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佐々木蔵之介主演、高畑淳子、加藤和樹ら実力派キャスト陣による舞台『冬のライオン』は、愛と憎しみと欲望が渦巻く壮大な“家族コント”!?

REPORT

1183年のイングランドを舞台に、王族たちの人間模様が描かれる舞台『冬のライオン』。

2月26日(土)の初日を前に、フォトコールおよび取材会が東京芸術劇場 プレイハウスにて行われた。

ジェームズ・ゴールドマン作『冬のライオン』は、1966年にブロードウェーで初演されて以来、映画・ドラマが制作され、日本でも山崎努、岸田今日子、渡辺謙ら名優によって上演されてきた名作。

今回、ヘンリー二世役に佐々木蔵之介、その妻エレノア役を高畑淳子、長男リチャード役を加藤和樹、次男ジェフリー役を永島敬三、三男ジョン役を浅利陽介、王の寵愛するアレー役を葵わかな、フランス王・フィリップ役を水田航生が演じ、演出には西洋古典劇から日本の近・現代古典、さらにミュージカルまで幅広く手掛ける森 新太郎という最強布陣で挑む!

フォトコールでは一幕終盤のシーンが公開され、緊張感が漂うセリフの応酬の中に、思わず笑ってしまうようなコミカルな要素もふんだんに盛り込まれていた。

物語の舞台となるのは、1183年クリスマスのシノン城。飾り付けられたツリーの前で、家督を巡る家族の“化かし合い”が繰り広げられるのだが、時代物でありながら登場人物たちの衣装は革ジャン、ジャケット、スーツという現代風のいで立ち。さらに言えば王であるヘンリー二世は王冠を載いているもののラフなチュニックとチノパンという装いだ。

その姿に最初こそ違和感を感じたものの、キャストたちが演じる登場人物たちの性格設定や個性ともマッチしていて、物語が進むにつれて気にならなくなっていく。

浅利が演じるジョンの甘やかされた末っ子気質が透けて見える口調や振る舞い、永島が演じるジェフリーが弟を盾に何かを企んでいる風の不気味さ、さらに白いスーツを身にまとった水田のナルシストっぷりには登場と同時に目を奪われ思わず笑いがこみ上げて来てしまう。華やかなドレスに身を包んだ葵の可憐さ、そして結婚をしぶるアレー(葵)をお姫様抱っこからヒョイと肩に担ぎ上げる加藤の逞しさにドキドキ(眼鏡姿も良き♡)

そして何より圧巻だったのが、佐々木と高畑のセリフの応酬劇! まるで剛速球を投げ合うような言葉のキャッチボールにあっという間に物語の中に引き込まれてしまう。最後はヘンリー二世と愛妾アレーのキスと、それを何とも言えない表情で見つめる王妃エレノアという衝撃的なシーンでフォトコールは幕を閉じた。

続いて行われた取材会で、本番直前の心境を聞かれた佐々木は「年明けくらいからたっぷり稽古をしてきたんけど全然足りてなくてまだドキドキしています。明日お客様とお会いできるのが緊張しつつも楽しみです」とコメント。

本作が初のストレートプレイ挑戦となる葵は「稽古場では不安も大きかったのですが、皆さんとお稽古をしていく中ですごくポカポカした気持ちになって今ここに立っている状況です。明日、お客様からどんなリアクションがあるのか、未知なところもあり緊張していますが、楽しみな気持ちです」と笑顔を見せる。

「交わされる言葉の応酬にすごくワクワクしております。早くお客さんに観ていただけるといいなという気持ちで、本当に明日が待ち遠しいです」と、はやる気持ちを抑えられない様子の加藤。

水田も「このご時世で開幕出来ることが本当に幸せ。お客さん反応を楽しみにしつつ、千秋楽まで駆け抜けていきた!」と意気込みを語った。

「稽古場ではみんなで笑い合いながら作り上げて来た。これをお客さんがどう反応してくれるのかすごく楽しみにしています」と語る永島の言葉に続けて、浅利が「“1日10笑(いちにちじゅっしょう)”ぐらいして稽古場で毎日のように何かしら面白いことを考えて、でもキュッとするところはキュッとしてメリハリのあるいい現場でした」と稽古場での様子を語るも、「ウケないんじゃないかって怖い(苦笑)。そうなったら僕ら舞台上で凍り付くしかないので、お客さんには構えることなくフラットな気持ちでリラックスして見ていただきたい」と若干の緊張を隠せない様子。

高畑の「暮れから家の壁中に台詞を貼りまくって、家の中が『耳なし芳一』のお家みたいになってます(苦笑)。若い脳細胞の人はみんなチャチャッと覚えられちゃうのが本当に腹立つ!」というぼやきにはキャスト陣が思わず爆笑!

続いて、歴史ものでありながら現代風の衣装について質問されると「実はヘンリーは当初“白いジャージ”だったんです」と浅利が暴露し、佐々木は「なんで一人だけジャージって・・・・・・衝撃でしたね」と苦笑い。

一方、「最初から白い衣装一択だった」という水田が「裏で(汚さないように)気を使いますが、身が引き締まる感じでフランス王を演じることが出来ると思います」とコメント。

本作の見どころと来場者へのコメントを求められ、佐々木は「家族がみんな不信感しかない。誰を信じていいか、何を信じていいのか分からないしそれがむき出しの時もあれば、ユーモアでちゃんと包めていたりすることもあって、そのやり取りが楽しいと思います。でも「権力だ」「領土だ」と言いながら、最後はやっぱり愛情が欲しかったのかなみたいなお話だと思います。こんな衣装ですし、騙し・騙されなんですけど、お客様には「楽しく裏切られた」と思っていただければ・・・・・・イングランド初代国王のお話ですが、格式ばった感じではなく“家族”の物語を楽しく観ていただけるのではないかと思っています」と語った。

葵も「家族で争ったり、誰がひいきでとか共感できる部分もあると思うので、すごく身近な気持ちで見てもらえるように、初日から頑張っていきたいと思います」と続ける。

「非常に圧迫感のある閉塞的な舞台セットですが、この距離感で、我々の生の芝居というものを届けられることに幸せを感じています」と舞台美術に注目した加藤。

水田も「最後の稽古場の通しで演出の森さんが「クリスマスの話だから楽しんで」とおっしゃっていたのを思い出しながら、お客さんにも楽しいひと時をこの舞台から感じ取ってもらえるように頑張ります」と語った。

「明日、無事に初日を迎えられると思うとすごく嬉しくて「目いっぱい楽しんでやろう!」と思っています。その喜びをお客様と共有できることが一番の幸せ」と意気込む永島。

浅利も「王族、権力、そして家族の愛をひっくるめた“壮大なコント”です(笑)! 来てくれたお客様に笑っていただいて、その笑いを持ち帰っていただいて、「あのお芝居、楽しかった」と言ってもらえるようになればいいなと思います」と笑顔を見せる。

最後に高畑の「やることはすべてやってきたと思っているので、あとは人間と人間がぶつかり合う “超アナログな世界”を思う存分皆様に楽しんでいただけたらなと思っております」という力強いコメントに、大きくうなずくキャスト陣の姿が印象的だった。

舞台『冬のライオン』は、2月26日(土)から3月15日(火)まで、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演される。

文:近藤明子
撮影:田中亜紀

アレー役 葵わかなさんのインタビュー(前編)はこちら

アレー役 葵わかなさんのインタビュー(後編)はこちら

公演概要

冬のライオン

作:ジェームズ・ゴールドマン
翻訳:小田島雄志
演出:森 新太郎

出演:佐々木蔵之介/葵 わかな 加藤和樹 水田航生 永島敬三 浅利陽介/高畑淳子

日程:2022年2月26日(土)~3月15日(火)  
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

チケット料金:S席:9,500円  A席:7,500円 
チケット一般発売:2021年12月4日(土)10:00~

お問合せ:東京芸術劇場 ボックスオフィス
0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)

公式サイト:www.thelioninwinter.jp

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

THEATER GIRL編集部

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