松下洸平主演、松下優也共演。ミュージカル『ケイン&アベル』製作発表レポート!「誰も見たことのないミュージカルができると確信しました」
2025年1月22日(水)、東急シアターオーブにてミュージカル『ケイン&アベル』が開幕する。
本作は、イギリスの国民的作家、ジェフリー・アーチャーのベストセラー小説を原作に、東宝/キューブが世界初演のオリジナル・ミュージカルとして上演するもの。音楽は、東宝ミュージカルと縁が深く、数多くのミュージカル作品を手掛けるフランク・ワイルドホーンが。脚本・演出は、東宝作品の演出経験があり、高い評価を受けているダニエル・ゴールドスタインが務める。
ボストンの名家・ケイン家に生まれ、将来を約束されて育ったウィリアム・ケインを演じるのは、ワイルドホーン作品への出演経験もある松下洸平。ケインと同じ日にポーランドで孤児として生を受け、劣悪な環境で育つも、苦難を乗り越えてアメリカへ渡るアベル・ロスノフスキを演じるのは、松下優也。アベルとザフィアの愛娘・フロレンティナ役に咲妃みゆ、アベルの妻・ザフィア役に知念里奈。アベルに経営者としての資質を見出すデイヴィス・リロイを山口祐一郎が演じる。
製作発表・囲み取材にはキャスト5名のほか、エグゼクティブ・プロデューサーの池田篤郎(東宝株式会社)、アソシエイト・エグゼクティブ・プロデューサーの北牧裕幸(株式会社キューブ)が登壇し、現在の心境や意気込みを語った。
主演を務める松下洸平は、「(自身にとって)初めてのグランドミュージカル主演で、ミュージカル自体も7年ぶりなので不安やプレッシャーはありますが、ブロードウェイの素晴らしいスタッフのみなさん、そして、山口祐一郎さんをはじめ松下優也さんと共に、誰も見たことのない新しいミュージカルを作れれば。キャスト総勢40名近いという大きな作品ですが、一つのゴールに向かって一緒に船を漕いでいく、そんな稽古場にしたいなと思っています」と挨拶。
役どころとして松下洸平と対立することになる松下優也は、「アベルは人一倍野心家で、生まれ持ったクレバーさで成り上がっていきますが、僕自身も野心が強いほう。洸平さんは、内なる炎を感じさせながらも穏やかで柔らかい印象があるので、自然と二人の関係性を演じていけるのではないかなと。アメリカのケインとポーランドのアベルさながら、東の松下、西の松下みたいな感じで作っていけたらなと思っています」と、役になぞらえた例え話を。
咲妃は、「演出のダニエルさんとは、今回で2度目のご縁をいただきました。大変尊敬する演出家さんなので、ダニエルさん率いるカンパニーの一員としてまたお芝居させていただけることが、とてもうれしい。私が宝塚歌劇団時代に初舞台を踏んだ『THE SCARLET PIMPERNEL』は、フランク・ワイルドホーンさんが音楽を手掛けられた作品でした。そこから時を経て、またこうしてご縁をいただけたことをとても幸せに思います」と、出演の喜びが言葉に滲む。
「松下優也さんの妻の知念里奈です」という第一声に、松下洸平が「ちょっとややこしいですよね」とフォローし、松下優也が「ありがとうございます」と返すなど、会場を和ませた知念。「ごめんなさい! 失礼いたしました!」と自己紹介からやり直し、「この世界初演の大きなプロジェクトに参加させてもらえることは、本当にうれしい。世界中で愛され続けているこの小説が、音楽と出会ってミュージカルになったときにどんな魔法がかかるのかなと、いちミュージカルファンとしても楽しみです。作品をしっかりと支えていけるように、誠心誠意努めていきたい」と熱のこもったコメントを。
池田から本作への出演依頼があった際、「『ケイン&アベル』をやると聞いて、(自分は)どっちの役なんだろう!? と思ってしまったんです」と告白し、会場の笑いを誘った山口。ケインとアベルを演じる二人について、「先ほど初めてお会いして、なんて清潔感溢れる二人だろうと。たいがい三十路を超えると、どこか悪党って感じがするんですよ。それが、どこにも見えない。そこを見て池田さんがキャスティングしたってことなのかなと」と賛辞を送った。
さらに、二人へのアドバイスを求められた山口の「いいものを作る、そのために自分たちが何をできるかを考える。考え方もいろいろで違うところもありますが、よりいいものを作るためにはぶつかり合いもできる稽古場であれば、よりよいものになっていくと思う」という言葉に、頷きながら真剣に聞き入る松下洸平と松下優也。
俳優業と音楽活動を両立しているという共通点もある二人だが、「いちファンとして優也くんの曲をずっと聴いていた。いつかお会いする機会もあるだろうと思っていましたが、ミュージカルだったので驚きました。でも、優也くんが一緒ならちょっと甘えられるかなと、頼りにしています」と松下洸平が本音を漏らすと、松下優也も、「たぶん、やってきた音楽や好きな音楽が似ていると思う。洸平さんの歌い方がすごく好き。洸平さんのステキな歌と、僕の自分なりにやってきた歌を、ワイルドホーンさんの楽曲でどう表現できるのか、めっちゃ楽しみです」とテンション高く語る。
さらに、「昨日、ネットでいろいろと調べていたら、めっちゃ共通点だらけで。たぶん、デビューした年とかデビュー月も」という松下優也に「マジ!?」と声のボリュームが上がる松下洸平。改めて、「今日、改めてこういう場でしゃべっている優也くんを見て、本当にアベルそのものというか。野心や強さが感じられるので、対峙するケインをこれからどうやって作っていこうかなと、すごく楽しみになりました」と共演の喜びを紡いだ。
この作品をこのタイミングで上演しようと思った理由を問われた池田は、「この作品は、究極のところにいくと愛を語る作品。愛というものを語るがために、十分な助走をかけている。だから、そのプロセスと結果が、観る者に非常に大きな感動を残していく」と説明。さらに、「ケインは知性と情熱、そして正義を心のなかに非常に強く持っている人物。一方でアベルは、難しい世界を生き抜くなかで体得した人生訓を糧に、また新たに事業を成功させていく。決して交わることがないと思われるこの二人がその先どうなっていくかというのが、このドラマの醍醐味だと思います。そういうプロセスをお客様と共に感じたい、楽しんでいきたいという気持ちが、この作品を実現させたいという強いモチベーションになりました」と力強く述べた。
学生時代に原作を読んだという北牧も、「当時は、いわゆるビジネス小説なのかなと思っていた。でも今回、ミュージカル化されるにあたり、東宝さんからぜひご一緒にというお話を頂戴したときに、もう一度読み返したところ、単なる経済やビジネスの話ではなく、家族愛を取り上げている作品なのだと実感しました」と、作品に描かれるテーマについて池田に同意した。
製作発表中に、フランクとダニエルからビデオコメントが、また、原作者のジェフリー・アーチャーからのテキストコメントが届き、驚きを隠せないキャスト陣。フランクの音楽については、「壮大で、本当にグランドミュージカルというような楽曲ですが、そのなかにモダンさやポップスさがある。この曲たちを僕らが世界で初めて歌える、それがオリジナルになるというワクワク感と責任感も感じながらも、今からすごく楽しみです」という松下優也に、松下洸平も「個人的にフランク・ワイルドホーンさんの好きなところは、ポップス性。日本人の人たちもついつい口ずさんでしまうような、美しいメロディーが特徴だと思う」と同意。
咲妃は、「ワイルドホーンさんの作品をいち観客として拝見したことがありますが、楽曲の壮大さに一番惹かれます。今回も、デモ音源を聞かせていただいて鳥肌が立ちました。人物の心情を、豊かに表現として届けてくださる」と大絶賛。
フランクが音楽を担当する作品への出演は久しぶりとなる知念は、「作品のなかだけでなく、1曲1曲が曲として聞いても本当にメロディアスでロマンチックで魅力的。今回もしっかりお届けできるように、ちゃんと稽古したい」と表情を引き締めた。
最後に、松下優也が「これだけ大きな作品、そして世界初演ということで、責任感とワクワク感がすごくありますが、今日、この場で(キャストの)みなさんとお会いして。そして、ワイルドホーンさんとダニエル・ゴールドスタインさん、原作のアーチャーさんからメッセージもいただき、楽しみが大きくなりました。みなさんと一緒に作り上げていくので、不安はありません。観てよかったと思ってもらえる作品を、みなさんと一緒に作れたらと思っています」と意気込みを語ると、松下洸平も「満足度の高い作品になるといいなと思います。東宝のミュージカルで、シアターオーブでというのは、俳優にとって一つの大きな夢なので、選んでいただいて本当にありがたいですし、支えてくださるスタッフのみなさんやお客様と一緒に、楽しい空間作りができればと思っています。今日、(キャストの)みなさんとお会いして、すごく新しい、誰も見たことのないミュージカルができると確信しました。短い稽古期間ではあるかもしれませんが、そのなかで僕らができる精一杯のことをして。楽しく、そして見応えのある『ケイン&アベル』を作っていけるようにがんばりますので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです。よろしくお願いします」と挨拶が述べられ、製作発表は終了した。
文:林桃
撮影:THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『ケイン&アベル』
【キャスト】
松下洸平 松下優也
咲妃みゆ 知念里奈 愛加あゆ
上川一哉 植原卓也 竹内將人 今 拓哉 益岡 徹
山口祐一郎
アンサンブルキャスト
飯塚萌木 榎本成志 加藤翔多郎 古賀雄大 咲良 佐渡海斗 島田彩
徳岡明 富田亜希 中村ひかり 廣瀬喜一 堀部佑介 本田大河 町田睦季
萬谷法英 宮内裕衣 宮田佳奈 森下結音 森山大輔 米澤賢人 (五十音順)
スウィング磯部杏莉 後藤裕磨
【スタッフ】
原作:ジェフリー・アーチャー
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ネイサン・タイセン
編曲:ジェイソン・ハウランド
振付:ジェニファー・ウェーバー
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン
エグゼクティブ・プロデューサー:池田篤郎(東宝)
アソシエイト・エグゼクティブ・プロデューサー:北牧裕幸(キューブ)
プロデューサー:仁平知世・田中利尚(東宝)
製作:東宝/キューブ
【上演スケジュール】
東京 東急シアターオーブ 2025 年 1 月 22 日(水)~2 月 16 日(日)
一般前売開始:2024 年 11 月 23 日(土)
公演に関するお問い合わせ:03‐3201‐7777
大阪 新歌舞伎座 2025 年 2 月・3 月