上田堪大インタビュー 『ブルーキャットエレジー』 「メインとなる楽曲は、自分のカラーからはみ出したものがいい」(後編)
MANKAI STAGE『A3!』の雪白 東役など、様々な舞台や映像作品で活躍している「上田堪大(うえだ・かんだい)」さん。10月21日の自身の誕生日には、メジャーデビューシングル『ブルーキャットエレジー』が発売されました。
THEATER GIRL編集部は、上田さんにインタビューを敢行。後編では、先日出演された、MANKAI STAGE『A3!』~WINTER 2020~、MANKAI STAGE『A3!』~Four Seasons LIVE 2020~でのエピソードについて、たっぷりと語っていただきました。
客席の景色を観た瞬間に「帰ってきた」と思った
――7月に上演された劇メシが、久々のお芝居の場になったかと思います。その後、もともと4月から上演予定だったMANKAI STAGE『A3!』~WINTER 2020~が、8月に上演されましたが、久々にお芝居をされたお気持ちはいかがでしたか?
劇メシは普段の劇場よりもお客様と近いので、“嬉しい”気持ちと“ごめんなさい”という気持ちがありました。マスクとフェイスシールドをして観劇してもらわないといけないので、笑ったりすると曇るし声も出せないので、観る方も大変だと思うんです。でも、思わず漏れてしまった笑い声が聴こえてきたりして、すごくそれが嬉しかったですね。改めて、人前に立つ仕事を選んで、本当に良かったなと思いました。
それから、エーステ冬組単独公演(MANKAI STAGE『A3!』~WINTER 2020~)があって。劇メシで少し慣れもあったんですけど、劇場に入ると全然違いましたね。劇場の照明を浴びて、客席の景色を観た瞬間に「帰ってきた」と思って。「みんなと本当にできるんだな」と想いが溢れて、「やっとできる」という高揚感がありました。
そんななかで、もし誰かの体調が悪ければ、その日で中止になってしまうというプレッシャーもあって。「自分がなってしまったらどうしよう」という不安と、芝居に集中する以外にも、生活している中で常に張り詰めた感じがありました。
ましてや二幕は僕が主演だったので、さらにプレッシャーでしたね。特に初日は、本当に緊張していて、初舞台のときを思い出したかのような感覚で。一曲目のイントロが流れた瞬間に、マジで泣きそうになりました。でも、本当に幸せな瞬間でしたね。思わず笑顔になりそうだったんですけど、キャラ的にもそんなに笑っちゃいけないし、なんとか堪えました(笑)。
――一度延期にもなっていますし、こういった状況でもあるので、初日はより緊張感がありそうですよね。
二幕になったときに、暗転して幕が上がって一人客席に背を向けて立っていたんですけど、そんなことをするのが本当に初めてなんですよ。しかも、銀河劇場くらいの劇場の大きさで、二幕だけではありますけど、主演というのも初めてだったので、相当なプレッシャーがあって。舞台監督さんに「始まります」と言われて、暗くなって、幕が上がっていくと、ふわっと風が吹くんですよ。それまでも集中しているのに、より集中しろってことだなと感じて。
でも、初日はそういった意識とかが、すごく印象に残ってるんですけど、途中からあまり芝居しているときの記憶がないんですよ。はけてから、袖にいる仲間に「今、ちゃんとセリフ言えてた?」って聞いたりして。ところどころでそういうシーンがありました。
きっと、僕たちと同じくらいか、それ以上に皆さん公演を楽しみにしてくれていたと思うし。チケットが取れた方もいれば、取れなかった方もいると思うんですけど。いろんな想いを持った方がいる中で、この11公演に、「僕たちがやってきたことを、ただただ届けたい」という想いでやっていました。