池岡亮介インタビュー『夜明けの寄り鯨』「何かに悩んでいる方も、ほんの少しでも希望を見ていただけたら」(前編)
2022年 12月1日(木)より東京・新国立劇場にて舞台「夜明けの寄り鯨」が上演されます。日本の劇作家の新作をお届けする【未来につなぐもの】シリーズの第二弾である本作は、「こつこつプロジェクト」の第一期として『スペインの戯曲』に取り組んだ大澤 遊氏が演出を務め、今注目の劇作家・横山拓也氏が脚本を手がけています。横山が以前より興味があった、座礁して身動きの取れなくなった鯨を題材に、未来をみつめ、道を開くような作品を作りたいという思いが込められた作品です。
主役は映画、舞台、ドラマと多方面で活躍を見せる小島 聖さんが務め、幅広い舞台に出演されている池岡亮介さん、小久保寿人さんも参戦。さらに森川由樹さん、岡崎さつきさん、阿岐之将一さん、楠見 薫さん、荒谷清水さんと舞台を盛り上げる頼もしいメンバーが集まりました。
THEATER GIRLは、池岡亮介さんにインタビュー。前編では、出演が決まったときのお気持ちや、カンパニーの雰囲気について語っていただきました。
以前よりも成長した姿を見せなくちゃいけないなと
――本作への出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
新国立劇場は初なので、ずっと客席でいろんな作品を観ていた身としては、ものすごく光栄なことだなと思いました。ただ、新国立劇場に行くと緊張するので、大丈夫かなと心配や不安もありましたが。 演出の大澤さんとは、2020年に一度ご一緒していて。その時も稽古が始まる前に皆でディスカッションや、ちょっとしたワークショップみたいなものをやっていたんです。すごく信頼のおける演出家さんで、その方と稽古場のあの空気感をもう一度味わえるというのは、とても嬉しくありました。
――気心がしれた大澤さんとご一緒で、緊張感が和らいだんですね。
ただ、 一度ご一緒したことのある演出家の方とやる時はいつも思うんですけど、やっぱり知られている分、当時より成長した姿を見せなくちゃいけないなと。相手はそんなことを求めていないかもしれませんけど、勝手に自分の中でハードルが上がっていましたね。
――本作は、劇作家・横山拓也さんの新作ですが、脚本を読んだ印象はいかがでしたか?
横山さんの書くセリフは、役者にとってストレスがないセリフ回しや、言葉選びをされているなという印象です。稽古に入る前の顔合わせで、その場で初めて台本を渡されて読んだのですが、みんな1回目とは思えない充実感でした。読んでいるこっちもノレちゃうというか、それはやっぱりセリフにストレスがないからだと思うんです。本の力って本当に大きいんだなと感じましたし、素晴らしい脚本だと思います。
――最初の読み合わせから、充実感を得られたんですね。
そうですね。その場で初めて台本を渡されて読むことはなかなかないんですけど、 やっぱりオリジナルということもあって。そこから横山さんもいらっしゃって、「じゃあここはこうした方がいいね」とか「わかりづらいとこはありましたか?」と、いろんな話し合いがあって、ものすごく創作的な時間でした。
カンパニーと共有する「素敵な時間」
――稽古中の雰囲気や、カンパニーの方と作り上げている印象はいかがですか?
稽古の1週目はみんなで輪になって、1行1行をひたすら読みほどく作業をしていました。1回読んで、ここはどういう思いで言っているかとか、このセリフがあるってことはこうだね、と。本当に緻密に、みんなで話し合いながら作り上げていましたね。立ち稽古に入ってからは、そこから立体的にしていく作業をする感じでした。
カンパニーは、年齢はバラバラですが柔らかい方が多い印象です。自分も含めて雰囲気が柔らかくてマイペースな方が多いなと(笑)。でも、遊さんもその空気感をちゃんと汲み取ってくれているので、とてもやりやすいです。遊さんの稽古場では、 稽古場に来るまでの時間や前日にあったいいことを、何かひとつみんなで共有し合う時間があるんです。例えば「コンビニで50円引きのものを買ったら、レシートで30円引きの当たりがでた」みたいな。そういう本当に些細なことなんですけど、それを全員で共有し合えるって、すごく素敵な時間だなと感じています。
取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:MANAMI
公演概要
夜明けの寄り鯨
作 横山拓也
演出 大澤 遊
【キャスト】
小島 聖 池岡亮介 小久保寿人
森川由樹 岡崎さつき 阿岐之将一
楠見 薫 荒谷清水
【会場】 新国立劇場 小劇場
【公演日程】 2022年12月1日(木)~18日(日)
【料金(税込)】A席7,700円 B席3,300円