前島亜美インタビュー『ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-』「大好きな翻訳もの、ストレートプレイの作品に出演する喜び」(前編)

――今回「踊る大捜査線」シリーズや「教場」などを手掛ける脚本家で映画監督の君塚良一さんが、初めて舞台の演出を手掛けられることについてはいかがでしょうか。
やっぱり私には、君塚さんは脚本家としてのイメージがあるので、どういうふうに舞台演出をされていくのかとても楽しみです。ビジュアル撮影の前に、衣裳のフィッティングがあって、そこで初めてお会いしたのですが、まず「台本を読んでどうだった?」と監督に聞かれて、作品の話をさせていただいて。「今回三役やるけれど、一番はジェルメインを深めるよう頑張ってほしい」という言葉をいただきました。私としても稽古でいろんなものを君塚さんに提示できるよう、頑張らなきゃと思っています。

――今回の題材についての印象と、台本を読んだ印象はいかがですか?
すごく面白いですね。読んでいてどんどん自分の心が高揚していくというか。狂気的な部分もあり、本当に大変な事件で、許されていいことではないのですが、やはりどこか惹かれます。自分自身、考えることも多くて、バーっと短時間で読めたのですが、何度も読み返したくなるようなすごく興味深い台本だと思いました。
――本作は、実際に起こった「ローブとレオポルド事件」が題材になっており、ミュージカル『スリル・ミー』などミュージカル化もされていますが、今回はストレートプレイです。ストレートプレイで楽しみにしていることや「こうやって表現したい」ということはありますか?
やっぱり言葉数がすごいですよね。一人で何ページ喋るんだろうという場面もあって、会話劇なので一人ひとりの「言葉の勝負」が、すごく魅力だと思っています。それが「裁判」という舞台にとても親和性があると思いますし、裁判ものの作品は、映画も舞台も大好きですが、人の心が動いていくのってすごくいいと思うんですよね。言葉で表すのが難しいんですけど、それぞれが持っている信念みたいなものが動いていくような。一つ見え方が変わったり、新たな証拠が出るだけで、グワッと物語の展開や重心が変わっていく感じがすごく面白いと思うので、大先輩に囲まれて私も何かできるように頑張りたいです。
