加藤和樹インタビュー『裸足で散歩』「シーン毎の会話を楽しんでもらえたら」(前編)
9月13日のプレビュー公演ののち、9月17日より自由劇場にて舞台『裸足で散歩』が上演されます。本作は、新婚夫婦と新居のアパートに暮らす変わり者の住民たちが繰り広げるニール・サイモンによるコメディの名作。
1963年にブロードウェイで初演され、1967年にはニール・サイモン自身が脚色し、主演にロバート・レッドフォード&ジェーン・フォンダ、舞台演出を担当したジーン・サックスが監督を務める映画が公開され、ラブコメディの名作として世界中の人から愛されている作品です。
今回、翻訳を務めるのはミュージカルや舞台の振付から翻訳・訳詞まで手掛ける福田響志さん。演出は、鴻上尚史さんをはじめ第一線の演出家の演出助手を務める一方、オリジナル作品から2.5次元作品まで様々なジャンルの演出を手がける元吉庸泰さんが務めます。
そして、新米弁護士のポール・ブラッターを演じるのは、加藤和樹さん。コリー・ブラッターを高田夏帆さん、電話会社の男役を本間ひとしさん、変わり者の住民のひとりであるヴィクター・ヴェラスコ役を松尾貴史さん、コリーの母バンクス夫人役を戸田恵子さんが演じます。個性豊かな俳優たちと今の演劇界を支えるクリエイターたちが送るラブコメディとなっています。
今回、THEATER GIRLはポール・ブラッターを演じる加藤和樹さんにインタビュー。前編では、コメディ作品へ出演する心境とコメディの魅力や難しさについて語っていただきました。
インタビュー後編はこちら
コメディはずっとやってみたかった
――本作はコメディ作品になりますが、出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。
最初はこの作品を知らなかったのですが、ずっとやってみたいと思っていたコメディに挑戦できることを非常に嬉しく思いました。新しい挑戦になるなと感じています。
――高田さん、本間さん、松尾さん、戸田さんの5名という少人数でのお芝居になりますが、楽しみにされていることはありますか?
今回は会話劇なので、その中で笑える瞬間を作るのって意外と難しかったりするんです。台本を読んでいても、思わず「いやいや」って思うところもあったりするのですが、くすっと笑ってしまうところもあって。会話のテンポ感や、お互いの呼吸というものが大事になると思うので、その会話一つひとつを楽しんでやっていきたいなと思っています。
お互いの芝居で支えあっていきたい
――本作では、弁護士のポール・ブラッターを演じられますが、どのように演じていきたいですか?
僕自身が割と真面目なタイプなので、真面目に取り組みつつ、ユーモラスな部分も演じられたらと思っています。硬い部分やちょっと残念なところとか、自分と似ているところもあるので、あまり飾らずに演じたいです。少し似ているからこそ難しい部分もあると思うんですけど、あまり気をいれずに素直に反応していけたらなと思います。
――夫婦役となる高田さんとの掛け合いも本作の面白さの一つだと思うのですが、どのような夫婦にしていきたいですか?
お互いに言いたいことが言い合える、遠慮のない関係性を作り上げられたらなと思います。高田さんとは初共演なので、最初はちょっと緊張しましたが(笑)。今回はカンパニーの人数が少ないので、これからコミュニケーションをとっていきたいなと思いますね。
――本作は、ニール・サイモンによるコメディの名作ですが、台本を読んでみて、どんな印象をお持ちでしょうか?
台本だけで言うと、ちゃんと計算もされているし、物語がどんどん転がっていく様が面白いと感じました。登場人物も癖の強い人ばかりですが、そこにちゃんと物語があって、一人ひとり人物の輪郭がはっきりしているので。その輪郭を生かすも殺すも、我々の芝居次第なんだろうなと思います。自分の役を生かすだけではなく、他の役も生かさなきゃいけないので、芝居でお互いに支え合っていけたらなと思います。