市村正親インタビュー ミュージカル『生きる』 「公演1回1回の渡辺勘治を丁寧に、深いものにしたい」
――ここ最近で、ようやくいくつかの舞台が幕を開けました。市村さんも8月に行われた帝国劇場のコンサート『THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』にゲスト出演されていましたが、久しぶりの舞台はいかがでしたか?
2回公演のゲストで1日だけ出たんだけども、翌日に鏡で自分を見た時に「顔がプリッとしてるな」って思いましたよ。やっぱり人に見られて、視線という栄養素をもらったからでしょうね。
それまで僕は、5~6カ月俳優業をしていないただのお父さんでした(笑)。やっぱり役者っていうのは、人様の前でなにかやって見てもらうことが大事なんだなって実感しましたね。
役者って、役を演じているから役者であって、役がない時はただの“者”でしょ? 市村正親という者でしかないわけだから。今回の『生きる』が始まったらもっとドキドキするんじゃないかな。コンサートは1曲ごとの世界観だけど、ミュージカルは一貫してドラマの中で生きられるからね。きっと2018年の初演以上に新鮮な気持ちでやれるんじゃないかと思います。
――久々のコンサートで「声が出にくかった」というようなことはありませんでしたか?
舞台稽古で音合わせに行ったら、一発で出ましたよ(笑)。常日頃から健康な体をキープしていますからね。今朝も有酸素運動のヨガに行ったんだけど、マグマの中でやるんですよ。ペットボトル500mlのお水を2本ぐらい飲むんですけど、実際に1㎏ぐらい汗が出る。だから、71歳のわりには肌がきれいでしょ? やっぱりデトックス効果があるんでしょうね。それとマグマの中でやるから、体温が上がっていろんな免疫ができるんです。
筋トレをやってケアもして。それがだいたい週に2回。ヨガが週に4~5回。だから仕事が入っていない日も、スケジュールはすごい埋まってる(笑)。子どものピアノ、ヨガ、ゴルフ、ケア……毎日、本当に充実してますよ。
子どもたちは舞台のまねっこをしてます
――お子さまはピアノを習っていらっしゃるんですね。ご兄弟のお二人とも習い事をされているんですか?
下の子がピアノで、お兄ちゃんは週1回タップを習っています。僕がヨガに行った帰りに、たまに僕も顔を出してね。お兄ちゃんは昔習っていた「ジャックナイフ」ってステップも踏めるようになって、もう僕よりうまいですよ。そういうのを見ると、ちょっと感慨深いものがありますね。
――やっぱり市村さんの影響を受けていらっしゃるんですね。
お兄ちゃんはもう「役者になる」って言ってるからね。下の子は「パパの役を全部やりたい」って口ばっかり。だから僕は「うちは歌舞伎俳優の一家じゃないんだから、お父さんの役はできないんだよ。やる時は自分でオーディションを受けて役をとれ」って聞かせるんですけどね。
親を尊敬してるかはわからないけども、「楽しそうなことをやってるな」っていうのは感じてるかもしれない。僕が公演をやるたびに、子どもたち2人で舞台のまねっこをしてますよ。『スクルージ』ならお兄ちゃんがスクルージをやって、弟がクラチットをやってる。
脚立を買ってきて、いろんな道具をつくったりしてね。脚立の下に台車をかまして弟に押させたりして、低い声で「スクルージ……」ってまねしてるんだよ(笑)。
――すでにミュージカルが染みついていますね(笑)。ちなみに、『生きる』もご覧になっているんですか?
観てますよ。3~4年ぐらい前に、子どもたちのために鉄棒を買ってあげたんですよ。その鉄棒を高くして、ヒモをつけてブランコをつくっていました。「いのち~みじ~かし……」って歌ってね(笑)。この間も、ブランコのある公園に行ったら、「パパ、(『生きる』の公演が)もうすぐだね」と言ってきて。息子は僕のスケジュールも把握してるんですよ。