甲本雅裕・浜中文一が二人芝居。『テーバスランド』開幕! コメントとオフィシャルレポートが到着
6月17日(金)から7月3日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、甲本雅裕・浜中文一の二人芝居による舞台『テーバスランド』が上演される。
ウルグアイの劇作家セルヒオ・ブランコによって書かれた本作「テーバスランド」は、モンテビデオ(ウルグアイ)での初演以降、ラテンアメリカやヨーロッパ諸国、インドでも上演。世界17カ国で翻訳され、2016年にはオフ・ウエスト・エンド・シアター・アワードにて最優秀製作賞を受賞するなど、世界各国で評価され注目を集めている。この度が日本初演となり、演出は大澤 遊が手がける。
物語は、劇作家S(甲本雅裕)が、父親殺しの物語である演劇作品「テーバスランド」を企画・制作した経緯を、観客に回想しながら語るところから始まる。
現代のオイディプスを求めていた劇作家Sは、父親殺しの罪で終身刑に処されていたマルティン(浜中文一)と出会うが、犯罪者を舞台には上げられず、俳優フェデリコ(浜中文一/2役)と作品を創り上げることに。劇作家Sとマルティンの交流、そしてフェデリコとの稽古、それら濃密な時間を過ごすうち、いつしか現実と虚構が交錯していく――。
日常の中に存在するリアリティと懐深い表現力で魅了し、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」での好演も記憶に新しい俳優・甲本雅裕と、演劇作品を中心に活動しながら培ってきた硬軟自在な演技力に注目を集め、近年目覚ましい躍進を続ける浜中文一。演技巧者の競演、たった二人だけで創り上げる濃密な空間に、期待したい。
今回は、甲本雅裕、浜中文一のコメントをお届けする。さらに、6月30日(木)の終演後には、翻訳:仮屋浩子と演出:大澤 遊によるアフタートークショーの開催も決定した。こちらもぜひチェックしてほしい。
コメント
劇作家S役 甲本雅裕
山越え谷越え沼越え闇超え、やっとここまで辿り着きました!
しかし残念ながら、まだ完成には至っておりません。
後は6月17日〜7月3日までの最終通し稽古に皆さんに来て頂いて初めて完成となります。
楽しい舞台を創り上げる為、奮ってご参加頂けますよう宜しくお願い致します!
KAAT大スタジオでお待ちしております。
マルティン/フェデリコ役 浜中文一
テーバスランドという作品は何なのか。
すごく小さな引っ掛かりが連鎖していき、物語が進んでいきます。
大きなドラマはないけれど
気づいた時には、最初と最後の印象が変わっていると思います。
皆様も僕達と一緒にテーバスランドという作品を作りあげ、成長させましょう。
オフィシャルレポート
6月17日に幕を開ける舞台『テーバスランド』。初日に向けて公開舞台稽古が行われ、一足先にその衝撃の姿を現した。
物語は、劇作家S(甲本雅裕)が、自身が企画・製作した演劇「テーバスランド」について語るところから始まる。彼は親殺しをテーマとした作品を創ろうと、実際に父親殺しの罪で終身刑に処されていたマルティン(浜中文一)を舞台に上げようとしたのだと話す。そしてここで、マルティンとの最初の出会いを再現してみようと言うのである。そう、これから始まるのは、言ってみればSが体験した物語。Sを演じる甲本が温かく観客を導いてくれることで、私たちも冒頭からスッとその世界に入ることができる。あとは、追体験するかのように彼の回想に身を任せればいいというわけだ。
Sの演劇製作は、しかし、スムーズにはいかない。まず、犯罪者を舞台に上げることはできないとの通達があり、マルティンから聞く話をもとにして、オーディションで選んだ俳優フェデリコ(浜中文一)と作品を創り上げていくことに。舞台上は、マルティンと面会する場面のすぐあとに、フェデリコとの稽古の場面になったりもする。ここで驚くべきは、マルティンとフェデリコの二役を演じる浜中だ。うつむいていたときはどこか陰を持つマルティンだったのに、顔を上げると瞬時に、自信あふれるフェデリコになっている。演じ分けという言葉が当てはまらないほどの自然な変貌ぶり。当然ながら、その違いによってSの甲本の反応も変わってくる。マルティンには壊れないようにそっと触れ、フェデリコとはある種同志のような関係が育まれていく。それぞれとのやりとりに思わず笑ってしまう瞬間もあった。甲本のリアクションのセンスが光る。
やがて、交流が深まるにつれ、マルティンも事件のことを話すようになる。Sは考える。オイディプスが父と知らず父を殺し、母と知らず母を妻にしたのと同様に、マルティンにも父親殺しを避けがたいものがあったのではないか。フェデリコのマルティンへの理解も進んでいく。稽古をしている姿はフェデリコなのかマルティンなのか。また、目の前に立っている檻は、マルティンがいる刑務所のものなのか、Sが創る舞台のセットなのか。境目があやふやになってくる。その混乱が心地良く、いつしか、自分ではない誰かと出会い、知っていくことによって、やさしい世界が生まれるのではないかと思い至る。
作者はウルグアイ出身のセルヒオ・ブランコ。スペイン語圏演劇界で注目を集める劇作家のひとりで、今作は世界17カ国で翻訳されている。日本では今回の翻訳も手がけている仮屋浩子が初めて紹介。この日本初演につながった。戯曲の行間を膨らませた演出・大澤遊の手腕も見逃せない。たった二人だけで演じる舞台の中に、広い世界が見えてくる。
文:大内弓子
仮屋浩子×大澤 遊 アフタートークショー開催決定
ウルグアイの劇作家セルヒオ・ブランコによって書かれた本作「テーバスランド」。
記念すべき日本初演となるこの度、スペイン語圏演劇の研究者であり本作の翻訳を手がけた仮屋浩子と、演劇ユニット「空っぽ人間 」を主宰し、文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員として英国・ダービー劇場への研修経験もある気鋭の若手演出家・大澤 遊による、「テーバスランド」を読み解くアフタートークショーの開催が決定。
父親殺しのオイディプス神話をはじめ随所に散りばめられた神話や聖書やクラシック音楽といったモチーフ、作者自身の体験とフィクションとを織り交ぜた“オートフィクション”という物語の形式、曖昧に混ざり合う現実世界と虚構の境界――……本作をより深く知るための数々の手掛かりを得ることができるトークショーを、ぜひお見逃しなく。
開催日時:6月30日(木) 14:00公演(終演後、30分程度)
登壇者:仮屋浩子(翻訳)、大澤 遊(演出)
・該当開催公演のチケットをお持ちのお客様はどなたでもご参加頂けます。
・上記開催公演のチケットをお持ちでないお客様も、本トークイベントのみご参加いただけます。(有料)
参加料金:500円(全席指定・税込)
公演概要
『テーバスランド』
作 セルヒオ・ブランコ
翻訳 仮屋浩子
演出 大澤 遊
出演 甲本雅裕 浜中文一
公演日程 2022年6月17日(金)~7月3日(日)
会場 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
料金 6,800円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
公式サイト https://tebasland.com/
公式Twitter @TebasLand
提携 KAAT神奈川芸術劇場
主催/企画・製作 シーエイティプロデュース