中川晃教インタビュー 『フランケンシュタイン』「ミュージカルは可能性の扉」(後編)
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2025年4月より東京公演を皮切りに、愛知、茨城、兵庫にて上演されるミュージカル『フランケンシュタイン』。
誰もが知っているゴシックロマンの名著「フランケンシュタイン」を大胆なストーリー解釈と流麗かつメロディアスな音楽でミュージカル化した『フランケンシュタイン』は、2017年に日本で初演され、メインキャスト全員が一人二役を演じるというトリッキーな演劇的作劇に加え、壮大でスピード感溢れる衝撃の物語が大反響を呼び、続く2020年の再演も熱狂的な支持をもって迎えられました。
5年ぶりの再演となる本作では、では、初演から続投する中川晃教さん、加藤和樹さん、鈴木壮麻さんに加え、ビクター・フランケンシュタイン /ジャック役に舞台『鬼滅の刃』で初代の主演を務めた小林亮太さん、アンリ・デュプレ/怪物役 には、ミュージカル『GIRLFRIEND』の主演で鮮烈な印象を残した島 太星さん、ジュリア/カトリーヌ役に元・宝塚花組トップ娘役の花乃まりあさん、ステファン/フェルナンド役には『ムーラン・ルー ジュ!ザ・ミュージカル』のジドラー役を好演した松村雄基さん、エレン/エヴァ役にはミュージカル 『SPY×FAMILY』も控える朝夏まなとさん他、豪華新キャストを迎えました。
THEATER GIRLは、ビクター・フランケンシュタイン /ジャック役の中川晃教さんにインタビュー。後編では、Wキャストで演じることの魅力や中川さんがミュージカル作品で歌唱する際に大事にされていることなどをうかがいました。
「二人で一つの作品を創っている」と感じる
――ビクター・フランケンシュタイン/ジャック役は、今回小林亮太さんとのWキャストになりますが、シングルキャストとは違う役への向き合い方や、Wキャストならではの魅力はどんなところに感じていますか?
Wキャストであることで稽古時間は当然半分になるのでプレッシャーはありますが、同じ役を二人で生み出していくので、「二人で一つの作品を創っている」と感じています。
初演時は立ち上げの段階なので、本来ならばシングルキャストで全て時間を費やせたら一番いいとは思うのですが、自分と同じ役を演じているもう片方の自分、その両方を力に変えて高く飛ぶことができるのがWキャストの魅力なのかなと思います。
今回は、小林亮太さんとのWキャストですが、僕は三度目で小林さんは今回が初なので、何も知らない良さがあり、僕は知っているからの良さがある。逆を言うと、知らないからこそ苦労する部分もあるだろうし、僕は知っているからこそ踏襲してしまう部分もあるかもしれません。
今回は5年ぶりの再演ということで、いい塩梅に自分の中で抜け切っているとは思うのですが。先日も9年ぶりの再演(ミュージカル『SONG WRITERS』)があったのですが、意外と残っているもので、稽古中にふと思い出したりするんです。時間が経っていても意外と消えないものなんだなと。今回、まっさらな雪原に足を踏み入れる小林さんのお芝居に、影響をもらいながら創っていけるのが今から楽しみですね。
それと、とにかくこの作品はWキャストで本当によかったと毎回思います。これを二公演やれと言われたら、肉体的にも精神的にも大変なので。
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――アンリ・デュプレ/怪物役も加藤さんと、今回新たに島さんが演じられるので、慣れ親しんだ加藤さんとフレッシュな島さんとの共演では、感じ方や演じ方も変わってきそうでしょうか?
そう思いますね。でも和樹さんもそうだと思うのですが、僕はこの『フランケンシュタイン』という作品に挑む上で、それまで経験してきたもののさらに上をいきたいと思っているんです。そうやって目標を高く持てる作品だと思うので。
そういう意味では、小林さんや島さんも同じだと思います。新しい可能性の中で、それぞれ自分の思うアンリや怪物を演じるので、そういう意味ではみんなフェアだなと。どちらかが優位ということではなくみんながフェアにこの作品とまっさらに向き合える。それがプロとして仕事をする上で毎回大事なことだと思うので、今回はニューカマーの二人が参加してくれて、僕も和樹さんも嬉しく思っています。
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“お芝居として歌う”ことが大切
――中川さんが、ミュージカル作品で歌唱をする際に特に大事にされていることはありますか?
“お芝居として歌う”ということを大切にしています。お芝居の感情と音楽がピタッとはまった時に初めてミュージカルの醍醐味である“演じて歌う”というところに行けると思うので、いつもそれを意識していますね。
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――最後に、本作を楽しみにされている皆様にメッセ―ジをお願いします。
初演の幕を開けることができたときに、「ミュージカルってすごく可能性に溢れているな」と感じたんです。初演からこの作品に必死に取り組んで、研鑽を積まれている皆と作り上げてきた思いもありますし。こうやって再び評価をいただけたことで、また新しいメンバーと組ませてもらえるのはご褒美のような感覚があります。あの時、ミュージカルは可能性の扉だと感じたことは、間違っていなかったんだなと。
この5年で、日本でもミュージカルがさらに身近なものになってきたと思うので、新しいお客様に足を運んでいただける機会でもありますし、可能性はさらに無限に広がっていくと思っています。ミュージカルが好きな方、バレエが好きな方、ダンスが好きな方、音楽が好きな方、お芝居が好きな方など、様々な方に刺さる作品だと思うので、何度でも観たいと思っていただけるように頑張ります。
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取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:Jumpei Yamada
ヘアメイク:松本ミキ
スタイリスト: Kazu(TEN10)
公演概要
ミュージカル『フランケンシュタイン』
出演:
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック(W キャスト):中川晃教/小林亮太
アンリ・デュプレ/怪物(W キャスト):加藤和樹/島 太星
ジュリア/カトリーヌ:花乃まりあ
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:松村雄基
エレン/エヴァ:朝夏まなと ほか
音楽: ブランドン・リー
脚本 / 歌詞:ワン・ヨンボム
潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森 雪之丞
音楽監督:島 健
振付:黒田育世 当銀大輔
オリジナルプロダクション:ワン・ヨンボムプロダクション
製作:東宝/ホリプロ
【東京公演】
2025年4月10日(木)~4月30日(水)
東京建物 Brillia HALL (豊島区立芸術文化劇場)
【愛知公演】
2025年5月5日(月祝)~5月6日(火祝)
愛知県芸術劇場 大ホール
【茨城公演】
2025年5月10日(土)〜5月11日(日)
水戸市民会館グロービスホール
【兵庫公演】
2025年5月17日(土)~5月21日(水)
神戸国際会館こくさいホール
【公式サイト】
https://www.tohostage.com/frankenstein/
https://horipro-stage.jp/stage/frankenstein2025/