大貫勇輔×小野田龍之介インタビュー ミュージカル『メリー・ポピンズ』「観ているだけで幸せすぎて泣ける時間に」(前編)
――前回は日本初演ということで、作品を作り上げるのも大変だったとのことですが、今回の再演では初演とは違う大変さもあるのでしょうか。
小野田:大きな違いとしては、今はコロナ禍の影響が大きいです。海外スタッフが来日できるまでずっとリモート稽古で、時差もありますし大変でした。動きを分かっている部分はすり合わせができるのですが、前回と振付や演出が変わっていたりもして。画面を見ながらのリモート稽古だと、細かい部分のニュアンスが伝わらないんです。
マスクもしていて、俳優の表情をどこまで汲み取ってくれているのかも分からなくて。ミュージカルは言葉を届けるものでありながら、マスクで封じられながら稽古しているという面が、今年ならではの苦労している部分かなと思っています。その分、丁寧にやっているという感じです。
大貫:そこが一番大きいと思いますね。まずは初演に基づいて全体の流れを作り上げてから、その後、「再演のキャストで新しく生み出せるものはなにか」という作業が本当の始まりだと思っているのですが、なかなか時間がかかっていて……ストレスを感じながらも、丁寧に進めているという状況です。
――今回が初参加の方は、また違った大変さがあるかもしれないですね。
大貫:大変だと思います。稽古の進みはゆっくりでありながらも早いんです。以前まではその場ですぐに聞けていたのが、スムーズにいかないですし。
小野田:海外スタッフとは時差もあって、 リモートだと難しい面もありますが、いざ稽古するとなるとスピードが早くて。
濱田(めぐみ)さんと大貫さんは同じ役で2回目、僕は前回も出演していたけど違う役で、笹本(玲奈)さんは全く初めて。このバランスの違う俳優がメリーとバートをやっているので、面白いとは思いますが大変ですね。この作品は音楽もダンスもドラマも全てが最高を求められるので、それを務められる俳優は限られているなと思っていて。
メリーとバートの2人での稽古が多いのですが、ときどき全員での稽古に参加すると「アンサンブルの皆さんはこんなにできあがっているのに……」と焦ることもあります。皆さん経験のある方々で吸収が早いので。とはいえ、焦るのも良くないので、ここは先輩に頼って、やっていきたいですね(笑)。
大貫:そんな、頼られた記憶ないよ。僕が頼っているくらい(笑)。あとは、振付も少しバージョンアップしているし。
小野田:していますよね。それぞれ俳優ごとにできることも求められるものも違うので、ここはこのバージョンでいこう、と色付けをしていく作業も楽しいです。