大崎捺希が舞台に立って背負うもの「作品の中でいきいきと生きたい」【シアダン vol.07】(前編)
THEATER GIRLが注目する“今知りたい若手俳優”へのインタビュー企画「シアダン」。第7回にご登場いただくのは、『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』仁兎なずな役や、舞台『刀剣乱舞』前田藤四郎役などを演じる「大崎捺希(おおさき・なつき)」さん。
12月には「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Night of Blossoming Stars〜」への出演を控えている大崎さんに、前編でうかがったのは役者を仕事にしようと思ったきっかけや、経験を重ねた上での役作りの変化などについて。「舞台はお客さんあってのものですから」とごく自然に言葉にする様子が印象的でした。
舞台で感じた達成感から、本格的に役者の道へ
――まずは、役者を仕事にしようと思ったきっかけについて聞かせてください。
この仕事をする前は福岡でサラリーマンをしていたんですけど、上京して初めてお芝居に挑戦した時、本当によく分からないことだらけだったんです。今にしてみれば「何でこれが分からなかったんだろう?」って思うようなことも分からなくて。それでも、できないからこそ頑張りたいと思ったし、東京に来る前からSNSで応援してくれる人たちがいてくれたので、なおさら頑張りたいって気持ちになったんです。
それにプラスして、サラリーマンをやっていた頃とはちがう達成感を感じたことも理由かなと思います。劇団のみんなといっしょに公演を作り上げて、お客さんに喜んでもらう。舞台にいるとお客さんの感情がダイレクトに伝わってくるので、それを感じるうちに「お芝居ともっときちんと向き合っていきたい」と思うようになりました。そこが僕にとっての分岐点でしたね。
――以前はモデルのお仕事もされていたそうですが、その分岐点から役者の仕事へとスイッチしていったと。
そうですね。毎月舞台に出られるようになって、ほかの仕事をしているよりたくさんの人と出会っていると思いますし、そういった部分も役者の魅力だと感じています。時にはぶつかることもあるし、お互いのいいところや悪いところを言い合いながらひとつのものを作っていくんですけど、人として見習いたい、こんな大人になりたいと思える先輩たちにたくさん出会ってきたので、これからもずっとこの仕事を続けていきたいなって思います。
役として「いきいきと生きる」ための役作り
――さまざまな舞台を経験されてきましたが、演技や役への向き合い方に変化はありましたか?
前から「原作に忠実に」「自分だからこそできるような役にしたい」と思っているんですけど、そこにブレはないです。2.5次元作品という原作のある舞台に立たせてもらっている以上、その思いを自分の中にきちんと持ちつつ、作品やそれを愛するお客さんへのリスペクトを込めないと成り立たない部分があるので。
その上で変わったところがあるとしたら、演じる役の引き出しを増やすというか、その役の可能性を広げようと思うようになったことですかね。役をひとりの人間として自分の内に落とし込んで、作品の中でいきいきと生きられるようにしたいんです。そういう考えになったら、「この役はこんなことやらないでしょ」っていう決めつけがなくなりましたね。キャラクターの魅力をプラスアルファでより引き出せたらいいなと思います。
――そのプラスアルファは、原作のキャラクターをリスペクトしつつ、よりリアルに役を作り込んでいく過程で生まれてくる部分なのでしょうか?
そうです。例えば、ふざけたりしないすごく真面目な人だと思われているキャラクターがいるとして。そのキャラクターが真面目にやっていることが、周りからはちょっと面白く見えることってあると思うんです。そういうギャップがキャラクターの魅力にも繋がっていくんじゃないかなって。原作を見ながらいろいろ想像したりしますね。 それから、いっしょに作品を作っている仲間と話していると、自分にはない発想や別の角度からの意見をくれるので、それも取り入れながら引き出しを増やしていっています。これが僕にとっての役作りの楽しさでもありますね。