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ミュージカル『レ・ミゼラブル』帝劇クロージング公演本初日が開幕!「劇場に来て、体感して、行動していただけたら」

REPORT

現・帝国劇場のラストを飾る帝劇クロージング公演 ミュージカル『レ・ミゼラブル』がプレビュー公演期間を経て、2024年12月20日(金)に本初日を迎えた。

1987年の日本初演から、ミュージカルの金字塔として多くの感動を人々に届けてきた名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』。多くのミュージカルスターが、この帝国劇場で19世紀初頭のフランスの動乱の時代を生きてきた。この日から始まる新たなカンパニーでの「レミゼ」は、帝国劇場での公演を含め日本全国6大都市を巡る。

初日公演を前に、本初日会見が実施され、ジャン・バルジャン役の吉原光夫、佐藤隆紀、飯田洋輔、ジャベール役の伊礼彼方、小野田龍之介、石井一彰、ファンテーヌ役の昆夏美、生田絵梨花、木下晴香の9名が登壇した。

会見では、それぞれが帝国劇場の思い出を振り返りながら、クロージングへの思いを吐露。

吉原は「あっという間だった」と語り、ともにジャン・バルジャンとして舞台に立った大先輩たちの名前を挙げながら「青二才という立場だったのに、気づいたら大御所扱いされていて不思議な気持ちです。僕にとっては帝国劇場は怖い劇場なんですが、この節目に一緒に劇場といられるという温かい気持ちを噛み締めていきたい」とコメント。

初出演となる佐藤は「100年以上の歴史を持つ劇場で、本当に色んな人のたくさんの思いが詰め込まれた劇場」とその歴史に思いを馳せ、飯田はこの節目に出演できることを「ご縁あってのこと」と語り「現・帝劇最後の公演に携われることが本当に嬉しい」と笑顔を見せた。

ジャベール役の3人は、続投となる伊礼のほか、小野田も石井もこれまで別役で本作に出演経験を持つ。伊礼は「クロージング公演、そして千穐楽公演にも立たせていただけることは、神様からのギフトなのかなと。導かれているような気持ちです」、小野田は「15歳で帝劇に立たせていただいてから多くの出会いがありましたし、お客さんとして一番観た階数が多いのもこの『レ・ミゼラブル』だと思います。寂しさはありますが、ここからがまた始まりだと思うので、舞台の神様から『ここから頑張れよ』とお尻を叩かれているような気持ちです」、石井は「俳優にもスタッフにもお客様にも愛された劇場のクロージング公演に立たせていただく光栄を噛み締め、誠実に最後まで舞台に立ちたいと思います」と、それぞれの帝劇愛を語った。

学生時代に何度も帝劇に通い『レ・ミゼラブル』を観劇し、自身初の帝劇も『レ・ミゼラブル』だったと語るのは昆。「帝劇とレミゼは私の人生の中で特別な組み合わせです。覚悟を持ってお届けしたいです」と意気込む。

生田はコゼット役での初出演を果たした7年前の囲み取材を振り返った。「当時、ファンテーヌ役の知念里奈さんが私に向けて『いつかファンテーヌをやってほしい』と言ってくださって。今この瞬間にファンテーヌとしてここに立てていることが感慨深い」と、歴史ある本作ならではのエピソードを披露。

木下は吉原と同じく帝劇の怖さに触れ「初めて舞台に立つのが怖いと思ったのがこの劇場でした。ここでの経験を噛み締めながら、味わい尽くしながら過ごせたら」と、これから始まる最後の現・帝劇での日々への思いを覗かせる。

「好きなシーンやセリフは?」の質問には、昆が「エピローグでバルジャンを迎え入れて前に進んでいくシーンは、劇場の一番奥のお客様まで作品のメッセージとエネルギーを届けるこの作品の醍醐味だと思います」、飯田が「命をかけてコゼットを守り通すとファンテーヌに歌いかけるシーンでの、バルジャンの不屈の精神が大好きです」、佐藤が「冒頭の司教様の言葉でバルジャンが生まれ変わるシーン。人はなかなか変わらないものですが、司教様が温かい愛で包んだことで相手が変わるというのが、すごく温かくて好きです」と語った。

伊礼は「一瞬だけ“伊礼節”が出ます」と断ったうえで、若い頃はマリウスとコゼットのシーンを「面白くないな、早く終わらないかな」と思っていたことを告白。しかし、俳優として成長し守るべきものができてからは「そのシーンの美しさに稽古場で涙が流れました。稽古で目の当たりにする度に、自分の持っている闇が毎回浄化されていく気分」なのだそう。すると、すかさず吉原から「(浄化)されてないよ(笑)」と茶々が入り、緊張感ある会見の雰囲気が和らいだ。

そんな吉原はシーンというより間奏の音とリズムをチョイス。「夢やぶれて」の「木枯しが吹き消し」と「夢見た人生」の間に入る「ダンダダンダ」が一番好きとのことで「ここは何回聴いても鳥肌が立ちます」と語った。

「帝劇公演の後、各地を回りますが楽しみにしていることは?」の質問に、ファンテーヌ組は各地のグルメと回答。木下は「ファンテーヌ役の3人はよく食べるので、食も楽しみです」、生田は以前はコロナ禍で食事に出かけられなかったことを振り返り「満を持して食べたいなと思います」と、キュートな笑顔を見せてくれた。

コロナ禍での上演中止という経験を味わった小野田と佐藤は、「今回は満を持して、この作品の真髄を各地にお届けしていきたい」(小野田)、「『待ってたよ』と言ってもらえるような公演をお届けしたい」(佐藤)と気合十分。石井は「大好きなカンパニーの皆さんと一緒に新幹線で移動しながら、ああでもないこうでもないと作品の話をするのが大好きなので、その時間が楽しみです」と癒されるエピソードを披露した。

最後に、吉原が「この作品は、苦しい立場の人たちが最後まで人と繋がろうとして、時代の風に抵抗した作品だと思います。その作品の意図を理解し、行動に移すことが僕たち俳優の務めだと思っています。それと同時に、最後、俳優としてお客様に『民衆の歌』を届けるので、そのメッセージを受け取ったお客様がそれをどう咀嚼して、どうこの時代に響き渡らせていくのかということが大事になると思っていて。なので、皆さん劇場に来て、体感して、そして行動していただけたらと思います。このクロージング公演、そこから続く全国各地での公演、そしてこの先の未来にある『レ・ミゼラブル』にもご期待ください」と会見を締めくくった。

ここからは、会見の冒頭で9名が語った「初日の心意気を漢字一文字で表すと?」への回答を全員分紹介していく。

吉原「“真”という字です。今回で14年目、7回目のバルジャンなんですが、紆余曲折といろんな状態の自分と出会いながらここまでやってきました。バルジャンが持っている光にも影にも引っ張られ、なんとか真ん中にいて正しくあろうとすることを、掴みたいし、掴もうとしているし、掴めるんじゃないかと思い、この字を選びました」

佐藤「“熱”という漢字を思い浮かべました。僕はこれが3回目の出演になりますが、作品自体も熱いものを持っていますし、スタッフの皆様も熱い思いを持って携わってらっしゃる。その熱い思いに自分もお応えできるように、熱い作品をお届けできるように、千穐楽まで熱く頑張っていきます」

飯田「“響”でいきたいと思います。今回初めてこのカンパニーに参加させていただきましたが、本当に全編が音楽で綴られ、響きの中で描かれるストーリーで。各ホールの響きとも調和しながらやっていきたいですし、いつまでも響きあえる仲間たちと最後までしっかり作品をお届けできたらいいなと思って、“響”を選びました」

伊礼「“繋”です。ジャベールを演じるのは3回目となりますが、過去2回は一生懸命ジャベールを追い求める中で、稽古場から体が強張るような、あまりよくない緊張を感じていて。ですが、今回は嫌な緊張から解き放たれて、自然と稽古場に立てる自分を発見できました。この感覚ってなんだろうなと思ったときに、繋がりなんだろうなと思ったので、この漢字にしました」

小野田「“揺”という字です。前回まではアンジョルラス役だったので、本役以外にもたくさんの人物を演じていたわけですが、今回は初めて1人の人物の魂で生きることできて、改めて登場人物ひとりひとりが、いろんなものに心揺さぶられながら生きているという感動を味わいまして。ジャベール自身の人生も心揺さぶられるドラマを紡いでいきますし、作品の感動が客席に伝わったときに、まさしく神と繋がったような特別な空間になっていくのをプレビュー公演で感じ、気持ちが昂っております」

石井「感謝の“謝”です。今回、16年ぶり(2007年~2009年にアンサンブルとして出演)に出演するということで、当時からいる方やプロデューサーの方に『おかえり』と温かく迎えていただきました。その感動をお返しできたらなと。また、プレビュー公演でも温かい拍手をいただいて、そのことへの感謝の“謝”です」

昆「“幸”という字を挙げたいです。 2013年から2019年までのエポニーヌから見る景色をとても愛していましたが、今回、ファンテーヌ役として違う視点から物語を見られることが本当に楽しくて幸せだなと思いました。この作品を来年の6月までお届けできることも幸せだと感じたので、この漢字を選びました」

生田「“巡”です。これまでコゼット、エポニーヌとして出させていただいて、今回はファンテーヌとして新しい挑戦をさせていただきます。同じ作品に巡り巡ってまた携われることができることが幸せだなと、幸せを噛み締めながらステージに立っていけたらと思っています」

木下「闘志の“闘”にしたいと思います。初めてこの作品に携わらせていただいて、改めて改めてそれぞれのキャラクターがいろいろなものと戦い続けている姿、その命が眩しいなと感じました。ファンテーヌとして、コゼットのために命ある限り戦い続ける姿を観ていただけるよう頑張りたいという思いも込めて、この漢字にしました」

帝劇クロージング公演 ミュージカル『レ・ミゼラブル』は、2024年12月20日(金)から2025年2月7日(金)まで帝国劇場にて上演。その後、全国ツアーとして大阪・福岡・長野・北海道・群馬を巡る。

文:双海しお

公演概要

ミュージカル『レ・ミゼラブル』

キャスト:
ジャン・バルジャン・・・・・・・・吉原光夫、佐藤隆紀、飯田洋輔
ジャベール・・・・・・・・・・・・・・伊礼彼方、小野田龍之介、石井一彰
ファンテーヌ・・・・・・・・・・・・・昆夏美、生田絵梨花、木下晴香
エポニーヌ・・・・・・・・・・・・・・屋比久知奈、清水美依紗、ルミーナ
マリウス・・・・・・・・・・・・・・・・三浦宏規、山田健登、中桐聖弥
コゼット・・・・・・・・・・・・・・・・・加藤梨里香、敷村珠夕、水江萌々子
テナルディエ・・・・・・・・・・・・・駒田一、斎藤司、六角精児、染谷洸太
マダム・テナルディエ・・・・・・・森公美子、樹里咲穂、谷口ゆうな
アンジョルラス・・・・・・・・・・・木内健人、小林唯、岩橋大

上演スケジュール:
帝劇公演:2024年12月20日(金)本初日〜2025年2月7日(金)千穐楽
*プレビュー公演:2024年12月16日(月)〜12月19日(木)

2025年全国ツアー公演
大阪公演:3月2日(日)~3月28日(金) 梅田芸術劇場 メインホール
福岡公演:4月6日(日)~4月30日(水) 博多座
長野公演:5月9日(金)~5月15日(木) まつもと市民芸術館
北海道公演:5月25日(日)~6月2日(月) 札幌文化芸術劇場 hitaru
群馬公演:6月12日(木)~6月16日(月) 高崎芸術劇場

製作:東宝

公式サイト:https://www.tohostage.com/lesmiserables/

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観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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