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百瀬朔は笑顔で壁を乗り越えていく「キツいのは多分いいこと」【シアダン vol.17】(前編)

INTERVIEW

THEATER GIRL が注目する“今知りたい若手俳優”へのインタビュー企画「シアダン」。第 17 回には映画『映像研には手を出すな』監視郎役や、「仮面ライダー 鎧武」ペコ役、舞台『弱虫ペダル』鳴子章吉役など、映像から舞台まで幅広いフィルドで活躍中の「百瀬 朔(ももせ・さく)」さんをお迎え。

10 月には舞台『血界戦線』第 3 弾(レオナルド・ウォッチ役)への出演が決まっている彼に、前編で伺ったのは、ターニングポイントとなった作品の裏話や、今後の出演作への思いなどについて。苦労した話も、飾らず笑って語ってくれた様子からは、人当たりの良さの奥にある気持ちの強さが感じられました。

インタビュー後編はコチラ

「役者をやりたい」改めてそう感じるきっかけとなった映画

――はじめに、役者になりたいと思ったきっかけから聞かせてください。

小さい頃からこういう仕事をやっていました。きっかけは母親と観に行った劇団四季の『ライオンキング』で、僕自身はかなり小さい時のことなのであまり覚えていないんですけど、帰ってから家の階段の上でシンバのまねをしていたらしく。それを見た母親が「これだ!」と思ったと言ってました(笑)。

――最初のきっかけを作ったのはお母さまだったんですね。

そうですね。で、自分がなりたいと思ったのは……これはけっこう大きくなってからなんですが、学業やいろいろなことがあって、この仕事から離れていた時期があって。その頃に高良健吾さんと宮﨑あおいさんが出ている映画『ソラニン』を観たんです。僕、高良健吾さんがすごく好きなんですけど、その作品を観て「めちゃくちゃいいなぁ」って思ったんですよ。

――それでご自分もお芝居をやりたくなった、と?

うーん、やりたいというか……なんだろうな。高良健吾さんがすごく素敵で、お芝居だけどお芝居じゃないみたいな印象で……。その時もよく分からなかったんですけど、今でもよく分からないです。でも、きっかけになったのは『ソラニン』で、それを観て役者になりたいなと思いました。

「死ぬんじゃないかと思った」今の目標に繋がる“大失敗”

――映像から舞台まで幅広い作品に出演されてきた百瀬さんですが、ターニングポイントとなった役柄を挙げるとするなら、どれでしょうか?

印象に残っている役はたくさんあるんです。僕、死んだり殺したりする役が意外と多くて。舞台では身長も低いし関西人なのもあってか、元気いっぱいの役、もしくは逆に周りに振り回される役が多いんですけど。 映像作品に出させてもらう時は、だいたい人を殺すか、殺されるかで(笑)。

――極端ですね(笑)。

だからいつも刺激的なんですよ。その中でターニングポイントとなると、3 年くらい前に出演させていただいた、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(釜吉役)ですかね。オーディションに通って、途中の 2〜3 話分に出させていただいたんですけど、菅田将暉さん演じる役柄(井伊万千代)といっしょに家康の小姓をしているけども、イヤなことをする小姓という役でした。

大河ドラマはその時が 2 度目の出演で、1 度目(「花燃ゆ」)は緊張しすぎて何にも覚えていなかったのに比べると、その時は緊張しながらも滞りなく進んでいたんです。で、これでクランクアップだという日に、今でも覚えているんですけど、阿部サダヲさん演じる徳川家康と謁見して、一言だけ申し上げて去るっていうシーンがあって。阿部さん、菅田さんをはじめ錚々たるメンバーがバーっと居並ぶ場所で NG を出して、しかもハマっちゃったんですよ……10 回くらい。「これもうマジ、死ぬんじゃないかな」って思いました。

――辛すぎる状況です(苦笑)。

ほかの作品もそうだと思うんですけど、大河ドラマってみなさんスケジュールがない中でやっていて空気感がピリッとしているので、そんな中で一番下っ端の僕がセリフを言えなくなるって、もう。「すみません、すみません」ってなりながら、衣装で小刀を差していたんで、それで腹捌いて死のうかなって思ったくらいヤバかったです。

それでも何とかセリフが言えて終わった後に「ハイ! 百瀬さん、クランクアップでーす!」っていう声が掛かっ て、気まずくて居たたまれない気持ちになっていたら、阿部さんが「いや、クランクアップなのかよ!」「さっきのセリフ、もう 1 回言ってみー?(笑)」みたいに笑いに繋げてくださって。それで雰囲気が和らいだので、すごくありがたかったです。

――現場の空気をよく察される方なんですね。

帰りも本当に落ち込んでいたんですけど、メイクを落としている時にパッと阿部さんが顔を出してくださって「気にしなくて良いよ」と言葉をかけてくれて。その時からひとつ目標ができたんです。阿部サダヲさんとちゃんとお芝居でやりとりできるようになって、その上で「あの時は本当にありがたかったです」って伝えるために頑張ろうって。だから、これがターニングポイントのひとつになるんじゃないかなって思いますね。大失敗の思い出ではあるんですけど。

――本番は一発勝負の舞台とちがって、映像では NG がありますもんね。

そうですね。それだけ舞台はまちがえてはいけない部分があると思いますけど。僕も NG を全く出さないわけではないですし、セリフを噛んだりすることもありますが、大ハマりしてしまったのは、あれが最初で最後です。

振り返ってみると、やっぱり失敗したことが思い浮かびますね。成功したことは良い思い出だから、覚えては いるんですけど、より心に残るのは失敗したことなんだなって感じます。

次のページ:骨のある役柄に臨む思い「キツいのは多分いいこと」

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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