてあの時ってこうだったっけ? と聞く時間を作りました。思い出話としては出るんですけど、親族が病室にいる時やその時の話をこっちから振ることはなかったので。
患者としての直人というのもあるんですけど、その患者のご家族だったり、その周りの人たちやお医者さんとの関係、これが考えれば考えるほど難しいです。患者の周りの皆さんはなにかひとつでも希望を持って帰ろうとしていて、そしてお医者さんはそれをわかっている。だけど現実があって、それをどう伝えるかの葛藤・駆け引き・言葉のチョイスを家族もお医者さんもずっと考えている時間なんだなと改めて感じましたね。