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石川凌雅×松島勇之介インタビュー 『Grave Keepers』 「お客様を巻き込んでお芝居ができるのも、少人数の舞台の強み」(前編)

INTERVIEW

2023年11月9日(木)、Theater Mixaにて『Grave Keepers』が開幕します。

本作は、「劇団 東京夜光」主宰の川名幸宏さんが脚本・演出を務めるオリジナル企画。大きな戦争に巻き込まれたとある街を舞台に、墓守を生業とする5人の兄弟に隠された“秘密”をめぐる物語が描かれます。兄弟を演じるのは、様々な舞台で活躍中の石川凌雅さん、松島勇之介さん、櫻井圭登さん、新谷聖司さんです。

今回、THEATER GIRLのインタビューにご登場いただいたのは、石川凌雅さんと松島勇之介さんのお二人。前編では自身の役のとらえ方や、稽古を通じて感じたことなどをお聞きしました。

インタビュー後編はこちら

最初に抱いていたイメージからは「変わったことだらけ」

――お二人の演じる役どころを教えてください。

石川:僕の演じるアラン・グレイブは常に前向きで、事件が起こっても悲観するのではなく、解決に向けて前向きに進んでいくキャラクターです。5人兄弟の三男ということもあり、誰よりも中立な立場をとろうとする男ですね。

松島:僕はジョージ・グレイブという役で、5人兄弟の長男です。グレイブ家は墓守の一族なんですが、代々伝わる教えだったり、墓守としての規律をとても重んじている……ひと言でいうと、頭の固い男です。

――お稽古に入ってみて、最初に抱いていたイメージから変化した部分はありますか?

松島:もう、変わったことだらけですね。稽古に入る前に台本を読んだとき、ジョージの感情に対して自分の思ったことをメモっていたんですけど。稽古を重ねるうちに、それを消して書き直すところだらけです。

(脚本・演出の)川名(幸宏)さんが、「ジョージは長男だけど、たぶん弟たちからそこまで尊敬はされていない。それは、頭が硬くて冗談も通じないようなヤツだからだ」とおっしゃっていたんです。

僕は最初、ジョージを演じる際にいい兄であろうとしていたんですね。そうではなく、“なぜ、弟たちがついてきてくれないんだろう”と考えるようにして、ジョージのそういう部分を軸に考えていったら、キャラクターとして通りやすくなりました。

石川:ただ、そんな兄ではあるんですけど、弟たちもジョージをリスペクトしている部分はあるんですよ。グレイブ家の子どもたちは早くに両親を亡くしているんですね。兄弟だけで家を支えているという環境のなかで、グレイブ家の伝統を守ることに重きをおいているところは、やっぱり尊敬に値すると思うので。アランをはじめとした弟たちのそういう気持ちは、稽古を重ねるなかで理解できるようになってきました。

実際に、キャスト4人を長男から末っ子に当てはめると?

――四男・オリバー役の櫻井圭登さん、末っ子・トミー役の新谷聖司さん、そしてお二人を含めた4人が兄弟という設定ですが、実際のみなさんを長男から末っ子に当てはめると?

松島:長男は圭登くんじゃない? まぁ、実際に(4人のなかで)一番年上だからっていうのもあるかもしれないけど。

石川:そうだね。圭登くんって何歳だっけ?

松島:たしか30歳かな。

石川:ちょうなんだー。

松島:「そうなんだ」みたいに言うなよ(笑)!

石川:(笑)。僕自身は、それこそジョージみたいに“ああしなきゃ、こうしなきゃ”ってルールづけしちゃうところがあって。わりと融通がきかなかったりするんですけど。

松島:たしかに! 融通がきかないよね。凌雅くんは、何かに集中すると周りが見えなくなっちゃうんですよ。

――それは、お芝居をしているときに?

松島:お芝居のときもそうだし、プライベートでもそういう姿を見る気がする。

石川:うん、そうだね。

松島:たぶん凌雅くんはひとりっ子だから、自然と“ひとりっ子感”が出ているんでしょうね。

石川:簡単に言うと、協調性がない(笑)。

松島:いや、僕はそこまで言ってないよ(笑)。でもさ、実年齢は僕より聖ちゃん(新谷)のほうが年下だけど、すごくお兄ちゃんっぽい雰囲気がない?

石川:たしかに!

松島:そしたら、長男が圭登くん、次男が聖ちゃんで、ここ二人は……双子とか?

石川:えっ、双子!?

松島:僕は、凌雅くんのことをお兄ちゃんとも弟とも思えないんだよね。

石川:そっか。でも、最近の勇之介を見ていると、末っ子っぽいイメージがついてきましたね。

松島:ウソ!?

石川:やんちゃだし、毒のあるツッコミもできるんですけど、その毒が程よいんですよ。そういうユーモアのある毒って、年下だからこそ吐けるというか。

松島:たしかに! 同じ毒でも、年上から言われるのとでは効力が違うよね。

石川:そうそうそう。

松島:じゃあ、僕が末っ子ってことかな。

石川:そうだね。

松島:圭登くんはとても落ち着いているし、物事を客観的に見ることができるし。聖ちゃんも一歩引いたところで見守ってくれているイメージがあるから、長男と次男にいてくれたら、すごくいい兄弟になりそうですね。

みんなで歩幅を合わせて本番に向かっているんだという実感が湧いてくる

――川名さんの演出はいかがですか?

松島:すごく楽しいです! 毎回稽古が終わると、ものすっごく疲れるんですよ。なぜかというと、稽古中にいろんなことを考えるから。川名さんは僕たちの意見も尊重してくれるので、一緒に作っている感覚があって。みんなで歩幅を合わせて本番に向かっているんだという実感が湧いてくるんです。

石川:川名さんは、「アランを演じるうえでの虚構と、実際に自分が体験してきたこととのバランスを考えてごらん」というように導いてくださるので。それがヒントになって、無理なくセリフを言えるようになったりとか。本当に丁寧に教えてくださるのでありがたいです。

松島:1回、ワークショップみたいな感じで、みんなで怪談話をしたことがあって。それがすごく印象に残っていますね。

石川:あー、そうだね。

松島:この作品はホラーファンタジーというジャンルなので、人を脅かす要素も必要なんですよね。というところから、怪談話独特の話し方を見つけてほしいという、川名さんならではのやり方だと思うんですけど。

石川:みんなで心霊体験の話をすることによって、よりリアルな緊張感が生まれるので。そこから、この作品を一緒に作り上げるヒントを見つけていこうと川名さんはおっしゃっていましたね。ホラー作品を作っていくうえで、すごく参考になりました。

――今回、當間里美さんが振付を担当されていますが、劇中には本格的なパフォーマンスもあるのでしょうか。

松島:実は、明日が初めての振付稽古なので、詳しくはまだわからないんです(取材は10月下旬)。でも僕たち、里美さんとはほかの作品でもご一緒したことがあって。里美さんの振付はお芝居感が強めというか、コンテンポラリーのような感じなので、今回の作風にはすごく合うんじゃないかなと思います。

石川:映像や音といった演出効果で表現できないところは、僕たちが身体で表現する必要があるわけです。里美さんはそういうものを丁寧に緻密に作り上げてくださる方なので、安心感もあるし、どんな振付になるのかすごく楽しみです。

――お二人は、ダンスはお得意ですか?

松島:僕は、得意とまでは言えないんですけど。

石川:でも、(ダンスが)好きでしょ?

松島:そう! 踊ることがだんだん好きになってきました。それに最近は、上手だなと思う方のパフォーマンスを見ると、“ここがこうだから、この人の振りはかっこいいのかな”と考えるようになったんです。ということは、たぶん(ダンスを)上手になりたいし、好きになっている証拠なのかなって。

石川:僕も、振りを覚えるのは苦手なんですけど、やっぱり踊っていて楽しい瞬間がいっぱいあるんです。その楽しさが苦手意識より勝っているうちは、続けられるなって思います。

お客様を巻き込んでお芝居ができるのも、少人数の舞台の強み

――お二人は、大人数のキャストが登場する作品などにも出演されていますが、こういった4人のキャストしか出てこないような……。

石川:いや、もしかすると5人目が出てくるかもしれませんよ~。

松島:もう~(笑)! とりあえず、人様の話は最後まで聞け!

石川:すみません(笑)。

――(笑)。少人数で演じる舞台作品とでは、心がけることや気にする部分に違いがあるのでしょうか。

松島:今回でいうと、世界観がしっかりある作品じゃないですか。その非現実的な世界にお客さんを誘って、没入させなきゃいけない。となると、やっぱり大人数のほうがエネルギッシュでパワーも強くなるから、比較的やりやすいと思うんです。それを4人でやる難しさはありますよね。

石川:そうですね。ただ、みんな4人でやることに意味を見出したいとも思っているので。舞台の転換だったり動きだったりの一つひとつが、意味を持った表現になってくるんじゃないかなって。そういう点から、より緻密になってくるんでしょうか。普段とは違う意識を働かせて考えることが増えるかもしれないですね。

松島:たしかに。

石川:舞台上で、しっかりとお客様のほうを向いて……

松島:巻き込んでね。

石川:そう。お客様を巻き込んでお芝居ができるのも、少人数の舞台の強みかなと思います。

取材・文:林桃
Photo:野田涼
ヘアメイク:北崎実莉
スタイリスト:MASAYA(PLY)

〈衣装〉
【石川凌雅】
•ジャケット ¥143,000
•シャツ ¥44,000
•パンツ ¥49,500
•フレームネックレス ¥24,200
•シーリングネックレス ¥14,300
以上5点ともに(Taiga Igari)
その他スタイリスト私物

【松島勇之介】
すべてスタイリスト私物

〈お問合せ先〉
•Taiga Igari (090-1496-8524)

インタビュー後編はこちら

公演概要

Grave Keepers

【公演期間】2023年11月9日(木)〜11月19日(日)
【劇場】 Mixalive TOKYO 6F Theater Mixa

【脚本・演出】川名幸宏
【振付】當間里美

【出演】
アラン・グレイブ役:石川凌雅
ジョージ・グレイブ役:松島勇之介
オリバー・グレイブ役:櫻井圭登
トミー・グレイブ役:新谷聖司

【チケット料金】
11,000円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可

【チケット・公演に関するお知らせ】Mitt:TEL 03-6265-3201(平日12:00〜17:00)

【公式サイト】https://gravekeepers-stage.com
【公式X(旧Twitter)】@GraveKeepers_st
【公式ハッシュタグ】#グレステ

【主催】「Grave Keepers」製作委員会

© 「Grave Keepers」製作委員会

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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