『Endless SHOCK』は観客の心の中で永遠に続く物語になる、観劇レポート!
2024年11月、東京・帝国劇場に響き渡る拍手。建て替えが決定している帝国劇場にて、最後の『Endless SHOCK』の幕がついに上がった。堂本光一が磨き、積み上げてきた唯一無二のエンターテインメントの世界が、観客を興奮の渦に巻き込んでいく。
『SHOCK』シリーズラストイヤーとなる2024年は、4・5月の帝国劇場からスタート。7・8月に大阪・梅田芸術劇場、9月に福岡・博多座での上演を経て、カンパニーは最後の地となる帝国劇場に再び戻ってきた。博多公演では、堂本が国内劇場における代役なしの単独主演記録において、前人未到となる2100回を達成したことも記憶に新しい。
ラストステージにて、堂本光一演じるコウイチのライバル役を演じるのは上田竜也。また、彼らとともに舞台に立つ仲間としてふぉ〜ゆ〜の4人、福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介が揃うほか、松尾龍と松浦銀志が出演。ヒロインのリカ役は綺咲愛里と中村麗乃のWキャスト、劇場のオーナー役には前田美波里が名を連ねる。
今回は、ゲネプロ公演(公開稽古)の模様をレポートする。
※作品内容に一部触れています。
進化し続ける伝説のステージ
『SHOCK』は“Show Must Go On”の言葉とともに、2000年から走り続けてきた。オーケストラピットからイントロが流れ、スクリーンにクレジットが流れ始めると、ゲネプロではあるものの大きな拍手が上がる。改めて、『SHOCK』という作品の歴史を感じた瞬間だ。
四半世紀にわたって進化を続けてきた本作。堂本光一演じる主人公・コウイチの姿は、まさにエンターテイメントの進化そのものを体現しているかのよう。途切れることなく観客を惹きつけ続けるダンスに歌、多種多様なフライングに階段落ちと、今回も圧倒的な身体能力を見せつけた。
しかし、注目すべきは技術の高さだけではない。ときに華やかなライティングに照らされ、ときに暗闇から浮かび上がる表情には、24年間この作品と向き合ってきた者だけが持ち得る、芸術への真摯な眼差しが宿っている。
とくに印象的だったのは、2幕で描かれる“最期のショー”でのコウイチの表情。これまで過去に観てきたコウイチは、これほど穏やかな表情をしていただろうか。「MUGEN (夢幻)」やリボンフライング、ラダーフライング、傘フライングと緊迫感あるパフォーマンスに高鳴った胸は、「夜の海」でのあまりに優しく穏やかなコウイチの表情にぎゅっと締め付けられた。
このシーンでコウイチは多くを語ることはしないが、ライバルであるタツヤを見つめる姿は、どこか晴れやかでもある。“託す”といった役割からも解放され、ただただ親友でありライバルだった大好きなタツヤの歩む未来に希望を見出すような表情、とでもいうべきだろうか。叶うことなら、「夜の海」そして「大桜」で光に包まれていくまでのコウイチの表情だけにフォーカスした回替わり映像を観たい。そんな気持ちが、観劇の興奮が一通り落ち着いた頃に、ふつふつと湧き上がってきた。
大筋のストーリーやショーは同じでも、数え切れないほどの細かなアップデートと、キャスティングによって色が変わっていくコウイチの芝居が『SHOCK』にはある。今年はラストイヤーとして4月から本作を上演しているわけだが、それでもこうして観る度に新たな発見と感動を与えてくれる。大千穐楽には果たしてどんなものが観られるのか、もはや想像もつかないほどだ。
新たな挑戦と変わらぬ魂
これまで上演の度に、違ったライバル像が生まれてきた。そんな中で今回、最後のライバル役を務める上田竜也が創り上げたライバル・タツヤは、“子供の頃から幼馴染として切磋琢磨してきたコウイチ”への強すぎる想いが垣間見える。憧れやライバル心といった言葉では括ることができない、もっと深い親愛と、それ故の苦悩や苛立ちが感じ取れた。上田のその芝居があるからこそ、コウイチのタツヤへの親友としての想いも、これまで以上に色濃く浮かび上がる。
「Japanesque」での事故のシーン。9月の博多公演から、コウイチは本物の刃物を前にした際の芝居を少し変えている。11月帝劇公演でもその変更は引き継がれており、ライバルに裏切られたコウイチのショックが、より鮮明になった。近年のライバル役の中でも堂本と年齡の近い上田だからこそ、コウイチとタツヤの間に生まれる複雑な感情にリアルな質感と説得力が加わるのだろう。
タツヤは身体にジャグアタトゥーを施していることもあって、他のライバル役にはない個性が光る。オーナーをエスコートする振付ではやんちゃな雰囲気が漂い、「MOVE ON」では布量たっぷりのマントをばっさばさと翻し観客をおおいに煽り、殺陣では敵から奪った武器を喜々と握り不敵な笑みで大暴れ。そういったシーンの印象から野性味の強さが先行しがちなタツヤだが、芝居は驚くほどに丁寧で繊細だ。苦悩や後悔の中に、抱き続けてきた“コウイチに振り向いてほしい”気持ちを滲ませる2幕の芝居は、上田の表現者としての深さを感じずにはいられなかった。
今回観劇した公開稽古では、リカ役を中村麗乃が演じた。堂本や上田とは約20歳ほど離れている中村は、チャーミングなかわいさが際立つ1幕からの、2幕での儚さが印象的。一方で、ショーに出演する際のリカからは表現者としての覚悟が伝わってくる。コウイチやタツヤとともにカンパニーを引っ張ってきたであろう日々を想像させる、豊かな表現力で魅せた。
残念ながら今回は、Wキャストの綺咲が演じるリカは観ることは叶わなかった。過去の公演では、美しさの中に強さを感じる姿が印象的だった綺咲のリカ。タツヤとの化学反応でどんなリカが生まれているのか、楽しみでならない。
10年ぶりに揃ったふぉ〜ゆ〜の安定感が加わることで、カンパニーとしてのチームワーク感と、彼らの幼馴染感が強固なものに。屋上や楽屋のシーンでは、アドリブを入れながらも各自が組み立てた役柄像を自然と芝居に組み込む芸達者な姿が光った。役割や立ち位置が細かく再調整されたことで4人の新たな芝居の引き出しが楽しめると同時に、コウイチと4人が並んだ姿に懐かしさも感じられ、胸に迫るものがあった。
松尾は得意のクラシックバレエのスキルを遺憾なく発揮。コウイチたちが「ONE DAY」を歌うシーンでは、松尾がバレエの練習シーンに登場。芝居だけでなくバレエやアクロバットといった身体表現も武器に、4月からの進化を感じさせてくれた。最年少かつ11月公演が初出演となる松浦は、感情を目一杯乗せた表情がなんともかわいらしい。お兄さんたちに愛されている雰囲気がひしひしと伝わってきて、彼に癒やされる観客も多いことだろう。
2013年から作品を見守ってきたオーナー役の前田はさすがの貫禄で、カンパニーを包み込む。衰え知らずの美しくもかっこいい歌声とダンスには、思わず見とれてしまう。2024年には第49回菊田一夫演劇賞特別賞を受賞。長年、ミュージカル作品に情熱を注いできた彼女自身の生き様とオーナーの生き様とがシンクロし、その凛としたシルエットに“Show Must Go On”の真髄を見た気がした。
そして、堂本光一の物語は続く
あっという間の3時間15分。フィナーレ「CONTINUE」のイントロが流れた瞬間、本当に終わってしまうのか……という切なさがよぎったことは言うまでもない。
しかし、これは決して終わりではない。むしろ、新たな始まりだ。堂本光一が体現した“Show Must Go On”の精神は、きっとこれからも違った形で進化を続けていくだろう。なぜなら、それこそが彼が続けてきた『Endless SHOCK』の真髄であり、エンターテインメントそのものだから。次に彼が生み出すであろうショーで、鳴り止まない拍手を耳にする日を心待ちにしたい。
文・撮影:双海しお
公演概要
『Endless SHOCK』
2024年4月11日(木)~5月31日(金)※公演終了
帝国劇場
※『Endless SHOCK』、『Endless SHOCK -Eternal-』同時上演
出演:堂本光一、佐藤勝利、越岡裕貴、松崎祐介、高田翔、寺西拓人、松尾龍、尾崎龍星、石川直、中村麗乃、前田美波里、島田歌穂
2024年7・8月 ※公演終了
梅田芸術劇場メインホール
出演:堂本光一、中山優馬、林翔太、室龍太、高田翔、原嘉孝、松尾龍、尾崎龍星、綺咲愛里、島田歌穂
2024年9月 ※公演終了
博多座
出演:堂本光一、佐藤勝利、福田悠太、辰巳雄大、室龍太、高田翔、松尾龍、尾崎龍星、綺咲愛里、前田美波里
2024年11月8日(金)~29日(金)
帝国劇場
出演:堂本光一、上田竜也、福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介、松尾龍、松浦銀志、石川直、綺咲愛里・中村麗乃、前田美波里
公式サイト:https://www.tohostage.com/shock/
『Endless SHOCK』大千穐楽 ライブビューイング 概要
■上映日時:2024年11月29日(金)13:00上映開始(予定)
■上映時間(予定): 第一幕 13:00~14:15(75分)
休憩 30分
第二幕 14:45~16:15(90分)
特別カーテンコール 16:15~
※特別カーテンコールの最後までお楽しみください
■出演者:堂本光一、上田竜也、福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介、
松尾龍、松浦銀志、石川直、中村麗乃、前田美波里 ほか
■<チケット販売スケジュール >
FC先行・チケットぴあ全先行完売、御好評につき、スクリーン数を増やし、
一部の劇場にて追加販売が決定!
●追加販売対象劇場(先着)
札幌シネマフロンティア
TOHOシネマズ仙台
TOHOシネマズ西新井
TOHOシネマズ南大沢
TOHOシネマズ府中
TOHOシネマズららぽーと横浜
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横浜ブルク13
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