紅ゆずるインタビュー「その人自身がいるぐらいに息づきたい」
5月30日(日)より新橋演舞場にて 『熱海五郎一座 Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー ~日米爆笑保障条約~』 が上演されます。今作にゲスト出演するのが、元宝塚歌劇団星組のトップスター「紅ゆずる(くれない・ゆずる)」さん。
THEATER GIRL編集部は、紅さんにインタビューを敢行。今作への意気込みや今後挑戦してみたい役柄などについてうかがいました。
女性が見ても格好いいと思える女性
――昨年2020年には、テレビ東京系列のドラマ『女子グルメバーガー部』に出演されました。ドラマ、女性役は初めての経験だったようですが、手応えや実感したことなどはありましたか。
課題だらけだと感じました。舞台の発声のように声を張ってしまってはいけないとか、カメラアングルが変わってしまうので、決められた位置で必ずセリフを言わなければいけないなど。他にもたくさんありますが、役を女優としてどう見せたいか、女性とは・・・というとても根本的なところに戸惑ってしまったので。これからは役としても女優としても、もっとリアルに表現できるようにしていきたいと思いました。
画面に自分がどう映っているのかなど、把握してできるように、たくさんのアンテナを張って演じていきたいと思います。
――宝塚出身の女優さんを振り返ると、天海祐希さん、真矢ミキさん、檀れいさんなど多くの方が活躍していらっしゃいます。紅さんから見て、宝塚歌劇団を経験したことのある役者の強みはどこにあると感じますか。
いろんな方がいらっしゃいますけど、私が先輩方を拝見していて思うのは「女性が見ても格好いいと思える女性」を演じることができることでしょうか。女性が「どういう女性を格好いいと思うか」ということをわかっていらっしゃるんだろうなと。そしてそれをとても繊細に表現されていらっしゃる姿に憧れを抱いています。
――深いお話ですね。男性を演じられるように、「女性」をよく認識されていると。
女性がどういう女性に好意を抱くか、人それぞれ好みはあると思いますが、男性から見た女性もそうです。普段はさっぱりとしていても、たまにホロッとするところが素敵だとか。私が男性だったら、そういう女性が素敵だなって。いつもはしっかりとしているのに、たまに弱いところを見せる。そこにキュンとするみたいな。きっと色々な角度から物事を見られていらっしゃるんだろうなって。
――そういう視点を持つと、あまりに情報が入ってきてストレスを感じたりはしませんか?
ストレスではありませんが、男役をしていた職業病みたいなものかも知れません。私は男性のタキシード、燕尾服、タイ、サッシュとかが気になって仕方がないんです(笑)。
「あそこ2cm縮めれば格好よくなるのにな」とか「背広のベンツが曲がってるな」とか「あそこのボタン一個外したら素敵になるのにな」とか、そういう情報が無意識に入ってきてしまいます。そこに気が付くことも男役ならではですよね。
男役を経験していなければ身に着かない部分だと思います。宝塚で究極の「The格好いい」を求めてきたからこそ、余計に気になっちゃうのかもしれません。